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2023.07.08

目指すは2分5秒台!世界新記録で金メダル獲得へ

今週の「SPORTS BEAT」は、今月、福岡で開催される水泳の世界選手権に出場が決まっている、トヨタ自動車所属・渡辺一平選手をゲストにお迎えし、お話を伺っていきました。
渡辺一平選手は、1997年生まれ、大分県のご出身。
2016年、早稲田大学在学中に、リオデジャネイロ・オリンピックに出場。
競泳男子200メートル平泳ぎ準決勝で、2分7秒22のオリンピックレコードを記録。決勝では6位入賞を果たしています。
そして、2017年の北島康介カップの200メートル平泳ぎ決勝で、2分6秒67の世界新記録を樹立。
今年の4月に開催された日本選手権で条件を満たして優勝し、今月(7月)、福岡で開催される世界選手権出場を決めています。



──今シーズン、世界選手権がありますが、ご自身の手応えはいかがですか?

昨年から練習環境を変えました。練習のチームメイトや指導者を全て変えて、今やっと、結果に繋がり始めているという感じですね。

──今年4月に日本選手権200メートル平泳ぎ決勝で見事優勝され、そしてその後、ヨーロッパ三都市、フランス・スペイン・イタリアで行われた大会で、200m平泳ぎでは全て優勝。大会MVPも獲得されました。
練習環境を変えたことが、どういう部分で変化をもたらしたんですか?

全然変わりました。もう、全て。水泳においての考え方が変わって、今のチーム、指導者の元で練習をするようになって、“水泳を楽しんでいる”というのが、一番表現としては合っているかなと思います。
今までは水泳を頑張ることが仕事で、“頑張らなきゃいけない、結果を出すことが仕事、だからやらなきゃならない”と思いながら水泳をやってしまっていたんじゃないかなと思っています。
今は、小学生の時に自分がやりたくてプールに通って泳いでいた、あの時の感情で水泳をやっている感じですね。

──「やらなきゃいけないこと」から「楽しむこと」に意識が変わった上で結果がついてくるって、すごいですよね。

やっぱり、人間って単純なんですよね。やりたいと思ったことをやれば結果が出せると思うんですが、やっぱり前向きにとらえている人の方が結果を出しやすいんだろうなと思います。

──そうは言っても、練習って苦しいものなんじゃないですか?

苦しい、苦しい!(笑)

──実感が込もっていますけれど(笑)。「楽しもう」と思っても、なかなかそうはなれなかったりするじゃないですか。どういう部分で楽しさを?

僕自身、すごく辛い経験をして。東京オリンピックの代表落ちをしてしまったり、怪我で日本選手権に出られないという経験をして、“水泳をやめようかな”と思ったこともありましたが、そこから、いろんな人…家族や友人たちとご飯に行ったりいろんな話をしていく中で、“自分自身、もっと水泳でやりたいことがあるな”と思ったんですよ。自分がこうしたい、ああしたいことがたくさんあるなと思って、それを今、実行しているだけなので。
“誰かのために水泳をやっている”というよりは、ただ自分がしたいことをしているだけなので、そのためには苦しいことは我慢できる、という感じですね。

──楽しむことが出来ていて、さらに結果がついてきているということは、今、本当に充実されているんじゃないですか?

今、充実していますね。やっぱり楽しいですよ。スポーツの在り方ってこういう感じなんだろうなと思います。

──でも、練習をどんなにしてもタイムが出ない時期ってあるんじゃないですか?

ありました。それこそ、東京オリンピックで代表落ちを経験して。その時は、“アスリートとして我慢するのが仕事”と思っていたんです。“我慢した量が多ければ多いほど強くなれる”と思っていたんです。

──そういう歌とか、たくさんありますよね。

そうですよね。僕自身もそう思っていて、したいことをすべて我慢して、全て競技のためにプラスになることしかしないという風にやっていたんですが、そうすると、人間の欲というものが“薄れていく”じゃないですけど、あの時(我慢していた時)の方が、“もっと勝ちたい!”という感情が少なかったのかなと思います。

──自分の本能にもっと従うと、もちろん、楽しいこと、やりたいこともやって、でも、“勝ちたい! 泳ぎたい!”という気持ちも解放される。

そうです。 “自分の欲が増えている”みたいなイメージです。

──見事、2分7秒73で優勝された日本選手権。レース直後に「もう少しタイムがほしかった」と仰っていたとのことですが、具体的に目指していたタイムはあったんでしょうか?

今、自己ベストは2分6秒67を持っていて、正直なところ、(日本選手権では)その自己ベストを更新出来ると思っていました。ずっとそれでトレーニングも出来ていたし、自信も持っていたんですが、2月の中旬に椎間板を損傷してしまったんです。そこから入院して、2~3週間ぐらい練習が出来なくなってしまって、それから日本選手権に向けた調整をして、レースは良い感じで泳げたかなと思っているんですが、やっぱりまだまだ自分自身の実力はこんなものじゃないなと思ったのが、率直な感想でした。

──そのアクシデントがなかったら、もう少し速いタイムが?

いけたと思いますね。


──世界記録を出す、“世界で一番になる、俺が一番速い”って、どんな感覚なんですか?

