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2024.12.14

「“会長”はただの“職業名”」同じ目線で選手の声を活かす組織づくり

今週の「SPORTS BEAT」は、元バレーボール全日本男子代表キャプテン、そして日本バレーボール協会会長の川合俊一さんをゲストにお迎えし、お話を伺っていきました。
川合俊一さんは、1963年生まれ、新潟県のご出身で、中学1年生の時にバレーボールを始め、明大中野高等学校を卒業後、日本体育大学へ進学。
1984年、大学4年生でロサンゼルスオリンピックに出場し、4年後のソウルオリンピックに2大会連続出場。翌年には全日本のキャプテンに就任しています。
1990年にインドアバレーボールを引退。
その後、プロビーチバレーボール選手として世界各地のツアーに参戦、2007年には日本ビーチバレー連盟の会長に就任。
2015年からはトヨタ自動車ビーチバレーボール部のゼネラルマネージャーとしての活動も始め、2022年には日本バレーボール協会の会長に就任されています。



──この番組に以前出演していただいたのが2年前の2022年8月。バレーボール協会の会長に就任されて5ヶ月ぐらい経った頃に来ていただきました。あれから2年少し経ったということで、就任してからもうすぐ3年にもうすぐなりますが、会長職はいかがですか?

すごく裏方仕事ですね(笑)。今は芸能のお仕事はだいぶお断りしているんです。クイズ番組とかで答えられないと、「あれ、うちの協会の会長、ちょっと…」と言われちゃうので(笑)。
もともと(組織が)すごく縦割りみたいな感じだったんですね。だからなるべく毎週会議をして、横の連携、繋がり(を強化する)とか、そういう部分の改革から始めています。あとは、コンプライアンスとガバナンスの徹底とか。
…もう本当に、“あれ? 何か会社の人になっちゃった?”みたいな(笑)。

──(笑)。前に出演された時は、コロナ禍ということもあって選手との食事も行けていないとおっしゃっていましたけれども、今はコロナ禍も明けて、そのような会は催されていますか?

そうですね。だんだん多くなってきています。どちらかというとコーチ陣と行くことが多いですね。選手と直で話をするとあまり良くないので。僕も教えたがり屋だから、ああだこうだと言ってしまうと、実際に教えているコーチとちょっと意見が違っていたりすると、「あれ?」となってしまいますから。
だから、選手とはなるべくコーチが接してもらって、僕はコーチと話し合いをしながら食事をしたり、そういうことは多くなってきましたね。
選手の方から誘ってきたら必ず行くんですけれども。

──例えばどんな選手ですか?

髙橋藍選手とか。藍くんは、どちらかというとちょっと僕に似ているというか、いろんな人と輪を繋げたい人なんです。オープンで明るい。イベントに連れて行っても、嫌な顔1つせず、明るく神対応をしてくれるので、イベントとかには色々呼ばれますね。

──そして、男子のフィリップ・ブラン監督が退任しましたけれども、同じくフランスのロラン・ティリ監督が就任しましたね。
パリオリンピックの前に、「ブラン監督がパリオリンピック後に韓国チームの監督になる」という発表があった時、すごく驚いたんです。 延長しないんだと。でもその後、後任がティリ監督と聞いて、これはバレーボール協会の本気を見たというか、やる気MAXだなと思いました(笑)。

もちろんブラン監督継続でも全く問題はないんですけれども、やっぱり(日本チームで)もう8年やっていますので、多分、ブラン監督の全てを選手も受け取っていると思うんです。そういった意味では、また違った新しい戦術とか、新しい感覚の方が入って変わることで良いこともあると思っています。
(ティリ監督)本人は今国内で指揮を取っていますので、日本人のこともよく知ってるし、日本の風土にも合っているということで、逆にありがたい話でしたね。

──ティリ監督は、川合さんと同い年。

そうなんです。同じ年に生まれて、試合もやったことがあるんですよ。

──選手の時はどんな方だったんですか?

よく考えてプレーするような、適当に打ったりしてこないような頭脳派でしたね。

──当時から戦術というか戦略が得意だった?

そうですね。そういった意味では、よく考えてバレーをする人だなと思っていたんです。
(引退後フランス代表の)監督になって、東京オリンピックで優勝して、やっぱりああいう人がそういう(チームを金メダルに導くような)監督になるんだなと思っていたんですが、東京オリンピックの時はまさかその後日本の監督になるとは想像していませんでした。

──これから、男子がどこまで上り詰めていくのか

新しい若い人を育てていかなければいけないので、学生でも良い選手が出てきているので、そこを何とかしたいと。コーチを石川(祐希)とか(髙橋)藍にしたいぐらい。
やっぱり今の日本代表は、守備がすごいから強いんです。でも、リベロの山本(智大)とか小川(智大)とか、彼らが(守備が)上手いのは当たり前だから、あまり勉強にならないというか、「そうだよね」で終わっちゃうんですけど、“あんなに得点を決める石川や髙橋があんなに守備をして打つんだ”というところをしっかり見せて、「あなた方も打つのはすごいけれど、(重要なのは)守備なんだよ」ということを教えていかないと。ただ打つだけでは駄目なんです。チームになるとやっぱり勝てないので。
それを若手に教えていくようなことを、もちろんティリ監督もやるかもしれないけれど、選手が「ちょっとこうしてみたら」と教えてくれるといいのかなと思っています。石川選手から守備で「こうだよ」と言われたら、若い人にはものすごく勉強になると思うので、そういうところも石川選手あたりには担ってもらいたいなと。

──年齢的にも、次のロサンゼルスにかける石川選手の想いは相当強いんじゃないかなと思いますけれども。

今回のパリもすごかったですが、パリでいろいろ勉強したと思うので。

──大会が終わった後、石川選手とお話はされましたか?

