坂元令奈監督は、1986年、大阪府のご出身。
小学4年生のとき、幼馴染の男の子が入っていた少年野球チームに加入。中学まで野球を続けますが、高校からソフトボールに転向し、高校卒業後は実業団チームに入団。
2008年からはトヨタへ移籍し、2009年からは8年連続で全日本に名を連ね、チームでは2016年、キャプテンを努めます
2019年に選手生活から退き指導者の道を歩まれ、今シーズンからトヨタレッドテリアーズの新監督として新たな一歩を踏み出されています。
──現在レッドテリアーズはJDリーグを2連覇して、常勝軍団としての活躍を期待されています。そんなレッドテリアーズですが、坂元監督が選手として移籍した2008年当時はそれほど強いチームではなかったんですか?
そうですね。当時は上位4チームが決勝トーナメントに出るという形でリーグが生まれたんですけれども、“決勝トーナメントに出る”という目標より、“何勝しよう”という目標を立てているようなチームでした。
──でも、坂元監督はそんな状況のトヨタを選ばれたわけですよね。
はい。その当時監督をされていた方から「これからトヨタを強くするんだ」「ここから新しいチームを作っていくんだ」とお声がけいただいていたこともありますし、あとは“試合に出たい”という気持ちや“全日本に入りたい”という気持ちもあってトヨタ自動車を選んだので、すごく思い入れがあります。
──「これから強い常勝軍団になっていくんだ」という明確なビジョンがあったからこその移籍だったわけですね。その坂元監督が移籍した翌年からリーグ1位が当たり前、キャプテンに就任した後の2016年から常に優勝争いをしているチームとなったわけですけれども、でも(2008年に移籍した時に選手が入れ替わって)10人が新しい選手だと、逆にチームとしてのまとまりはどういう感じだったんですか?
2008年は10人が入れ替わって、うまくいかないところもあれば、“こういうチームになっていくんだろうな”と見えたりするところもありました。2008年は決勝トーナメントには行けなかったんですが、2009年に北京オリンピックで銀メダルを獲得した(アメリカ代表の)モニカ・アボット選手とナターシャ・ワトリー選手がチームに加わったことで一気にチームが強くなっていったというところはあると思います。
──世界一の選手たちが入ってくれたというのはかなり大きいことだったと思いますし、そういうチームだからこそ坂元監督が学べたこともたくさんあったのではないですか?
そうですね。本当にプロ意識がすごく高い選手たちだったので、そこに私たちも引っ張られたところもありますし、あと、その2人が入ってくるということを聞いて、“本当に本気で優勝を目指しているんだ”ということが(チームに)伝わったことで、チームが1つになったところはあるのかなと思います。
──ソフトボールといえば日本のライバルの印象が強いアメリカですけれども、アボット選手とワトリー選手、人柄はどういう方だったんですか?
アボット選手とはワトリー選手は、最初から最後まで“特別扱いをされるのが嫌”というタイプで、ウォーミングアップから最後の片付けまでみんなと一緒にやるという人たちだったので、人間性も本当に素晴らしい選手たちでした。
──ただ、アメリカと戦う時はいつも決勝だったりするわけじゃないですか。チームメイトであり、(代表戦で)戦う時はライバルというか相手チームになるわけですよね。
試合の時はもうバチバチです(笑)。でも、試合が終わったら「部長!」みたいな感じで(笑)。
──お互いを認め合う、たたえ合う素晴らしい関係になれたわけですね。そして今日からJDリーグが開幕するということで、今シーズンの目標をお聞かせください。
今シーズンの目標は3連覇です。
──今の監督のお気持ちは、ドキドキ、緊張が大きいのか、それともワクワクする気持ちが大きいのか、どちらですか?
ドキドキ、ワクワクです(笑)。やっぱりみなさん期待されていると思うので、その期待に応えたいという気持ちもありますし、「今年は全員で戦う」と選手たちにも話しているので、誰かだけが活躍するのではなく、“1人1人、1試合1試合でヒーローが違う”という試合ができたらいいなと思っています。
──そして、今シーズンのレッドテリアーズ。攻撃で期待する選手を教えていただけますか?
攻撃は、山田選手、切石選手。その辺にはやっぱり長打力を期待しています。機動力としては、伊波選手、島仲選手、門選手。うまくそこの機動力と長打力がかみ合っていけばと思っています。
──今シーズン監督になられた時に、チームとしてのビジョン、どのようなチームを作りたいと思われたんですか?
今年は投手力が昨年と比べて落ちてしまうということは確実にわかっていたので、そこをしっかり準備するということを選手たちにも伝えて、今、チーム作りをしているところです。守備ではやはり最小失点に抑えることがすごく大事になってくると思いますし、攻撃陣については経験を積んでいる選手が多いので、経験豊富な選手たちがどうやってチームを引っ張っていってくれるかというところに期待しています。
──以前この番組にもゲストで出てくださった、全日本でも若きエースであった後藤希友選手が移籍するというのはとても大きな出来事だったと思うんですけれども、監督ご自身が移籍を経験されていたので、そういう新しい環境を求めるということも理解はできることだったんじゃないですか?
はい。もちろん彼女もすごく大きな決断だったと思うので、そこに対しては頑張ってほしいと思いますし、私自身も移籍を経験しているので、また新しい場所に行って、“新しい自分に出会う”ではないですけど、お互いが成長してやっていけたら、ソフトボール界にとってもとてもいいことなんじゃないかなと思っています。
──ただチームとして考えると絶対的エースがいなくなるということで、この穴をどうやって埋めるかというところが今シーズンのテーマになるんでしょうか。
そうですね。やっぱりそこはチームとしても大きいことだと思うので、そこを今のメンバーで“どうやって埋めるか”というか、“また新しいレッドテリアーズをどうやって作っていくか”というところをやっていければいいかなと思っています。
──ディフェンス面で今シーズン期待している選手はいらっしゃいますか?
ディフェンス面では、もちろんメーガン選手。あとは昨年も5勝した石堂選手。そこを軸にしっかり試合を作っていけたらいいなと思っています。
──さあ、女子ソフトボールのJDリーグ。レッドテリアーズは今日(4/12)と明日(4/13)、滋賀県の甲賀市民スタジアムで開幕します。そして、来週の19日土曜日と20日日曜日、愛知県の豊田市運動公園野球場でホーム開幕戦を迎えます。さて、この番組は毎回ゲストの方にアップソングを伺っています。坂元監督の心の支えになっている曲を教えてください。
ケツメイシの「涙」という曲です。
“思い出の曲”といいますか、高校生の時に大事な全国大会の予選があったんですけれども、負けてしまったんです。そういう時に聴いていた曲で、“青春の曲”といいますか…私は意外となんか泣き虫なんですけど(笑)、それで、この曲を聴いて泣いていたなということがすごく思い出にあって。
──ちょっとほろ苦い思い出の曲ですか。
でも、そういう悔しい思いをしたからこそ今もここまでソフトボールに携わっているのかなと思うところもあるので、何かそういう想いもひっくるめて“いい曲だな”と思っています。
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