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2023.08.12

UFCとは“どれだけ愛を持って行動し続けられるか”が試される場所

今週の「SPORTS BEAT」は、8月26日、総合格闘技『UFCファイトナイト』に出場する中村倫也選手をゲストにお迎えし、お話を伺っていきました。
中村倫也(なかむら りんや)選手は、1995年生まれ。専修大学出身。
2歳の時に「修斗」の試合を観て以来、格闘技に目覚め、お父様がジムを主宰していたこともあり、幼い頃から格闘家たちに囲まれ育ちます。
レスリングの選手として、2016年、2017年の全日本選抜選手権優勝、U-23世界選手権のチャンピオンとなるなど活躍。
2020年、総合格闘技への転向を発表。
世界最強のファイターが集う究極のアメリカの総合格闘技団体、UFCへの契約をかけた「ROAD TO UFC」のトーナメントで、見事に優勝されました。
UFCとの契約を勝ち取った「日本格闘技界で1番話題の男!」とも呼ばれています。


──中村選手は、レスリングで日本一はもちろん世界一も経験されていますが、なぜレスリングから総合格闘技へ転向されたんでしょうか?

もともと自分の父親が、「修斗(SHOOTO)」というプロの格闘技団体に、出資というかビジネスとして携わっていたこともあって、生まれ育った環境が“格闘家の兄ちゃん”に囲まれていたんです。「俺、お前のおむつ替えたんだぞ!」といろんな格闘家の方から言われるぐらい囲まれて育ったので、僕としては“遊んでくれる優しいお兄ちゃんだな”と思っていたのが、(ある日)母親に「あのお兄ちゃんの試合を観に行くよ」と言われて、何もわからないまま連れられて行った(格闘技の試合)会場で、何千人、何万人の前で本気で戦っているお兄ちゃんたちを観て、“こういう優しくて強い人になりたいな”とずっと思っていたんです。
だから、レスリングをやる時から“いずれは総合格闘技に行く”ということを決めていたんですね。

──転向されて、レスリングの経験が活かされている部分は、どういったところですか?

やっぱり人間って知らないことが怖いと思うので、海外の選手といざ対面した時にビビってしまうところがあると思うんですが、レスリングを通じて、“(相手がどんな選手でも)同じ体重の同じ人間だし、自分と同じように怖いものは怖いし、みんなそれぞれ背負ってやっているんだな”ということを、頭で理解するんじゃなくて肌感覚で理解できたこと。
それをレスリングで知ることができたという部分で、(レスリングの経験は)すごく活きていると思います。

──一方で、レスリングと全く違うなと感じた部分はどこですか?

もう、全部ですね。レスリングの延長線上に総合格闘技があるのかな、あとはパンチと寝技を付け足せばいいのかなと思っていたら、もう、野球からサッカーに行ったような感覚で。“何もわからない! めっちゃ痛いし、何それ!? 足蹴るなよ!”みたいな(笑)。
思っていたよりずっと痛いし怖いしで、全然違い過ぎて、最初はめちゃくちゃ苦労しました。

──転向後はデビューからこれまで7戦全勝という成績を収められています。そして、今年、「ROAD TO UFC」に挑戦され、みごと契約を勝ち取られました。中村選手にとって、UFCとはどういう存在なんでしょうか?

UFCとは、自分がどれだけこの世界に愛を持って行動し続けられるかが試される場所かなと。簡単に言うと、そういう感じです。
“本当に強くなりたい”とかもあるんですが、その先に、“日本をより良くしたい”とか、“より魅力的な国にしたい”ということがあるので、それに対してどこまで自分が行動できるかが、この先5年、10年で試されていくんだろうなと思うと、(UFCは自分にとって)「どれだけ忍耐力がつけられるか、愛を持って行動し続けられるかを試す場所」だと思っています。

