バーベルを下ろした三宅宏実は、その場で2度、3度と飛び上がった。
絶体絶命の窮地を脱して掴んだ銅メダル…。
リオ・オリンピック、ウエイトリフティングの女子48キロ級、三宅はスナッチで81キロを2本続けて失敗。
万全の状態であれば問題なく上げていた重さだが、大会前に持病のヘルニアが悪化、
人生で初めて痛み止めの注射を打つなど、まさに満身創痍の状態でリオに臨んでいた。
残る1本を失敗すれば終わり。
三宅の頭に「記録ゼロ」の恐怖がよぎった。
追い詰められた3本目、バランスを崩しながらも成功。
スナッチを終え、順位はメダル圏内からかなり離された8位。
それでも得意のクリーン&ジャークに臨む三宅の顔は晴れやかだった。
最初の105キロを難なく成功。
スナッチで上位に付けていた選手たちにミスが続き、三宅は1本目を終えた時点で4位に浮上した。
2本目の107キロは、肘がひざに触れたとの反則を指摘され、失敗。
3本目、再び迎えた後がない正念場。
「メダルを取れないと日本に帰れない」と思ったという三宅は、またも驚異の勝負強さを発揮する。
まっすぐ前を見据え、バーベルを肩まで引き上げる、そして両腕を頭の上に伸ばしきった。
リフト成功。
トータル188キロで逆転の銅メダル。
ステージを降りかけた三宅は踵を返すと、バーベルに近づき片膝を付いた。
16年間いっしょに練習してきたパートナーにハグ、そして「ありがとう」と伝えた。
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