しました。オリンピック終わった後、石川選手はめちゃくちゃ忙しいんですよ。例えば挨拶回りとかメディア露出とかいろんなものがあって、しかも近々で海外に行かなければいけなかったので、「時間取れる?」と言ったら「こことここの間で40分取れます」みたいな(笑)。それで場所を取ってそこへ来てもらって40分ぐらい話をして、パリの反省点と課題点と、これからどうしてほしいかという話を聞いて。
あまり会長とそんなことはしないというか、僕も現役時代に会長と話したことがないから、普通はあまりやらないんですけど。

──でもそれは川合さんが会長になったからこそできることですよね。

「会長」という職業名であって、あまり会長が偉いと思ったことがないんです。
「ちょっと話を聞かせて」と言って、ここでは言えないですが大事な話がたくさんできたので、それを生かしていきたいなと思っています。
よく「選手ファースト」とか「選手の声を聞いて」とか言いますけど、(会長が)直に選手に聞くというのはあまりないじゃないですか。 例えば(選手の意見が)コーチから監督に上がって、強化委員長に上がって、本部長に上がって…と、僕のところに来る間に歪められたり、どこかで協会に都合がいいような話に変わっていったりしてしまうかもしれない。そうなるのは嫌なので、選手本人に聞いた方がいい。


──それは素晴らしいことですね。フィードバックされて、さらに良い環境になっていってほしいですね。
今、男子のバレー選手の人気がすごいですが、川合さんも現役時代は大人気でした。それこそ分刻みのスケジュールだったんじゃないですか?

僕らの時は、今みたいにテレビに出ちゃいけなかったんです。テレビに出るのは、試合か、試合後のインタビューだけですよ。
CMは出ているんですが、あれは私が所属しているチームの“社業”ですから。
だから、僕らの時代は今みたいにいろんなテレビに出たりできなかったし、しかもSNSがないから、発信できる場所がないんです。

──すごくメディアで見ていた気がするんですけれども、それは勝手に(メディアが)取り上げていたり、雑誌で見かけていたということなんですね。

そうなんです。 自分で言うのもおかしいですけれども、雑誌戦略というものをやっていたんです。どんどん広めなきゃいけないから。
カメラマンはたいていバレーボールの他にもいろんな雑誌の仕事をしているから、他に何の雑誌をやっているのか聞いて、「その雑誌に出るよ」と言うと、「本当ですか、じゃあ出てください!」となって、会議ですぐ決まって特集が組まれたり。そうすると、バレーボールを見ないような人にも広められる。そういう戦略を個人でやっていました。

──どうやってそういう戦略を思いつかれたんですか?

友達が野球選手だったんです。野球選手はバラエティー番組も出るし、しかも、年俸も高いじゃないですか。どんどん野球は当たり前に広がっているけれども、 バレーはメディアに出ないから、全然広まらないんです。
そこで、雑誌は規制がなかったので「雑誌だ!」と思って、雑誌戦略を個人でやって広めていったんです。“バレーボールをもっと評価してほしい”とういう気持ちがあったので。
だから、僕が会長になった時、一番最初に広報を呼んで、「雑誌に行くぞ!」と言ったんです。「雑誌ですか?」とか言われるけれども、「雑誌は買ったら家にずっと置いてあるから、また見るんだぞ」と(笑)。「雑誌で売れたら勝手にSNSとかで広めてくれるから、雑誌に行こう」ということで、僕も雑誌社に知り合いがいたので、「ちょっと1回だけ取り上げてよ!」と言って、いろんな雑誌に載せてもらう。そうすると他の雑誌も「あれ、バレーボールがたくさん取り上げられてるな」となって、「じゃあ、うちも」と、次々と続いて良い効果が生まれるんです。
一番は、(石川祐希選手と髙橋藍選手が)「an・an」(マガジンハウス)の表紙になったのは大きかったです。

──すごく反響がありましたよね。

本当にあれはものすごい反響があって、あの辺からもう一段階人気が上がっていきましたね。
だから、雑誌はいまだに強い!(笑)

──さあ、この番組は毎回ゲストの方にCheer up songを伺っています。川合俊一さんの心の支えになっている曲を教えてください。

“支え”というか、この作品でまたすごい相乗効果があって(バレーボールの)人気が上がったんですけれども、「劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦」という映画があるんですが、その主題歌になったSPYAIRの「オレンジ」という曲です。

──漫画が原作の作品ですが、ご覧になりましたか?

アニメで見たりしましたけど、本当に忠実にバレーボールを再現しているんですよ。バレーボールをしている選手が見ても、「そうそう!」みたいなね(笑)。あと、攻撃も、“できないことはないな…”みたいな攻撃なんですよ。嘘みたいな攻撃がないんです。“消える何とか”とか出てこないです(笑)。“やろうと思えばやれる”みたいな。

──(笑)。やっぱり今どきはリアルが求められるという。
でも、そうやってバレーボールをテーマにした題材にした漫画があって、それがヒットしているいうのはすごくありがたいことですよね。

ありがたいです。だから、「ハイキュー!!」は男子バレーですから、「ハイキュー!!」の女子バージョンを…ぜひどなたか、バレーボール愛のある方にやってもらいたいですね(笑)。



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ご希望の方は、番組公式X(旧ツイッター)をフォローして指定の投稿をリポストしてください。当選者には番組スタッフからご連絡を差し上げます。

そして今回お送りしたインタビューのディレクターズカット版を、音声コンテンツアプリ『AuDee』で聴くことができます。
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