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2023.04.29

「メンタルのせいにしない」不安や緊張に負けないための心の持ち方

今週の「SPORTS BEAT」は、スピードスケートを特集!
先週に引き続き、オリンピックに3大会連続で出場し、金メダル2つ、銀メダル1つを獲得している髙木菜那さんをゲストにお迎えしました。

髙木菜那(たかぎ なな)さんは、1992年生まれ、北海道出身。
スピードスケートの日本代表選手として、オリンピックには2014年のソチ大会から3大会連続で出場。
2018年の平昌大会では、日本人女子として初めて、オリンピックの同一大会で2つの金メダルを獲得するなど、輝かしい成績を残され、昨年(2022年)春をもって、競技生活から退ぞかれています。


──4年に1度のオリンピックに3大会連続で出場。それぞれのオリンピックの印象は違いましたか?

全然違いましたね。匂いだったり、温度だったり、会場の肌の感覚だったり、記憶は意外と色々残っていますが、3つとも全然違う大会だったなと感じます。

──妹の髙木美帆選手が先にオリンピックに出られていましたが、菜那さんが初めてオリンピックに出られた時はどのような思いでしたか?

(妹が出場した)バンクーバーオリンピックを生を観て、本当に“次は私が出たい!”と目指し始めたのがソチオリンピックだったんですよね。「出たい、出たい」と言っていて、その想いで出られたオリンピックだったので、すごく嬉しかったんです。
でも、“オリンピックって、出るだけではダメなんだな”と感じたのも、ソチでした。結果を残さなければならないし、“オリンピックに出たい”という気持ちだけでは、出るだけで終わってしまうなと。“金メダルを獲るためにどうしていくのか”ということを思い知らされたオリンピックだったなと思います。
その中で、北島康介さんが本当に格好良いなと思ったんです。強気なことを言って自分にプレッシャーをかけて、そこで結果を残す。どれだけの努力をしてきたんだろう、と。その隠れた思いの後ろには、いろんな日々があるんだろうなと。それが出来るのは格好良いし、そういう選手になりたいなと思いました。
ソチが終わって、本当にメダルが欲しいと思ったので、“絶対に獲りに行くんだ”と思って、ずっと言葉に出すようにしていました。


──菜那さんがトレーニングで一番大切にしていたこととは?

“頭を使う”でしょうか。ただやるだけではなく、1つ1つの練習の効率を上げる。“その練習にどういう意味があって、どういうトレーニングで、どういう身体の使い方をして、だからこうなってこういう風になるんだ”ということを、ずっと頭で考えていました。考えながらやる人と、ただ言われたことをこなすだけの人とでは、それが積み重なっていくと、すごい差になるんですよね。
それを考えられるか、(考えることが)出来ないかは、アスリートとして大切なことだと思います。
多分、仕事でも、言われたことをやるだけじゃなくて、1つプラスして“自分で考える”ということをやると、いろんなアイディアも生まれると思います。成功に早く導かれたりもするので、私は“考える”を大切にしていました。


──アスリートに限らず、緊張や不安のある中で、ここぞという時に、いつも通りのパフォーマンスを発揮するために心がけていたことはありますか?

「メンタルのせいにしない」!
例えば、“私は本番に弱いから”とか、“緊張しちゃうから結果が出ないんだ”ということを、最初は私もそうだと思っていたんです。チームパシュートでは金メダルを獲ったけれど、(個人の)1500mとかで結果が出ないのは、1人だと緊張しちゃうからだと。
でも、色々言われて、違うかもしれないと思ったんです。どんなに緊張していても、出た結果が自分の結果なので、そこを認めなきゃいけないんですよ。
じゃあ、“なぜ出来なかったのか”というところに目を向けて、“緊張してしまったら、姿勢が上がってしまって、感覚が変になる。それなら、緊張していても姿勢を低く出来るように練習をすればいい”と思って。1つ1つ、練習で出来ることを少しずつ増やしていって、それを試合で試して出来たことは、もう自分のものなんです。それを増やしていくと、どんなに緊張したレースでも、ずっと増やしてきたものが自分の中にあるので、しっかり結果が残せる。
あとはもう、「後悔しないように、心から思い切って行く!」というレースをしたからこそ、全部を出せた、リミッターが外れたんだろうと思います。
最初から全力で行っても、元が出来ていないと結果は出ないから、練習で出来たことが積み重なって自信になる、緊張していても出来る、ということにつながる。緊張をなくすことは難しいですが、“緊張した中でも出来るようになるしかない。そうでないと結果を残せないのだから”と思って、そちらに転換していったら、意外とどの試合もコンスタントに結果が残せるようになりました。

