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21.10.02
五十嵐カノア
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東京オリンピックで初めて実施されたサーフィン、会場となった千葉県の釣ヶ崎海岸海岸は、台風の影響で、波が荒れ、水は砂で濁っていた。

優勝候補と言われていた五十嵐カノアは、両親は日本人だが、アメリカのカリフォルニア州で生まれ育った。
幼い頃からサーフィンをはじめ、8歳から海外を転戦。13歳でプロに転向した。

アメリカと日本の二重国籍を持っていたが2016年に東京オリンピックの追加競技にサーフィンが決まると、日本代表として出場することを目指し、日本国籍を選んだ。
その理由は、応援してくれている日本のおじいちゃん・おばあちゃんに、金メダルを獲るところを見せたい、という思いからだった。

応援してくれる家族への思いを胸に、日本のエースとして臨んだ大会本番。
五十嵐は、順調に勝ち進み、準決勝では、世界ランク1位、ブラジルのメジナと対決。
中盤までポイントで5.92点差をつけられる劣勢だったが、残り8分を切ったところで大技「エアリバース」を決めると、両手を上げてアピール。
9.33の高得点をマークし、逆転で勝利を掴んだ。

決勝の相手は、2019年の世界王者、ブラジルのフェヘイラ。
序盤は、リードしていた五十嵐だったが、大技を何度も決めたフェヘイラが逆転。
五十嵐も最後まで逆転を狙ったが、思うような波が来ず、無情のタイムアップ。

目標の金メダルには届かなかったが、大舞台で銀メダルに輝き、その実力を証明。
試合直後、波打ち際でサーフボードを置き、正座をすると、五十嵐カノアは、海に向かって深く頭を下げた。

「海の神様にありがとう」


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