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2023.03.25

劇的サヨナラ勝利!激闘・メキシコ戦を徹底解説

今週の「SPORTS BEAT」は、引き続き、WBC特集! 投手として日米通算で900試合登板を達成している五十嵐亮太さんをゲストにお迎えし、準決勝までの侍ジャパンをハイライトで振り返っていきました。
日本代表「侍ジャパン」は、3月21日に準決勝でメキシコと対戦し、6対5で日本が勝利!
今回の放送では、その準決勝直後に収録されたインタビューをお送りしていきました。



──メキシコ戦、劇的なサヨナラ勝ちでしたね!

日本中が揺れたんじゃないですか。吉田(正尚)選手のホームランの瞬間と、村上(宗隆)選手のサヨナラヒットの瞬間。この2回は大興奮でした。すごい試合でした。接戦になることは予想されていましたが、ここまでの接戦になるとは…。
あと、メキシコ打線が長打もある中で、先制されたじゃないですか。その後の日本は、「塁には出るけれど1本が出ない」という苦しい戦いだったので、途中、観ていた方は“日本、(勝つのは)無理なんじゃないかな”と思ったんじゃないでしょうか。

──先発の佐々木(朗希)投手は、調子が良さそうでしたよね?

良さそうでした。初めて投げる球場でコントロールするのって難しいんですよ。
序盤から、いきなり、キーマンとなっていくアロザレーナ選手をしっかり三振で抑えるところからスタートして、立ち上がりはめちゃくちゃ良かったんですよ。
それが、4回。ポテンヒットとか、その前の外角に外したストレートの時、シフトを敷いていたんですよね。それで3塁線をゴロで抜けてしまって…。シフトを敷いていなければ3塁ゴロだったのにな、と思った方も多かったと思うんですよね。
でも、それを言っていたらキリがないので。ピッチャーとしては苦しい展開でしたよね。そしてフォークボールが落ちずにレフトに運ばれたという。

──佐々木投手が、WBC球が大きく感じる、フォークが高めに抜ける時があると試合前にコメントしていましたが、まさにその危惧が当たってしまったという…。

とはいえ、あの1球だけではないんですが、2イニングぐらいから、メキシコ打線が、フォークボールとまっすぐメインを投げてくるという判断から、結構見極めるようになったんですよ。
それを見てちょっと怪しいなというのはあったんですが、それでも、甘い球を見逃さずにホームランにしたバッターがすごかったと思いますね。

──アメリカで初めて佐々木投手が投げたわけですが、メジャーの30球団が、“これは本物だ”と思ったはずですよね。

そうでしょうね。まっすぐの速さも(申し分ないですし)、ストレートで空振りも獲れていましたし、アメリカのバッターにも低めのフォークが通用するというのもうっすら見えてきていると思うので、ここから佐々木投手がどう進化していくかというところは、アメリカのスカウトがずっと追っていくと思います。

──3点リードされた展開でしたが、そこからはどう感じられましたか?

最初に佐々木投手から山本投手につないだんですが、間にもう少し誰かを挟むかもなと思っていたんですけど、直接つなぎましたね。
多分、4回までしっかり見切って、「5回から山本(由伸)で行こう」と決まっていたのだと思います。そこで相手に流れが行きそうなところをなんとか踏みとどまって抑えていたんです。それがあったからこそ、7回のホームランにつながったのかなと思います。

──吉田(正尚)選手、すごかったですね。

すごかったですよね。インコースへのチェンジアップ系の難しいボールをホームランにしたんですが、あの場面を、僕は内川(聖一氏)と話しながら観ていたんです。「あのボールをホームランに出来るって、すごい技術だよね」と。
この日の吉田は、1打席目でセンター前、2打席目でもレフト前、というところで、選球眼もいいし、ヒットゾーンに持っていけるバッティングをしていたんですよね。「ここでどうにかならないか」というところでのホームランだったので、この同点になったホームランで日本が揺れましたね。

