世界一への執念が、相手を上回った。
リオオリンピックのバドミントン女子ダブルス決勝で、高橋礼華・松友美佐紀=タカマツペアは日本にオリンピック初の金メダルをもたらした。
タカマツペアにとっては、世界ランク1位で臨んだ初めてのオリンピック。
対戦相手のデンマークのペアは、世界ランク6位。
第1ゲームを一進一退の末に18対21で落とすと、
第2ゲームは緩急をうまく使った戦いぶりで21対9と奪い返す。
勝負の第3ゲーム。一進一退の攻防で16対16。
先に崩れたのは日本だった。
松友のショットのミスと強打を受けて16対19。
3点のリードを許し、タカマツペアは、崖っぷちに立たされた。
あと2点で負けの状況に、松友は「1球でも相手を驚かせてやる」と開き直った。
一方の高橋は、前日に伊調馨が逆転勝ちした試合を思い出し、「ここからでも逆転できる」と思い直した。
世界一のコンビネーションがよみがえる。
圧巻は18対19に迫った後のラリー。
互角の打ち合いの中で前衛にいた松友が、左を抜けそうな球に反応。
相手の返球が甘くなったところに切り裂くようなスマッシュを決めて追い付いた。
最後は高橋が得意のスマッシュを2連続で決めて勝負あり。
5連続得点という劇的な逆転勝利に高橋はコートに倒れ込んで両手で顔を覆い、松友はガッツポーズで跳びはねた。
コンビを結成して10年の節目。
長い時間をともに過ごし、勝つ喜びも負ける悔しさも、すべてともに味わってきたタカマツペアが念願のオリンピックで金メダルを手にした。