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2023.05.13

「意識から違う」渡蘭して感じた、オランダと日本ホッケーの大きな差

今週の「SPORTS BEAT」は、ホッケーを特集! 東京オリンピックに出場し、現在も日本代表として活躍している、ホッケーの及川栞選手をゲストにお迎えしてお話を伺っていきました。
及川栞(おいかわ しほり)選手は、1989年生まれ、岩手県出身。
お母様がホッケーの元日本代表キーパーだったこともあり、子供の頃からホッケーを始めます。
2018年、東京オリンピックの大陸予選を兼ねたアジア大会で日本の初優勝に大きく貢献し、アジア年間最優秀選手にも選出。
現在、タカラベルモントに所属し、プロのホッケー選手として、東京ヴェルディ・ホッケーチーム、そして2024年パリオリンピック・女子ホッケー日本代表「さくらジャパン」候補に選出され、日本の女子ホッケー界を牽引されています。




──及川選手は、この番組にご出演いただくきっかけが、ちょっと変わっているんですね。リスナーの方が送ってくださるメッセージフォームから、メッセージを送ってくださった?

はい(笑)。もう行動するしかないなと思って。ホッケーはまだまだ日本ではマイナー競技なので、“絶対的に知ってもらいたい!”という気持ちがあふれ過ぎて、送っていました(笑)。

──ありがとうございます(笑)。これがきっかけでご出演いただいているわけですね。ということは、この番組を聴いてくださったことがあるんですか?

ありましたし、知り合いのアスリートが出演したりしていて、“もう、これは私も出なきゃいけないんじゃないかな”と思って(笑)。

──お知り合いがご出演されたなら、むしろそのルートでいいのに(笑)。

いえ(笑)。そこは正々堂々と、“ホッケーを広めたい”という気持ちを全面的にアピールしたいなと思って、番組のメッセージフォームに入力しました。

──オランダにも渡って活動されていたとのことですが、オランダというのは、(ホッケーの)レベルが高い国ですよね。

世界1位です。東京オリンピックでも金メダルを獲得した国です。

──日本を飛び出して、よりレベルの高いところで、“自分をもっと高めたい”ということで挑戦されたんですか?

本当にその通りです。2013年から日本代表に入って経験していく中で、世界ランク1位のオランダのホッケーが、対戦していてもすごく楽しいんですよね。
「何でこんなにパスが繋がるんだろう」「何でこんなに対戦相手に“面白い”と思わせるホッケーをするんだろう」って、すごく“知りたい!”という欲が強くなってしまって。
当時、実業団のチームに所属していて、(所属していた)ソニーHC BRAVIA Ladies(ソニー・ホッケークラブ・ブラビア・レディース)は、日本で1位だったんです。ありがたいことに、私は日本一を何回も経験させていただいて。“日本1位のホッケーも楽しい。でも、世界1位のホッケーはどれだけ楽しいんだろう? どんなトレーニング? どんなことを考えて、どういう過ごし方をして、この人たちはやっているんだろう?”というところにすごく興味が出て、世界ランク1位のオランダに行くしかないなと思ったんです。

──すごい行動力ですが、向こうも受け入れてくれたんですか?

きっかけとしては、私が2016年にオランダに行く前の年になりますが、ホッケーのスキルの1つで「ドラッグフリック」というものがあって、それだけを学ぶ講習会が、オランダであったんです。私もそのスキルを習得しつつある時だったので、そこに、チームから派遣させていただいて。その時に講師として来てくださった方が、タイミング良く、次のオランダのチームの監督になるという時で、その時一緒に行っていた通訳の方に「私はオランダに来たい」ということをずっと伝えていたので、そこでお話をしてくれて、帰る時に、「来シーズン、タイミングが合えばあなたと一緒にホッケーが出来たらいいね」と言ってくれて、その一言がきっかけで、ポンポンポン!と(オランダ行きが決まった)。


──実際に行ってみて、オランダの強さの秘密はありましたか?

ありましたね。オランダのリーグは、基本的に、1部リーグ、1番上の最高峰のトップリーグは、ほとんどプロなんです。
もうまず、(日本とは)意識から違いました。
(ホッケーは)日本ではまだまだマイナーで、企業スポーツなんです。なので、バックヤードの企業のサポートがすごく強いというのはとてもありがたいんです。プロと違って、もし(チームの)スターティングメンバ―や日本代表にならなくても、同じようにサポートしてくれる。
でも、(オランダの)クラブチームの人は、スターティングメンバーで出るのと、スターティングではなく出るのと、得点を取るのと、オランダ代表で(出場が)あるのかどうかというところで、給料が違うんですよね。
となるとやっぱり、“少しでも上に行きたい”という欲の強さが、まず違う。ホッケーに対する意識が違うということはすごく感じました。

──練習も違うことをやっていましたか?

