──吉野投手といえば、昨シーズンは1軍デビューを果たされ、クライマックスシリーズでの登板も経験日本一に貢献されています。昨シーズンを振り返ってみてどんなシーズンでしたでしょうか?
昨シーズンは、最初はキャンプの時は怪我から始まって、コーチとも「少しずつ1個ずつ課題をつぶしてゆっくりやっていこう」と話して、ゆっくり階段を踏むことができましたし、シーズンの中盤ぐらいにはなってしまったんですが、初登板を迎えられて、後半の方はローテを回ることができるようになったので、そこは良かったかなと思っています。
──そんな吉野投手の特筆すべき部分は奪三振というところだと思いますけれども、2022年にトヨタ自動車硬式野球部レッドクルーザーズからドラフト2位で横浜DeNAベイスターズに入団されましたが、プロと社会人野球の大きな違いというのはどういったところで感じられますか?
今まで、社会人の時はフォークに自信があって投げ込んでいたんですが、最初のオープン戦だったと思いますが、中日戦で投げさせていただいた時に、フォークが“止まってしまう”というか、バッターが踏み込んでくれない。すごく違和感を感じて、そこから何か変えないといけないなと思いましたし、これがプロと社会人との差だなと感じました。
──トヨタ自動車硬式野球部レッドクルーザーズには、テクニカルアドバイザーとして元中日ドラゴンズのエース、そして侍ジャパンの投手コーチでもある吉見一起さんがいらっしゃいますが、何か吉見さんからアドバイスはありましたか?
吉見さんからも、フォークのリリースの圧…すごく難しい話なんですけれど、バッターボックスからちょっと(自分のピッチングを)見てもらったことがあって、「リリースの瞬間でボールの離れ方がまっすぐじゃないとバッターは止まっちゃうよ」ということを言われたことがあったんです。社会人の時はそれでも振ってもらっていたのであまり感じなかったんですが、プロに入って、中日戦で違和感を感じて。宮崎さんが怪我で降りてきた時にバッティングピッチャーをする機会がありまして、その時に同じようなことを言われたんです。「何か景色が違うというか、何か止まっちゃう」という話をされて、“吉見さんが言ったのはこういうことなんだな”と思いました。
──どうやってその奪三振能力をアップさせたのでしょうか?
2つあって、1つはフォームで、腕の位置を少し下げました。もう本当に10度ぐらいなんですけど、少し下げて、変化球全体がリリースポイントが一定になるようにしました。そういったことでコマンドが良くなって、ばらつきはなくなったのかなと思っています。
2つ目が、先ほどのフォークの話なんですが、フォークがだいぶストレートと同じような圧になってきて、バッターが振ってくれるようになってきたというところは去年の変化かなと思っています。
──吉野投手、シーズン最終登板となった9月30日の阪神戦。こちらクライマックスシリーズをかけた試合で三浦大輔監督から「力を抜け」とアドバイスを受けて、見事6回無安打6奪3振。このような監督からのアドバイスというのは、どういったタイミングで受けるんですか?
キャッチボールをしていて、その日、自分の中でも(力を)抜いた方が何か伝わってる感じはしていたんですが、たまたま監督が後ろで見ている時に、「なぜ力を抜いて投げないんだ」みたいなことを言われたんです。その後に小杉コーチと話して、三浦監督と話す機会を設けてもらって、どういうことが大事かとか、阪神甲子園球場は初めてだったので、その時の楽しみ方みたいなことを少し教えていただいて、「力を抜いて、そういうことを楽しみながら投げなさい」と言っていただきました。
──そんなアドバイスをくださった三浦監督の尊敬できるところはどういったところでしょうか?
監督は、やっぱりあれだけ淡々と投げられている方なので、そして、球場によって楽しみ方などを自分で持っている方だったので、そういうところは自分も参考にしながら、やはり大きい舞台というのは人も多いですし、その観客に飲み込まれないように、自分自身もしっかり準備してやっていきたいなと思っています。
──そして、チームについてもう少しお話を伺いたいのですが、吉野投手の九州学院高校の1つ上の先輩に、現在も横浜DeNAベイスターズでチームメイト、そして同じピッチャーとして活躍なさっている伊勢大夢選手がいらっしゃいます。伊勢選手はどんな先輩でしょうか?
