宮間あやさんは、1985年、千葉県のご出身。
サッカーをされていたお父様の影響もあり、小学生のころからサッカーを始め、NTVベレーザの下部組織、読売メニーナにも所属。
2001年、岡山湯郷Belleに第一期生として入団。
その後、日本代表にも選出。
アメリカのチームへ移籍をするなど活躍し、2016年まで競技としてサッカーと向き合ってきました。
──宮間さんといえば、なでしこジャパン! ワールドカップ優勝(2011年ドイツ大会)、盛り上がりましたよね。
ワールドカップという大舞台で優勝。しかも、決勝では強豪のアメリカ相手に、激闘の末、PKで勝つと。ご自身としてはどうでしたか?
本当にかなり前のことなので、なかなか思い出せない、プラス、優勝した時っていろんなことが起こり過ぎて、あまり覚えていないんですよ。
例えば、テレビに澤(穂希)さんや丸山(桂里奈)さんが出て、ワールドカップの映像を流してもらった時に、“おお!”という感じです(笑)。
──他人事みたいに見てしまうんですか?
そうなんです。逆に、当時の試合を観て感動して泣いちゃう、みたいな(笑)。時間が経つと“自分じゃない”という感情になるので、“この人たち、すごいなぁ”みたいな感じになりますね(笑)。
──宮間さんは4大会出場されましたが、それぞれ思い出など違いはありますか?
全部違います。
最初(にワールドカップに出場した時)は18歳で、本当にチームにぶらさがっていった感じですね。最年少で、出場時間も数分で、言い方としては何ですが、多分、経験をさせてあげたいという気持ちで送り出してもらった感じでしたね。
──初めて立ったワールドカップのピッチは、どのようなものでしたか?
もう嬉しくて、緊張して、普段では絶対ありえないところに立って…オフサイドになりましたね(笑)。
浮き足立ちまくっていました。“え!?”って、自分でも思いましたね。
──それまでは、そういった緊張を経験したことがなかったですか?
そうですね。とにかく当時は、チームの先輩方がいかに気持ちよく試合に臨めるように出来るかが自分の役割だと思っていたので。
だから、本来は良くないんです。試合に出る準備が出来ていないので。すごく若かったですし、良くないんですが、ただ、やっぱりピッチに立つのと立たないのとでは全く違うので。そこは本当に貴重な経験をさせていただきました。
──その経験があるからこそ、次の4年間の目標も明確になりますよね。
チームの役に立てていない自分への苛立ちというか、そういうもので4年間必死だったように思いますね。
──2回目の出場となった2007年中国大会では、初戦のイングランド戦でフリーキック2本を決めるという結果を出しましたね。
このフリーキックについては…その前にアテネオリンピック(2004年)があるんですが、そのオリンピックメンバーから漏れてしまって。
さらに2003年のワールドカップの悔しさも倍増し、自分の武器を作らなければならないという思いから、段々フリーキック、コーナーキックのキッカーを任せてもらえるようになって、そこから悔しさプラス責任感みたいなもので、とにかく練習しましたね。
──練習は裏切らないものですか?
そう思います。試合の、勝負の裏切りはよく受けますけど、1つ1つのプレーだったり、基本のトレーニングというものは裏切らないと思います。
──その次の出場となった2011年のドイツ大会では、見事優勝! 着実にステップアップしていますよね。
チームとしてのステップアップとしては、本当に最高のものだったと思います。
中には途中で引退された先輩方もいらっしゃるんですけど、“「なでしこジャパン」としてどういう風に世界と戦うか”みたいなところは引き継がれていって、一番良い形で大会を迎えられたと思います。
──チームとしての手応えや、成熟度が上がっていった実感はあったんですか?
正直な話、(ドイツ大会の)直前の試合でも韓国に引き分けたり、その前にはアメリカに負けてしまったりしているんですが、大会に行った、ドイツに入ったその日に、澤穂希さんが、「あや、私、この大会、優勝する気がする」と言い出して。“怖!”と思って(笑)。“いやいや、これまで2大会出た中で決勝トーナメントにも行ったことのないチームなのに、何を言うのかな?”と思ったんですけれど。
──それは、どういうテンションで澤さんはおっしゃったんですか?
時々、澤さんは「預言者」と呼ばれていたんですけど、“第六感”みたいなものをお持ちでいらっしゃって。
普通にホテルについて散歩している最中に、「ねぇねぇ」って(話しかけられて)“え?”みたいな(笑)。
──ちょくちょく的中させていたら、“これは、本当にあるのかも?”と思わなかったんですか?