やっていました。スキルを教えられる人たちがたくさんいました。私が1年目にオランダで学んだスキルを、日本に帰ってきてから1年半後に日本で教え始める人がいて。“これだけ時差があるというか、スキルを考える、スキルを発掘できる人が、オランダには多いんだ。だからこれだけ進んでいるし、トップレベルのホッケーなんだ。世界で勝っていくチームは他の人が知らないスキルを知っているから、それに対して、知らない国はどう対応すればいいんだろう”って、少し慌ててしまうところがあったんです。(強い国は)それを普通にやっているんですよね。

──オランダでは、ホッケー人気が高いんですか?

めちゃくちゃ高いです。オランダは、野球もサッカーも全て入っている大きいスポーツ店で、マネキンがホッケーのユニフォームを着ているんです。お店に入ってすぐにホッケースティックがあって、マネキンがホッケーのユニフォーム。“羨ましい!”って思いました。

──街のいたるところにホッケーが出来る環境があるんですか?

環境もありますし、私の行っていたクラブチームが、ホッケーのピッチを8面持っていたんです。8面ですよ! ホッケーコートはサッカーコートのひとまわり小さい大きさなので、“あれを8面!? すごいな!”と思いました。
選手にとっては最高の環境であり、最高の場所で、最高の国でした。

──その中で、途中でプロ契約をされたんですよね。そこで改めて思ったことは?

日本では企業に勤めていて、お仕事をした後に移動して練習、というルーティーンだったんですが、ホッケーだけを考えられる生活というのは、私にとって幸せな時間だなと思って。やっぱり身体を使うスポーツなので、少しでも“痛いな”と思ったら休みたい。けれど、仕事があると(会社に)行かなくちゃいけないので、ホッケーを第一に優先することが難しい環境だったんです。
プロになったら、ちょっと痛かったら、“すぐケアに行こう”“少し休もう”という風に、自分の身体をメインに考えられる。やっぱりこれがホッケー選手としてベストな環境なんだな、追求するにはこの環境なんだなと思いました。

──その一方、結果を出していかなくてはならないプレッシャーもありますよね?

そうですね。日本女子ホッケー選手の初めてのプロになったわけですけど、逆に、前例がなかったので、自分が成功するか失敗するかは自分次第だなと思いました。
なので、自分のやり方で、それが結果的に失敗だったのか成功だったのかは一概には言えませんが、自分なりには成功だったなと思っています。
前例がない分、自分が自分の思い通りに行動すれば何かしら結果は出てくるだろうと思って、自分を信じて行動し続けました。

──チームメイトとは仲良くなれましたか?

はい。親友と呼べる人も出来ましたし、今でもチャットし合ったり、世界大会で会うと「Hey, what's up?」みたいな感じで(笑)。

──世界大会に行った時の気分も違いますよね?

違いますね! (チームメイトと)会えるのもすごく楽しいです。ホッケーはスティック1本で友達になれて、世界大会でライバルとしては戦うけれど、それ以外のところでは友達なので、いろんな話が出来たり、本当に世界が広がりました。

──サッカーの日本代表の半分ぐらいが海外組だったりしますが、ホッケーは、海外でやっていらっしゃる方は(他にも)いるんですか?

徐々に増えてきています。今現在は、3人がオランダに行っています。1部リーグではない人もいるんですけど、「若い時から海外に行って挑戦しよう」ということが徐々に認められつつあって、それを後押しする企業も増えてきたので、本当に良い環境になりつつあるなと思っています。

──及川選手が先陣を切ったおかげで、他の人たちも次々と挑戦しているんですよね。

相談は受けますね。「どうやったらいいですか?」「どんな準備が必要ですか?」「海外に行きたいんですけど、どうしたらいいですか?」とか。男女問わず聞かれますので、私の経験したことをお話したり、出来ることがあればお手伝いをしています。

──この番組では、ゲストの方にCheer Up Songを伺っています。及川栞選手の心の支えになっている曲を教えてください。

ナオト・インティミライミさんの「Brave」です。
よく試合前に聴くんですが、“Brave”は、“勇気”“勇敢”。闘っていく前に、自分にパワーをくれる曲です。
歌詞に聴き入っちゃいますね。これで、“よし! 今日も勝つぞ!”って。
大学、社会人の頃から聴いていて、オランダでも聴いていました。海外に行くと洋楽を聴くことが多いんですけど、たまに日本語が聴きたくなるんです。そういう時にはこの曲を選曲して聴いて、“よし、今日も頑張ろう!”という気持ちにさせてくれた曲です。


来週も及川栞選手にお話を伺っていきます。お楽しみに!



今回お話を伺った及川栞選手のサイン入り色紙を、抽選で1名の方にプレゼントします。 ご希望の方は、番組公式ツイッターをフォローして指定のツイートをリツイートしてください。当選者には番組スタッフからご連絡を差し上げます。

そして今回お送りしたインタビューのディレクターズカット版を、音声コンテンツアプリ『AuDee』で聴くことができます。
放送できなかったトークが盛りだくさん! ぜひお聴きください!
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