Legend Story
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16.06.04
森末慎二 ロスオリンピック

1984年のロサンゼルスオリンピック。
体操男子種目別の鉄棒で森末慎二が伸身の伸身後方2回宙返りを決めて着地した瞬間、会場からは大きな拍手がわき起こった。
得点は10点満点、見事金メダルを獲得。
   
森末は、団体の規定演技、自由演技の鉄棒でも10点満点をマークしていた。
それも合わせれば3回の鉄棒ですべて満点、パーフェクトな演技で世界中を熱狂の渦に巻き込んだ。

しかし、金メダル獲得の裏では、39度を超える高熱との壮絶な闘いがあった。 
団体での演技が終わったその日の夜に発熱。
食事はのどを通らず、寝付けない。
薬はドーピング検査に引っかる恐れがあるため飲むことは出来ない。
サウナに行き汗をかき、一時的に熱を下げたものの、平熱に戻ることはなかった。
団体競技から種目別までは中3日、もちろんその間、1日も練習を休んでいない。

森末を支えていたのは、前年の世界選手権での苦い経験だった。

鉄棒の種目別決勝でミスさえしなければ金のチャンスだった。
ところが着地に失敗し、4位に泣いた。
迎えた種目別決勝。
会場を埋めた1万8000人の観衆は、森末の10点満点を期待していた。
45秒間の演技。
片手車輪、連続開脚飛び越し、背面車輪とダイナミックな技を繰り出し、締めくくりは伸身後方2回宙返り下り。
全てイメージ通りに決まり、着地後はガッツポーズをしていた。
「パーフェクトスコア10」
アナウンスを聞いた瞬間、森末の目から涙がこぼれた。