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2023.07.01

世界水泳選手権開幕!進化した泳ぎで東京五輪のリベンジを

今週の「SPORTS BEAT」は、いよいよ今月、福岡で始まる水泳の世界選手権に出場が決まっている、トヨタ自動車所属・川本武史選手をゲストにお迎えし、お話を伺っていきました。
川本武史選手は、1995年生まれ、愛知県のご出身。
5歳から水泳を始め、中学3年生で全国大会優勝。
強豪・愛知の豊川高校時代は、2、3年生の時に、100m背泳ぎでインターハイを連覇され、2021年の東京オリンピックの選考を兼ねた日本選手権では、100メートルバタフライの準決勝で日本タイ記録を樹立。
決勝でも参加標準記録を突破し2位となり、2021年の東京オリンピックに出場なさっています。



──東京オリンピックは、川本選手にとってどんな大会となりましたか?

結果として予選敗退となったことがすごく悔しくて、自分の中でも、心の整理をつけるのにちょっと時間がかかってしまったなというところがあります。
次のパリ・オリンピックが1年後に控えているので、そこに向けて毎日練習を頑張っています。

──思いがけないミスが出てしまった?

普段、ターンした後すぐに、手を上に組む姿勢“ストリームライン”を組んでドルフィンキックを打つんですが、その手を組むのに時間がかかってしまって、1回離れてしまったんです。そうなると、すごい(水の)抵抗が生まれてしまって。
これまでの水泳人生で1度もなかったことなんですが、それがオリンピックで出てしまったという…すごく悔しかったですね。

──自国開催ということもあって、プレッシャーが大きかったんですか?

自分の中ではあまり感じていなかった…“感じないようにしていた”というのが本音です。
実際に後から振り返ると、やはりオリンピックは特別だとみなさん思われていると思うんですが、その中でも自国開催であり、さらにはコロナ禍での開催ということもあって、自分の中で(開催)反対の人の意見とかもすごく考えてしまったんですよね。どこかに“本当に応援されているのかわからない”という気持ちもあって、でも競技には集中しなきゃいけない。その舞台に立ったからには絶対に結果を残さなければいけない、という気持ちが交差していましたね。

──ショックを受けたけれど、復活したわけですよね。(オリンピック直後、ISL(国際競泳リーグ)50メートルバタフライで、東京オリンピック5冠のアメリカのケーレブ・ドレッセル選手に勝利)

オリンピック直後に海外の大会を転戦していたんですが、その中で、このISL(国際競泳リーグ)はチームで戦うので、自分が得点を取らないとチームが勝てないとわかっていましたから、自分が足を引っ張るわけにはいかない、だから“やらざるを得ない環境”をここで作ってもらったというところあります。
だから、気持ち的には、オリンピックの期間中や直後はすごく落ち込んだんですが、こういう試合があったおかげで、“環境が自分を支えてくれた”ではないですけど、そういう“変化せざるを得ない環境”を作っていただいたと思います。

──誰かのために頑張らないと、という後押しがあったのは、すごくラッキーだったのかもしれませんね。

本当に。小さい頃から、そういう運とか環境とかがすごく味方してくれているなと思います。
一番大きかったのが、東京オリンピックの選考会が、本来なら2020年の4月にあったんですが、(コロナ禍で)延期になったんです。それがわかったのが、(選考会の)3週間前なんですよね。その延期になったことがわかった時に僕が何をしていたかというと、入院していたんですよ。
大体、(選考会の)3週間前に入院していたら、オリンピックは無理だと諦めるじゃないですか。その時は扁桃炎で40度の熱を繰り返して入院せざるを得ない状況で、正直オリンピックは厳しいなと思っていた時に、病院で延期になったことがわかって、“あ、絶対にオリンピックに行ける!”と確信しました。
そういう運や環境が味方して、僕は今こうやって競泳が出来ていると思います。

──東京オリンピックで五冠の選手ケーレブ・ドレッセル選手に(ISLで)競り勝ったというのは自信になりますよね。

ドレッセル選手は、僕が勝ったレースの他にも4レース出ていたんです。
僕は1レースしか出ていなくて、そのレースだけに集中していて、多分、ドレッセル選手も疲れていたり気が抜けていたりしていたと思うんですが、それでも「絶対に勝つ!」という気持ちで泳いだら勝つことが出来て、本当に自信になりました。

──去年末から競泳の強豪国・オーストラリアの練習に参加したそうですが、これはどういうきっかけだったんですか?