──右手1本でしたね。

右手1本でしたね。
実は、ちょっと遡ると、山本投手が投げていて、盗塁されて、それを甲斐(拓也)選手がさしてリプレイ検証になった。
ランナーが掻い潜ってアウトかセーフかというところで、最初はセーフのジャッジだったんです。でもリプレイ検証でアウトになって三振ゲッツー。「これはいいぞ!」というところからの吉田選手のホームランだったので、シナリオ的にはここまで完璧ですよね。

──これでせっかく追いついたのに、8回。

このまま山本投手が最後まで行くのかとイメージしたんですが、やっぱりメキシコは強かったですよね。
9番から始まったんですけど、最初は三振を獲ったんですよ。やっぱり、アロザレーナですよね。彼は試合前から注目されている選手だったんですが、2ベースで出て、その後、ベルドゥーゴ選手が打って、1点入って。その後、3番バッターにレフトに打たれたところで湯浅(京己)投手に替わるんですけど、先頭(打者)を三振で獲ったんです。球自体めちゃめちゃ良かったんですよ。このまま行くかなと思ったら、次のバッターにレフト前に打たれて。2点目を取られた時に、“これは終わっちゃうんじゃないかな”と思いましたね。横にいた内川も半泣きでしたよね(笑)。

──その後ですよね!

9回、大勢投手が抑えて、いよいよ大谷選手から始まった9回の攻撃。大谷選手が後のコメントで、“なんとしても塁に出る、絶対に自分が出る”と(決めていたと)話をしていたそうです。
絶対に塁に出たい時って、だいたい初球を見送りたいんですよ。1球で終わってしまった時、チームの“ああ、終わった”という雰囲気が強くなってしまう。そういう中で、しかも2塁打というのも大きかった。
1塁を回った時に、ヘルメットを自分で取ったんですよ。2塁に到達した時の、ベンチに向かっての両手を上げての、“カモン!”みたいな…“やったぞ! いくぞ!”みたいな(表情)。もう、鳥肌が立ちました。
今回、“(自分は)日本の中心選手だ”と、チームを鼓舞しなければいけない立場で、初回から声が出るような全力投球をしてきたじゃないですか。そういった気持ちの強さが現れていたと思います。

──9回裏の大谷選手の2ベースは、応援側も“いける!”と気持ちが入りましたよね。

映像を見ていると、佐々木投手が3ランを打たれた時に、大谷選手が映ったんです。その時の大谷選手の表情が、“やってやるよ!”みたいに頷いていたんですよ。“今から俺たちがやり返すから、待っとけよ”みたいな頷きを見せた時に、“これはやっぱり、大谷選手が最後やってくれるのかな”と。“ここから大谷劇場が始まるぞ”と、僕は感じましたね。
最終的にここで打って、吉田選手がフォアボール。ノーアウト1、2塁で、村上。

──この場面で吉田選手を周東(佑京)選手に変えたのはびっくりしましたね。

1塁ランナーを足の速い選手にするというのは、“ヒットを打って最後までサヨナラのランナーを返すぞ”という意志なんですよ。
後で村上選手のインタビューを聞いたら、「自分は、ノーアウト1、2塁の場面だったし、バントの可能性があるんじゃないかなと過ぎった」と。確かにそうですよね。タイブレークに持ち込みたい。最低でも同点。うまくいけば、サヨナラのチャンスを作るには、村上がバントして、2、3塁の場面を作るのが僕もベストだと思ったんですよ。でも、栗山監督が1塁を周東にしたので、“あれ? これ、打たせるのかな?”と。で、村上が打席に行く前に、監督が城石コーチにメッセージを託して村上に伝えたのが、「宗、ここは打ってもらうから。打ちにいくから頼むよ」ということだったんです。
村上は、それまでの打席、三振、三振、三振、そのあとサードフライ。全然タイミングがわかっていなかったんです。そんな村上に、「村上、頼むよ」って言われたら、そりゃ、やりますよね! 奮い立つものが絶対にあったと思います。
そこからの左中間、サヨナラタイムリーですから。

──周東選手、速かったですね!

