JDリーグ(JD.LEAGUE)とは「Japan Diamond Softball League」の略称で、「女性として宝石のダイヤモンドのように輝く」という意味が込められ、全16チームが東西に分かれて頂点を争います。
3月28日に行われた開幕戦では、東京オリンピックでも大活躍した後藤希友(ごとう・みう)選手やモニカ・アボット選手を擁する「トヨタレッドテリアーズ」。
そして、リーグ3連覇の覇者にして、上野由岐子(うえの・ゆきこ)選手や藤田倭(ふじた・やまと)選手を擁する「ビックカメラ高崎ビークイーン」の、夢のカードが行われました。
その結果は、お互いに一歩も引かないヒリヒリした投手戦となり、7回にトヨタの下山選手の先制タイムリーが決勝点となり、1対0で「トヨタレッドテリアーズ」が開幕戦を勝利で飾りました!
そして、4回無失点で見事勝利に貢献した先発の後藤希友投手に、試合後にお話を伺うことが出来ました!
──記念すべき、新しく始まったJDリーグの開幕戦。先発投手でしたけれども、いかがでしたか?
今、試合を終えて、安堵感と“すごく楽しかった”というのが今日の印象です。
私は、昨年度のオリンピック以降のリーグ戦で緊張したことがなかったんですけど、オリンピック以来、初めてオリンピックと同じくらい緊張して、久々に“こんなに緊張するんだ”と改めて肌で実感しました。
──やはり、新しく始まるJDリーグだから?
JDリーグだからといって何かを変えたというわけではないんですが、今年初めての開幕戦で、“こんなにも観客の方が観に来てくださるんだ”“久々にこんな大人数の中で投げるんだ”という緊張感もありましたし、私自身が昨年度のリーグでMVP・最多勝・ベストナインと三冠を獲らせていただいたり、個人的にもすごく良い形でリーグを終えていたので、ファンの皆様の期待に応えるプレッシャーもあり、正直、試合前までは緊張や不安がありました。
──東京オリンピックで久しぶりにソフトボールが復活したということで注目されていましたけれども、残念ながら無観客の中の試合でしたから、今回、JDリーグということで多くの人が集まってくれて、プレーしていて楽しかったんじゃないですか?
そうですね。“たくさんの人の前で投げることが幸せだな”と改めて感じましたし、ビックさんも私たちトヨタも、みんながみんな元気だったというか、盛り上がっていたんですけども、それと同様に、ファンの方もすごく楽しんで観てくださったんじゃないかなと感じたので、私としてもすごく良かったなと思っています。
──今日は、相手が3連覇を果たしてるビックカメラということだったんですが、息詰まる投手戦でしたよね。
そうですね。本当に正直なところ、3回でランナーを2人背負ってしまった場面では、今だから言えるんですが、“これは点を取られる”と思いました(笑)。
──JDリーグ初となるヒットを打たれてしまって、その後ちょっと不運な内安打もあって、1アウト2、3塁ですか。
はい。それで、けっこうプレッシャーというか、“これは抑えられる自信がない”って一瞬思ってしまったんですけど、でもなぜか、キャッチャーの切石(結女)さんを見た時にちょっと安心したというか、「今日の球は絶対大丈夫、抑えられる」と言ってくれたので、そこでちょっと切り替えられたというか、ホッとしました。
──僕はソフトボールの試合を生で観たのは初めてだったんですが、塁間の短さにちょっとびっくりして。
そうですよね。打球がどこにあるかわからないくらい、けっこう速いですよね。
──だからやっぱり、ディフェンス面、ソフトボールの守備力というのは本当にすごいんだなと思いましたね。
今日は三振が少なかったというか、打球が出ることが多かったので、日本の守備というのは世界でナンバーワンだと言われているので、そこを皆さんに観てもらえて良かったかなと思います。
──そして今日は、1-0で素晴らしい初勝利になりましたね。
7回の下山(絵理)さんのヒットがなければ、本当に(厳しかった)。
もちろん全員がタイブレークを覚悟して戦っていたので、今日はピッチャー陣は私と三輪(さくら)さんとモニカ(・アボット)が登板しましたけど、3人とも「絶対に0で抑えよう」という気持ちもあり、「バッターが打ってくれるまで粘らなきゃ」という気持ちが強かった。でもやっぱり相手がビックカメラさんということもあって、1番から9番までが全員4番なんじゃないか、というぐらいの打線なので、私も正直“ここは持ちこたえられるのかな”という気持ちもありながら、投げました。
──馬場(幸子)監督とは、この開幕戦を迎えるにあたってどんなことを話されたんですか?
すごく申し訳ないことしちゃったんですけど、多分、監督が試合前に選手全員に何か大事な話をしてたんですね。でも、私はピッチングをしていて(その場に)いなかったという(笑)。
話を聞けていないので、試合が終わってから聞こうと思うんですけど、本当に申し訳ないことをしちゃったなと思いました(笑)。
でも試合に集中していたので、それは仕方がなかったのかなと思います。
──これから聞きに行くんですね?(笑)
そうですね。チームメイトに何を言われたか聞きに行きます(笑)。
──そして、今日3番手で投げたモニカ・アボット投手。衰えないというか、ものすごいスピードボールでしたね。
今日はすごく切れてましたし、本当に見ていて頼もしかったです。
こうやってアメリカの大エースが後ろにいてくれるということだけで私たちも思い切って投げれますし、点を取られない自信がこちらもつくので、本当にモニカが開幕に間に合って良かったなと思いますし、“今年もいてくれて良かったな”という安心感はすごくあります。
──同じサウスポーということで、影響というか勉強になる部分は大きいですか?
ありますね。勉強になる部分はもちろんたくさんあるんですけど、今は、私にとっては“一番良いライバル”です。モニカがいなければ私自身こういう活躍はできなかったと思ってるんです。“モニカがこうして結果を残すから自分もやらなきゃ”と思えたり。
勝手にですけど、向こうはどうかわからないですけど、切磋琢磨させてもらっていて、すごく良い関係かなと思ってますね。
──そして、相手のビックカメラさん。東京オリンピックを一緒に戦ったメンバーも多かったと思うんですけれども、何か声を掛け合ったりとかはしたんですか?
試合前はなかったですね。でも、試合が終わって、今から高崎に帰られるという時に、「夜中の2時ぐらいに着くから早く帰りたい」ってみんな言ってました(笑)。それぐらいですね。
──新たに発表になった今年の日本代表は、この2つのチームから20人中13人。新たな日本代表にかける思いはありますか?
私自身は変わらず、今までと同様に最年少ということで代表に入らせてもらうので、やるべきことは変わらず、代表に行けば行くほど本当に成長して帰ってこれる場所なので、代表に行ってもっともっと大きな存在になって、トヨタに影響をもたらすような存在になれたらいいなと思っています。
──今シーズンに向けての目標をお聞かせください。
今日は私のイメージ通りの良い試合ができたので、まずはこの1勝を次の試合の糧としてこれからも経験を積んでいきたいですし、今シーズンはまず昨年度の結果を上回りたいというのが一番強い気持ちなので、三冠以上、できれば四冠を今年は獲りたいなと思います。
──新たに始まったJDリーグを盛り上げていきたいですし、多くの人にやっぱりスタジアムに来て実際のプレーを観てほしいですよね。
そうですね。試合を直接観に来た方はなおさらですけど、ソフトボールならではの距離感やスピード感が、やっぱり生で観ると改めてすごいと実感してもらえるので、「ソフトボールって楽しいんだ」ということを1人でも多くの方に広めていけたらいいなと思っています。
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