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2025.03.29

怪我を乗り越え「過去の自分と比べても一番強い自分になれる」

今週の「SPORTS BEAT」は、先週に引き続き、日本バドミントン界の歴史を次々と塗り替えてきたオリンピックのメダリスト、奥原希望選手のインタビューをお届けしました。
奥原希望選手は、1995年、長野県のご出身。
小学2年生のころ、家族の影響でバドミントンを始め、中学2年生で全日本ジュニア選手権新人の部で優勝。高校時代には、全日本総合選手権女子シングルスで、16歳8カ月の最年少優勝。
その後も、2012年の世界ジュニア選手権では日本人としては初の優勝、2015年のスーパーシリーズファイナルを日本人として初めて優勝、2016年のリオデジャネイロ・オリンピックでは女子シングルスで日本勢初となる3位銅メダルを獲得するなど、日本バドミントン界の歴史を次々と塗り替えていらっしゃいます。

──数々の歴史を塗り替えてきた奥原選手のバドミントンのプレースタイル、どのように思っていらっしゃいますか?

ディフェンス型だと思っています。

──バドミントンはラリーがとても続くスポーツだと思うんですけれども、その中でもやっぱり攻撃型と守備型に分かれてくるんですか?

そうですね。バドミントンもラリーをしながらいろんな流れがあるんですけれども、それでもやっぱり、 大まかに“攻撃スタイル”か“ディフェンススタイル”の2つに分かれると思っています。

──その守備の中でも、守り一辺倒だとなかなか得点に結びつかないと思うんですけれども、どのようなことを考えながら守備をしていくんですか?

前は将棋に例えた表現をしていたんですけれども、今はカードゲームに例えた表現をしていまして、自分の長所と短所、プレースタイルにおいての強みと“ここが弱いな”というところがどの選手にもそれぞれあると思っているんですが、その長所も短所もカードになっていて、そのカードをラリー中のどのタイミングで切っていくか。それは相手も同じで、自分のエースショットや苦手な部分があると思うんですけど、お互いにその手札を見せ合いつつ、隠しつつ対戦していく。それがバドミントンの奥深い駆け引きなのかなと思っています。
その中でも、私はディフェンス気味というか、相手の長所を引き出しつつ、その長所からカウンターを狙っていくというプレースタイルです。

──バドミントンはやり取りが速いじゃないですか。その中でそのカードを見て切っていくのは、なかなか大変なことなのかなと思うんですけれども。

だから、将棋みたいに2手、3手先を考えながら、相手がどのタイミングでエースショットを狙ってくるのか、どの球を出せばそのショットを狙ってくれるのかということを、ラリーしながら序盤でつかんで、 “このタイミングだったらこのショットを打ってくれるな”とわざと打たせて、そこから狙っていく。そのエースショットが相手にとってプレッシャーになってくれば、それこそミスに繋がったり、相手のエラーに繋がってくれる。
バドミントンというのは、綺麗に決めるショットも1点ですけれども、相手のミスショットも同じ1点なので。

──観ている方は綺麗に決まった方が盛り上がりますけど(笑)、価値としては同じと。

でも、(相手が)精神的にダメージが大きいのはミスショットの1点なので、私はそちらの1点の方が価値が大きいと思っています。
相手にプレッシャーをどんどん与えてミスをさせる。“相手がミスをした”のではなく、“こちらがミスをさせた”という1点を大事に積み上げていっています。

──シーズンがずっとある中で、同じ対戦相手と何回も対戦するじゃないですか。そうなってくると、やっぱりお互いの持っているカードもわかってくるし、“こういう風に切ってくるんじゃないかな”みたいな特徴もわかってくると、やりづらくなったりしませんか? それとも、“だからこそ裏切った作戦にしよう”と思うんですか?

そうですね。ずっと同じ相手と戦い続けているので、大体手札はわかってきてはいるんです。だからこそ、(カードを)切るタイミングなどが大事になってくると思うので、そういったところで裏をかきながら、ショットはわかっていてもタイミングが違うだけでまた展開は変わってくるので、そういうところが本当に奥深い駆け引きで、バドミントンの面白さだなと思っています。

──バドミントンというとハードなスポーツで、コートの中を前後左右に動き回るので、どうしても怪我がつきもののスポーツだと思いますが、奥原選手も怪我との戦いがありますよね。

私にとって、競技においての永遠のテーマですね。
先ほどおっしゃいましたけれど、前後左右、またジャンプもしますし、本当に様々な複雑な動きをする競技で、しかもラリーも続きますし、試合時間もシングルスだと1人で1時間前後試合をするので、「ボクシングの次にハード」と言われているぐらい、意外とハードなスポーツなんです。

──怪我との戦いというのはあると思うんですけれども、怪我をしている最中は思うようにトレーニングできないでしょうし、治ってきたと言っても、今度はプレーする時に“また怪我をするんじゃないか”みたいな不安もあるんじゃないかなと思うんですけれども。

はい。ようやく今は膝の痛みがなく生活もできていますし競技もできているんですけれども、東京オリンピックが終わってからパリへの3年間は、本当にずっと膝が痛くて、寝ている間も痛くて、ずっと“寝ているけれど(痛みで)起きている”みたいな感覚の毎日で苦しかったですね。

──そこは痛みと付き合いながら戦い続けようという選択をしたということですか?