──だとしたら、どんどん緊張が弱まっていったんじゃないんですか?

全然、夜に寝られなかったですからね。もう本当に身体がよくわからなくなってしまって。北京オリンピックの1ヶ月前は、毎日3時間しか寝られなかったりという状態がずっと続いていたけれど、寝られなくても(実力を出すことは)出来るし、それだけ緊張していても自己ベストが出せたので、だから多分、緊張はそんなに悪いものではないと思います。緊張していないと、100%の結果が出ることは少ないんです。リラックスしすぎていても良くないので。
どこまで、周りじゃなくて、自分自身を見てあげられるか。私もあまり出来た方ではなかったんですけど、強い選手はそれ(自分自身を見る)をすごくするんです。自分に目を向けてあげるということをやってあげると意外といいのかなと思います。

──この番組では、ゲストの方にCheer Up Songを伺っています。今週も髙木菜那さんの心の支えになっている曲を教えてください。

この曲は、私が引退してから大切な曲になったんですけれど、湘南乃風さんの「夢物語」です。
以前から湘南乃風さんは聴いていたんですが、この曲は、テレビのお仕事でお会いした時に生で歌ってくれて、初めて知ったんです。
今までずっと、“妹と自分”を比べてきてしまった自分がいて、“もうそろそろ、自分1人で走り出そうよ”と。これからの私の人生が、スケート人生より、もっと色濃くなる。私にしか出来ないことを積み重ねていきたいなと思った時に、私にとって、とても大切な曲になりました。

──来年、パリオリンピックが開催されますが、菜那さんが注目している競技は何ですか?

ブレイキンです。
私がブレイキンが好きだということもありますが…ダンスを観るのが好きなんです。観ていて面白いなと思うので。ダンスって、カルチャーやいろんなものがありますが、今回、オリンピック種目になって、どういう風に見えるのか、楽しみだなと思っています。
他のスポーツも面白そうだなと思います。最近、初めてラグビーを観戦して、めちゃくちゃ面白かったので、ラグビーも観たいなと思います。すぐワールドカップもあるので、まずそちらを観て、いろんなスポーツを観たいですね。
他の、世界選手権とか大きな大会はたくさんありますけど、やっぱり4年に1度のオリンピックというのは(他の大会とは)違う場所だし、そこで結果を残したいと思っている選手がたくさんいるんですよね。
だからこそ、スポーツは結果が全てではあるんですが、結果が出ると嬉しいけれど、選手1人1人が4年間に込めてきた思いを見られるのがオリンピックなんだと思います。日本の選手だけではなく、海外の選手も、“そこにすべてを詰め込む”というのは、アスリートにとって本当に素晴らしい場所だなと思うので、だからこそ、オリンピックを目指している人たちに、リスペクトの思いを込めて応援していきたいなと思います。



今回お話を伺った髙木菜那さんのサイン入り色紙を、抽選で1名の方にプレゼントします。 ご希望の方は、番組公式ツイッターをフォローして指定のツイートをリツイートしてください。当選者には番組スタッフからご連絡を差し上げます。

そして今回お送りしたインタビューのディレクターズカット版を、音声コンテンツアプリ『AuDee』で聴くことができます。
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