あまりにも想像がつかな過ぎて。
でも、(澤さん)本人のモチベーションも状態もとても良かったですし、私たち自身も「チームとして1つに」という部分はあったので、その時は“ん?”と思っていましたけど、勝ち上がるにつれて、“この人はやっぱりすごいな”と思いました。
──やっぱり、チームを引っ張って行ってくれる存在ですから。その澤さんの言葉なら信じてついて行こう、という気にもなりますよね。
基本的にはずっと(澤さんに)ついて生きていたし、ついて行っていたので。
ただ本当に、いろいろな積み重ねであったり、あと、私たち自身も“言霊”というものはすごく信じていて。それは「絶対に諦めない」というところに必ずつながっていると思います。
──1ゴール1アシストですから。ゴール前で冷静にこぼれ球を押し込んで、さらに延長でのゴール。あれはどんな印象でしたか?
あのゴールは、もう本当に、自分たちのことのようで、他人事のようで…感動しますね。
──蹴る前に澤さんと話し合ったりしたんですか?
たまたまコーナーキックになる前のプレーで、近賀(ゆかり)選手がビッグチャンスを作ってくれて。相手のディフェンダーとキーパーが交錯して、相手のキーパーが足を切ってしまって血が出ていたんです。その時、2対1でアメリカが勝っていたので、私たち(日本チーム)が「時間稼ぎじゃないか」と(審判に)言うと思って、アメリカの選手がわざわざ、「本当に切れてるから、時間稼ぎじゃないから」と(審判に)言いに行っていたので、「だったら(まだ)時間がある」という話をしましたね。
──それにしてもあの角度。どうやって入ったのか、映像でスローで見てもわからないぐらいなんですが…。
誰にもわからないです、あれは(笑)。
“言霊”ですね。
澤さんが「私、ニアに行くから」と言うので、とにかく、ヘディングではないボールで、澤さんに触ってもらえるようなボール、ということで蹴ったんですけど、横からだったので、ゴールネットが揺れるまで見えなくて。揺れたのを見て、びっくりしましたね。“入ったの!?”みたいになりました。
──そしてPK戦になるわけですが、相当プレッシャーがあったんじゃないですか?
とはいえ、プレッシャーがどれほどかかっても“決める”という自信を持つまで練習していたつもりだったので。もう、そこは、“自分が外すわけにはいかない”という気持ちだけですね。
──そして、その次の4回目の2015年カナダ大会では、準優勝。決勝まで進みましたが、残念ながら負けてしまった。
この大会は、私たちが熟成されていく最後の限界ギリギリのところでの大会だったので、それでも準優勝まで持っていけたということは、逆に、本当にみんなでよく頑張ったなという感じがしますね。
──年齢的なこともあって、という?
そうですね。チームの年齢層もそうですし、あとはやはり、優勝したことによって4年間研究され続けてしまったので、そこで“自分たちの良さを出す”というよりは、“相手の良さを消す”という方に持って行かなければいけなくなった感じはありましたね。
──アメリカは、2011年のドイツ大会の悔しさをバネに、虎視眈々と技を磨いてきた?
すごいと思いますね。特にサッカーで言うと、本当に気持ちって大きくて。自分さえ良ければいいというプレーをしている選手が多ければ多いほど、やっぱり試合には勝てないですし。
私たちも2011年にそうだったように、2015年のアメリカ代表というのは、ベテラン選手たちがかなりベンチに座ったりしていて、“この人たちのために!”という気持ちが、試合をやっていてもすごく伝わってきていて。それは“やられたな”という感じでしたね。
──この番組では、ゲストの方にCheer Up Songを伺っています。宮間あやさんの心の支えになっている曲を教えてください。
知念里奈さんの「precious・delicious」です。
今、サッカーのお話をさせていただいている中で、自分自身、“サッカーに恋していた”というか、“絶対に手に入れられないもの”と思っていて…。
なので、こういう歌を聴くと、対象がサッカーなんですよね(笑)。
──すごく素敵な言葉ですね。“サッカーに恋してた”。
もうしっかり失恋してるんですけどね。今はもう、たまに甥っ子と一緒に蹴ったりする程度で。
──今でもボールを蹴ったりするとキュンキュンしないんですか?
“もう、うまくいかない…あいかわらずだな!”と思いますね(笑)。最後まで片思いでしたね。
来週も引き続き、宮間あやさんにお話を伺っていきます。お楽しみに!
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