検査をしても大きなエラーはなくて。ただ、10年ほど前に両膝を手術をしているのでその古傷で何かしらのエラーが出ている、というだけだったので、放置して休んでも治らないんです。だからもうやるしかないですし、でもずっと、治すためのリハビリやトレーニングが何かないかと手探りで模索していました。

──今の状態になったのは、何か自分に合った治療方法があったのか、それとも時間の経過でいつの間にか治ったんですか?

良いトレーナーさんに出会えて、そのトレーナーさんに施術してもらったら、“あ、すごく改善している”ということを2、3回で感じることができたんです。そこから2年ちょっとかかったんですけれど、そのトレーナーさんのもとで地道なリハビリ、トレーニングを積んだ成果が出て、ようやく痛みがなく生活と競技ができている状態です。

──これからのパフォーマンスというか、やっぱり100%でぶつかっていけるというだけでも、モチベーションといいますか、それまでの苦しかった3年間とは違ってきますよね。

そうですね。だから今、過去と比べても一番競技が楽しいと思えています。



──「奥原家では正月に1年の目標を書き記す」ということですが、これは書き初めということですか?

いえ、普通の習字ではなくて、半紙ぐらいの紙にマジックで書くという習慣があるんです。

──目標というのは、私生活というよりはバドミントンの目標書くことが多い?

多かったんですけど、たまに私生活の目標を書くことも、自分で掲げることもあります。

──それはどんなことを書いたんですか?

今年は、プライベートは「感性を磨く」です。
スポーツをやってきて、バドミントンだとイン、アウトもはっきりしていますし、点数で積み重ねていて勝ち負けもはっきりしているんですけれども、芸術の世界は勝ち負けがなくて、自分たちの表現をする。なかなかそこを理解できなかったんですが、“理解はできないかもしれないけれど、そこから何か感じるものがあるんじゃないか”と思ったこともあって、そういった芸術に触れようと決めました。

──競技での目標は掲げられたんですか?

はい。今年は「ツアー優勝」。年間様々な場所で、世界各地で試合があるんですけれども、そこでまず1つタイトルを獲るということが目標です。

──この目標はいつ頃達成できそうですか?

昨年のパリオリンピック金メダリストが22歳前後で本当に若くて、ずっと最近勝ち続けている選手なので、その選手に勝つということは簡単なことではないんですけれども、今ようやく膝の痛みがなくなって、こうやって試合に向けて練習をするのも久しぶりで、過去の自分…先ほどいろんなプロフィールを紹介していただいたんですけれども、ああいった成績を今まで納めてきた自分とも比べても、今の自分が一番強いんじゃないか、もっとこの先(練習を)積んでいけば強い自分に出会えるんじゃないかとわくわくしているんです。そういった意味でも、8月の世界選手権以降に、状態が整ってくれば勝負できるのではないかなと思っています。

──膝の状態が良くなって、今、ベストパフォーマンスも出せる。そしてやっぱり、手札的には、経験値的に言うと、いっぱいになってきているわけですから。

そうなんです。そこもあって、だからこそ過去の自分と比べても一番強い自分になれるんじゃないかと思っています。

──過去最強の自分でぜひツアー優勝を成し遂げてほしいなと思います。
さあこの番組では、毎回ゲストの方にCheer up songを伺っています。今週も奥原選手の心の支えになってる曲を教えてください。

先週も「ない」と言ったんですけれども(笑)、青春の曲があります。
私は高校生の頃ずっと西野カナさんの曲を聴いていて、本当に“カナやん”の曲が私の青春の曲なので、その中で、「トリセツ」を。
「トリセツ」はもう本当に共感だらけというか、“そう扱ってほしいな”という願望が詰まった曲なので(笑)。こんな方がいたらいいなと思って(笑)。

──奥原選手は、「五感を研ぎ澄ます」ということで今は試合の前に音楽は聴かないとおっしゃっていましたけれども、その前は、試合に入る前、自分を高めるために何か聴いたりしていたんですか?

そうですね。ずっと聴いていましたし、“雑念をシャットアウトする”という感じでも聴いていました。



今回お話を伺った奥原希望選手のサイン色紙を、抽選で1名の方にプレゼントします。
ご希望の方は、番組公式X(旧ツイッター)をフォローして指定の投稿をリポストしてください。当選者には番組スタッフからご連絡を差し上げます。

そして今回お送りしたインタビューのディレクターズカット版を、音声コンテンツアプリ『AuDee』で聴くことができます。
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