気持ち良いものですよ(笑)。今、(世界の人口が)80億人ぐらいいるんですかね。その中で、200m平泳ぎが一番速い人間って、カッコいいじゃないですか。
ちょっと…手に汗握ってきましたよ(笑)。

──今は世界記録が更新されてしまっているということなので、まずは自己記録を更新して、さらにその先には、やっぱり再びあの感覚を?

その通りですね(笑)。あの感覚をもう一度味わいたいです。

──今回の世界選手権は、来年のパリ・オリンピックに向けて大きな意味を持っていると思うんですが、ここで金メダルを獲ると…。

パリ・オリンピック代表が内定します。

──自国開催だった東京オリンピックは逃してしまったわけですから、よりパリにかける思いは強いんじゃないですか?

めちゃくちゃ強いです。リオで悔しいオリンピックを経験して、東京オリンピックには出れずに…。
“オリンピックの借りはオリンピックでしか返せない”じゃないですけど、やっぱり気持ちの良いオリンピックを経験したいなと思ってるので、それに繋がる世界選手権にしていきたいと思っています。

──世界選手権、ライバルとなる選手を教えていただけますか?

昨年、世界記録を更新したオーストラリアの選手、(アイザック・)スタブルティクック選手が一番のライバルになると思います。2分5秒台(200m平泳ぎで2分5秒95)に突入しましたね。

──世界記録がどんどん更新されていくって、不思議ですよね。

すごいです。2分5秒台が出たので、今大会も2分5秒台を出してくる選手がいるかなと。それを追いかけて。
今までは2分6秒台がすごい(と言われていた)、でも2分5秒台に突入した。こうなると次は2分5秒台が普通になって、2分4秒台を目指す選手が出てくると思うので。

──やはり、そのタイムが当たり前、目指すべきものになるから、みんなトレーニングを積んで更新していくんですか?

何かヒントがあるんだと思います。
スタブルティクック選手が2分5秒95で泳いだレースを見ても、何か、僕自身もいけるなと思うんですよ。
だから、そこに関してヒントをもらって、そういうトレーニングをしたら、2分5秒台が出せる感じだと思います。

──飲み水とかは、日本やヨーロッパで軟水・硬水がありますが、泳いでる時に(プールの)水質の違いはあったりするんですか?

めっちゃ感じます。
日本のプールの水は、比較的柔らかい方だと思います。5月にヨーロッパの三都市で行われた大会、ヨーロッパグランプリに参加させてもらったんですが、ヨーロッパのプールの水は、めっちゃ硬くて。最初にプールに入って泳ぎ始めた時に、“どういう水なんだろう?”と自分の中で感覚を確かめるような感じはあります。

──どちらがタイムが出やすいとかあるんですか?

得意・不得意によりますね。
僕はやっぱり日本で練習していたので、軟水の方がいいかなという感じですね。(違いを)感じるんですよ。

──じゃあ、世界選手権は福岡ですから…。

そこは、無問題(もうまんたい)ですね(笑)。

──2分5秒台を期待しても!?

出したいですよ(笑)。僕は地元が九州で大分県出身なので、地元九州で行われる世界選手権で世界記録を出して金メダルなんて獲ったら、そんな気持ちの良いことはないなと思います。

──この番組では、ゲストの方にCheer Up Songを伺っています。渡辺一平選手の心の支えになっている曲を教えてください。

EXILEさんの『Heads or Tails』です。
いつも試合前にこれを聴きながら入場しています。
入場って、8レーンから少しずつ選手が入ってくるんですが、8レーンの選手が入っていく時にこれをかけ始めると、自分の順番の時が一番カッコ良くなるように入れるんです(笑)。

──これは聴いている渡辺選手しかわからないんですよね。観ている人は全くわからないけれど、自分の気持ち的に、“一番(曲の)良いところで入っていくぞ!”みたいな?

そうです(笑)。8レーン、1レーンと端から少しずつ(選手が)入っていって、4レーンになった瞬間に、(曲の一番良いところが流れて)“うん!”というのが自分の中にあるんです(笑)。

──予選のタイムが速い人が、4レーンなどの真ん中(のコース)で、という振り分けがあるんですよね。

そうです。今回の日本選手権だったら、僕は決勝で3レーンだったんです。だからいつもよりちょっと早い入場だったんですよ。そうすると、いつもよりちょっと早めに曲をスタートさせるんです(笑)。

──最後に、名前の中に「平」泳ぎ「一」番が入っている渡辺一平選手、今月の世界選手権、男子200メートル平泳ぎ決勝で目指しているタイムは?

200m平泳ぎにおいて、2分5秒台という世界記録を更新して、金メダルを獲得することです!



今回お話を伺った渡辺一平選手のサイン入りTシャツを、抽選で1名の方にプレゼントします。 ご希望の方は、番組公式ツイッターをフォローして指定のツイートをリツイートしてください。当選者には番組スタッフからご連絡を差し上げます。

そして今回お送りしたインタビューのディレクターズカット版を、音声コンテンツアプリ『AuDee』で聴くことができます。
放送できなかったトークが盛りだくさん! ぜひお聴きください!

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