──さまざまなトレーニングもされているそうですね。

はい、色々していますね。
アメリカでは、“世界一のジム賞”みたいな賞に何度も選ばれている「アメリカン・トップチーム」というところに行かせてもらったんですが、各国で強すぎてある意味孤独になってしまっている選手たちが、1つのジムに集まって、ワーっと意識が高い中で毎日練習しているので、“そこにいることがパワースポット”みたいな感覚になりました。
やっていることは日本とそれほど変わらないんですが、すごくエネルギーが高い選手たちが集まって、彼らと一緒に練習できたことがすごく良かったです。

──肉体面だけではなくて、精神面で得られるものも大きかったんですね。

そうですね。精神的なところでは、格闘技が辛すぎるということで1回病んだこともありまして、メンタルコーチングを付けてから色々磨いていったんですけれど、その先生とも「どう?」と話し合いながら、向こうの良い部分をどんどん取り入れていくということをやっていました。

──中村選手は、そもそも好奇心がとても旺盛そうですよね(笑)。

そうかもしれないです(笑)。視野を広げることが大好きなので、色々良さそうだなと思ったものは取り入れたりしています。
小さい頃に競泳もやっていたので、たまに小さい時にやっていた身体の動きを思い出そうと、水泳を取り入れたり、瞑想とヨガをやってみたり。
全部のところから学べるところはあるんですが、その辺のやりたいことが多過ぎて、バランスを整えるのが大変なぐらいです(笑)。

──そして、8月26日、シンガポールで、いよいよ「UFCファイトナイト」のデビュー戦が控えています。現在の調子はいかがですか?

調子はめちゃくちゃ良いです。当然、過去最高に良いですし、相手もUFCということでレベルが上がるんですが、それでも圧倒できるかなと思っていますね。
対戦相手ファーニー・ガルシア選手の映像を観たりすると、メキシコ人の、すごく強いボクサーで。優しくて素直そうな雰囲気を向こうも持っているので、逆に僕は、当日の15分だけ性格が悪くなって(笑)、フェイントをかけたり嘘をついたりしながら攻略していこうかなと思っています。
やっぱり、いきなり深いゾーンまで持っていくのは難しいので、1週間前ぐらいから、リラックスはしつつも、“自分の内側を感じつつ外側はしっかり見ておく”という状態で生活をし始めていって、試合の時のピークが10だとしたら、7~6ぐらいのテンションで1週間ぐらい過ごしていって、最後当日に、深い瞑想でバチっと10に持って行くという感じですね。

──UFCファイトナイトデビュー戦、勝機はどんなところにありそうでしょうか?

これまで7戦やっていて、結果が、5つKO勝利という形。打撃でのKO勝ちが多かったんですけれど、次の相手はボクシングがすごくうまいので、やっと、僕の一番強いバックボーンであるレスリングを活かして、上を取って、その中でゲームを攻略していくという姿を見せられるんじゃないかなと思っています。

──どんなフィニッシュで試合を決めたいでしょうか?

当日まで何がフィニッシュになるのか僕にもわかりませんし、それが格闘技の楽しみだと思います。
そして、ファーニー・ガルシア選手は、今までフィニッシュ負けがないので、まずは、どのような形でも試合を終わらせるということを目標に、今色々考えながら練習していますので、どんなフィニッシュになるのかなというところも含めて、楽しみに観ていただけたらと思います。
楽しみにしていてください!

──この番組では、ゲストの方にCheer Up Songを伺っています。中村倫也選手の心の支えになっている曲を教えてください。

Puff Daddyの「I'll Be Missing You(feat. Faith Evans & 112)」です。
この曲を聴くと、今あることとか、状況とか、周りの環境に対して、すごく感謝を感じます。
練習終わりに聴いていたりすると、“今日も怪我がなくて良い日だったな”と思いますし、“あの人、あんなこと言ってくれたな”“気にかけてくれたな”とか、周りがしてくれたことが僕の中にたくさん出てくるので、ちょっと特別に、1人の時間になった時とかに聴く曲です。


今回お送りしたインタビューのディレクターズカット版を、音声コンテンツアプリ『AuDee』で聴くことができます。
放送できなかったトークが盛りだくさん! ぜひお聴きください!

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