Legend Story
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15.05.02
セルゲイ・ブブカ

「鳥人」と呼ばれた棒高跳びのスーパースター、セルゲイ・ブブカ。
彼が跳んだ男子棒高跳の屋外の世界記録、6メートル14センチは、歩道橋の高さを超える。

驚異的な身体能力で世界記録を次々と塗り替え、無類の強さを誇ったブブカだったが、なぜかオリンピックと巡り合わせが悪かったことは、意外と知られていない。

1984年のロサンゼルスオリンピックは、ソ連がボイコットし不参加。
ソウルでは、金メダルを獲得したものの、その4年後、バルセロナ・オリンピック。
ブブカが跳び始めたのは5メートル70から。
当時6メートル11の世界記録を持っていたブブカにとっては楽に跳べて当然。

ところが、タイミングが合わず、1回目はバーを足でけって落とし、2回目も体が十分に越えていながら落下の際に胸がバーに触れて失敗。
さすがのブブカもろうばいの表情…。
時間を取って気持ちを落ち着かせるために3回目をパスして5メートル75への挑戦に切り替えた。
しかし、結果はまたも失敗。
最も金メダルに近い男といわれた彼は、一度もバーを越えることなく記録なしに終わった。

1996年、アトランタ・オリンピック、ブブカは6メートル14の世界記録保持者として登場。
しかし・・・、両足のアキレスけんに痛みを抱え、予選を棄権。
ブブカは、はだしのまま競技場を後にした。

そして、ブブカにとって最後のオリンピックとなった2000年、シドニー。
36歳のブブカが挑む4度目のオリンピック。
最初に選んだバーの高さは5メートル70。全盛期なら慣らし程度。

しかし一回目はタイミングが合わず、バーの下を走り抜けた。
二回目、体が上がったものの、空中でバーを引っ掛けた。
そして三回目、今度は体が上がらなかった。

度重なるアキレスけんの故障に苦しみ、
手術とリハビリを繰り返してきたブブカに”鳥人”と呼ばれたころの力強いジャンプは戻らなかった。
この大会を最後に引退したセルゲイ・ブブカ。

世界記録を35回も樹立し、屋外6メートル14センチという世界記録は、今も生きている。