伊勢さんはもう本当に頭が上がらないというか、尊敬している先輩ですし、自分が一昨年怪我で苦しんでいる時に、秋季練習で一緒になって「大丈夫か」と気遣ってくださって、そこから食事とかいろいろ連れていってもらったり、帰省したタイミングで自分たちの同級生会を開くことになったんですが、その時も、「お前じゃ払えないだろう」と、1件目は全部払ってくださったり…。
そういうエピソードもありますし、何というか、“のほほん”とされていて、外見は怖そうな顔をされていますけど(笑)、でも面倒見が良い先輩で、何か伊勢さんがボソっと言われた言葉ってすごく重みがあって、自分はすごく大事にしています。
──そして、高校時代といえば、1つ下の後輩には、現在ヤクルトの村上宗隆選手もいらっしゃいます。吉野投手のプロ初勝利はその村上選手を擁するヤクルトからでしたよね。ファンのみなさんは今シーズンも対戦を楽しみにしていると思いますが、対戦のイメージというのはありますか?
楽しみ半分、すごく嫌ですね(笑)。やっぱり後輩なので、めちゃくちゃ打たれたくないですよね(笑)。負けたくないです。
──村上選手は高校時代、どんな方でしたか?
1年目から4番とかを打っていて、すごく大変な立場だったと思うんですが、やっぱり人柄がいいので、先輩からも後輩からも愛される。それでもやっぱり自分が(率先して)やるので、それにみんな“ついていこう”と思いますし、“やっぱりこいつが4番を打っているから大丈夫だな”ということを練習で見せてくれるようなヤツですね。
──プロになって、また対戦相手という立場になって、やはり思いというのはひとしおでしょうか。
楽しみですし、やっぱりあれだけ活躍しているムネの存在は大きいので、こうやって注目もされますし、ムネのおかげでこうやって自分との対決も注目して見ていただけるので、感謝しています。
──そして吉野投手は横浜スタジアムでの初勝利を目標に掲げていらっしゃいますけれども、今シーズンのチームスローガン「横浜奪首」。その目標というのも、つかめそうでしょうか?
やっぱりハマスタで、あれだけのファンの前でピッチングするというのはすごく気持ちいいですし、あれだけ足を運んでいただいて…「1年間に1回しか観に行かない」という方もいるかもしれないので、そういった人たちの前で投げて、そしてハマスタで良い思い出になるように、自分自身もハマスタで勝ちたいなと。去年はなかなか勝てなかったので、そこはこだわりたいなと思っています。
──吉野投手の、今シーズンの個人としての目標、そしてチームとしての目標をそれぞれ聞かせてください。
個人としての目標は、去年は後半戦でしかローテを守れなかったので、今年は1年間怪我することなくローテを守りたいなと思います。
チームとしては、去年はリーグ優勝ができなかったので、そしてキャプテンで同級生の牧(秀悟)があれだけ必死になってやって、チームを引っ張ってくれているので、そこを僕たち98年世代の同級生が助けて、牧の重荷を少しでも楽にできればなということは思っています。
──今シーズンの横浜も非常に楽しみです。この番組ではゲストの方にCheer up songというものを伺っております。吉野投手の心の支えになっている曲を教えてください。
SUPER BEAVERの「人として」です。
歌詞がグッとくるというか、今、SNSなどで誹謗中傷だったりいろいろあると思うんですけど、何かそれが馬鹿馬鹿しくなってくるような歌なんです。すごく心に沁みるので、よかったら聴いてみてください。
この曲は、落ち着くために、登板後とかに聴いています。やっぱりあれだけ(試合で気持ちが)上がって、すごくアドレナリンも出ちゃっているので、帰りとかによく車で流して聴いていますね。やっぱり運転する時間がすごく大事で、1人の時間になるので、そういう時間はすごく大事にしています。
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