2001年、第73回選抜高校野球大会、人口およそ5000人の村から来たナインが、甲子園に旋風を巻き起こした。
この大会から新設された「21世紀枠」で初出場した沖縄県・宜野座高校。
エース・比嘉(ひが)を中心とした堅い守りと、コンパクトに振り抜くシャープなバッティング、走者をバントで得点圏に送る堅実な攻めでベスト4まで勝ち上がった。
2回戦から登場した宜野座高校は、初戦で岐阜第一を7対2で破り、3回戦では、神奈川県の桐光学園を相手に4対3と接戦を制した。
準々決勝では地元大阪の浪速を延長11回で下し、甲子園の予選激戦区を勝ち抜いたチームを次々撃破した。
地元出身者ばかりのチームは、南国の太陽のような明るさがあった。
ピンチの円陣は、常に笑いに包まれ、安富キャプテンは「終わったらたこ焼きを食べに行こう!」と、ナインを和ませた。
伝令も選手に任せる奥浜監督は、さい配でも選手の自主性を重んじた。
固いチームワークとピンチでも野球を楽しむ姿勢、そして甲子園という大舞台で、当たり前のことを当たり前にできた強い精神力が、全国の強豪を相手に堂々と渡り合えることにつながったのだ。
準決勝では仙台育英に1対7と完敗したが、ヤンバルの少年たちが起こした“宜野座旋風”は甲子園にさわやかな余韻を残した。