速かったですね。クロスプレーにならなかった。どこにいるのかなと思ったら、もうホームベースの手前にいましたね。いいスタートが切れていますよね。
村上自身は、“ホームランいってくれないかな、もしかしたら可能性がある”と思ったらしいですが、あそこの球場は広くて、「メジャーの球場でもっともホームランが出にくい球場」と言われているんですよ。ホームランにはならなかったけど、とてつもない当たりでしたよね。
栗山監督の決断ですよね。僕は間違いなく“送る”場面だったと思ったんですが、でも栗山監督は、「村上はすごいバッターだと世界に証明させたかった」と。その言葉通りの結果になりましたね。

──栗山監督は選手への愛情がすごく強いですよね。

そうですね。選手を下の名前で呼んでいて、距離感を縮めますよね。栗山監督は、選手にもそうなんですけど、メディアにもそうなんですよ。僕なんかにも、“亮太”って言ってくれるんですよ。「亮太、この間、台湾に行ってきた取材を見たよ」と。僕が台湾レポートをした時に、次に上がってくるイタリアチームの分析をいろんなところでお話したんですが、「あれがあったおかげで、聞いて良かったよ」と言ってくれて。そういう人なんですよ。
僕らにもそういう方なので、選手やコーチに対してもそういった対応をしてくれる。村上とかにも、「あそこで打ってくれ」という気持ちが伝わるじゃないですか。打った時に、“栗山さんは自分のことを信用してくれた”というところが絆の強さになるので。チーム作りがとても上手いというか、そういう組織作りがうまいですよね。

──五十嵐さんだったら、大谷選手はどう攻めますか?

(笑)。大谷選手の打ってきた姿を想像しているんですが、インコースのボール球を、詰まりながら、バットが折れながらホームラン打つわけですよ。低めの外の変化球をヒザを折りながら、ヒザをついてホームランにするわけです。
投げるところ、ないですよ。インコース、ホームラン。外に逃げるボールもホームラン。無理ですね。そもそも、僕が戦ってきた次元の人ではないので。こういうつまらないことは考えないようにします(笑)。ひたすら彼のファンであり続けたいなという。大谷選手が投げるところ打つところをひたすら見て喜ぶ、ファン目線で行こうと思うぐらい、魅了されましたね。

──ダルビッシュ選手がキャンプ初日から来てくれたのはいい影響になりましたよね?

終わってみて、これだけいいチームになった。そのきっかけをまず作ったのは、ダルビッシュ選手なんですよ。そこから始まって、合流してくるメジャーリーガーの人たち、ヌートバー選手、吉田選手、大谷選手が入りやすい環境を作ったし、そこでまた結束力が強くなって。戦っていく中で、栗山監督の采配が冴え渡って、チームが、スタッフが、全員が1つになって戦い抜いた。それがこのWBCじゃないかなと思います。

──日本の野球が進歩しているなという印象はありませんでしたか?

ダルビッシュ選手や大谷選手のプレーを見て、日本でプレーしている選手がかなり刺激を受けていると思います。トレーニングもそうですし、“こんなに差があるのか”という、力の差を感じたと思いますよ。ホームランの飛距離、パワー。日本ではなかなか見ることができないですよね。
村上とかも、日本では三冠王ですけど、大谷選手を目の前で見て、違う国の選手と戦って、“世界のトップで戦う選手はこういう選手なんだ”とまた違った刺激を受けたと思うので、ここから先の村上にも注目したいなと思います。
守っている時に、外国のバッターから感じる“圧”ってあるんですよね。球場の雰囲気なども感じて、また向こうでやりたいという気持ちが強くなったかもしれないですね。


そして、この収録の翌日、3月22日(水)日本時間朝8時から、侍ジャパンは優勝をかけてアメリカと対戦!
最後は大谷VSトラウトという熱い展開を制し、みごと日本が3対2でアメリカを下し、3大会ぶり3回目のWBC優勝を果たしました!

侍ジャパンのみなさん、おめでとうございます!!!


今回お話を伺った五十嵐亮太さんのサイン入り色紙とサインボールを、それぞれ抽選で1名の方にプレゼントします。
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そして今回お送りしたインタビューのディレクターズカット版を、音声コンテンツアプリ『AuDee』で聴くことができます。
ぜひ聴いてください!
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3月25日(土)OA分の放送はこちら