オーストラリアの選手は、100m泳ぐ中で、後半の50mが速い選手がすごく多いんです。僕のチームメイトは、基本的には前半がすごく速いんです。でも、後半の50mで失速してしまう選手が多いんですね。
“それ(後半に強い理由)は何なのか?”を知るために、コーチがコンタクトを取って、オーストラリアへ練習に行く機会を作ってくれました。

──後半の強さの秘密というのは、惜しげもなく見せてくれたんですか?

もう、本当に何も包み隠さず見せてくれて。一緒に練習させてもらっている中で学ぶことは、そこ(後半に強い理由)がすごく大きかったので。
今の自分も、それが“ストロングポイント”とまではいかないですけど、弱点だったのが、普通のレベルまでは来ているなと実感しています。

──ちなみに、その秘密とは何だったんですか?

オーストラリアの選手は、基本の泳速、泳ぐ速度がすごい速いんです。
イメージしたらわかると思うんですが、水泳だけじゃなく、頑張って練習した後って、ダラダラしたくなるじゃないですか。全力で走った後に、姿勢を意識しながらウォーキングとかしている人もあまりいないと思うんですよ。
でもオーストラリアの選手は、全力で泳いだ後も、丁寧に丁寧に泳ぎ(フォーム)に気を付けながら泳いでいる。だから、100m泳ぐ中でも、後半の50m、身体がしんどい中でも姿勢を維持した泳ぎが上手で、だからバテにくい。それが一番大きいです。


──スプリンターとして、川本選手のストロングポイントと言われている“ドルフィンキック”。ご自身では、自信のほどは?

正直、めちゃめちゃ自信はあります。
ただ、50mのレースだとそれが自信に繋がっているんですが、100mの場合は、後半の(ターン後、潜行が許されている)15mで自分の強さを出し切れていないんですよね。
それは何故かと考えた時に、“やっぱり後半バテてしまうんじゃないか”という、メンタリティの部分ですね。そこがすごくあった。
でも今は、オーストラリアに行って、後半にバテない泳ぎや、体力の部分でも進化しているので、そこで攻められるなと。自分の強味を活かせるレースが出来るなと考えています。

──いよいよ今月、世界選手権が福岡で開催されますが、今の心境は?

自国開催なので、東京オリンピックで結果が出せなかったという(悔しさを晴らすために)、まずはここで、自分の思ったレースや記録で泳いで、観客を沸かせたいなと考えています。

──世界選手権も延期、延期でしたが、今は有観客な上に声援もOKですから、楽しみなんじゃないですか?

本当に。観客が入って、その中でレースをして、自分が良い記録で泳いでいる、というところを何回も何回も(頭の中で)イメージ出来ているので、それが現実で出来ればすごく嬉しいです。

──どのような泳ぎを目指していますか?

7日間開催で、50mバタフライが初日になるので、まずはしっかりとチームに勢いを付けられる、“特攻隊長”じゃないですけど、そういうレースが出来たらなと考えています。

──水泳は個人競技なのに、観ていると選手みんなが仲が良くて、そこで勢いに乗るとメダルラッシュになりますよね。

本当に。特に50mでメダルを獲る選手はなかなか生まれてこないと思うんですけど、僕がそこの立役者となって、チームに勢いをつけられれば最高ですよね。

──この番組では、ゲストの方にCheer Up Songを伺っています。川本武史選手の心の支えになっている曲を教えてください。

大黒摩季さんの「熱くなれ」です。
大黒摩季さんは、この「熱くなれ」を知る前に、まずはアニメ「スラムダンク」(大黒摩季さんがエンディングテーマ「あなただけ見つめてる」を歌っている)から入りました。
それで、大黒摩季さんのいろんな曲を聴くようになって、この「熱くなれ」という曲を聴いた時に、自分の中で何かがすごく燃え上がるというか、レースの前に聴くとめちゃめちゃボルテージが上がって、集中出来るんです。
それで、自分の中でのCheer Up Songになっています。

──最後に、川本武史選手が世界選手権の50mバタフライで目指している、泳ぎ、タイムを教えてください!

まずは決勝の舞台で戦うということが一番の目標なので、まずは入賞を目指して。タイムとしては、22秒93。これがアジア記録になっているので、この記録を更新できるように頑張りたいと思います。



今回お話を伺った川本武史選手のサイン入り水泳キャップを、抽選で3名の方にプレゼントします。 ご希望の方は、番組公式ツイッターをフォローして指定のツイートをリツイートしてください。当選者には番組スタッフからご連絡を差し上げます。

そして今回お送りしたインタビューのディレクターズカット版を、音声コンテンツアプリ『AuDee』で聴くことができます。
放送できなかったトークが盛りだくさん! ぜひお聴きください!

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