Legend Story
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16.03.19
選抜 東邦対上宮

1989年、春の甲子園、高校野球史に残る逆転劇は起きた。
第61回選抜高校野球大会・決勝。
前年の準優勝校、愛知県・東邦高校と、元木大介、種田仁ら、後にプロ入りする選手を擁する大阪・上宮、大会前の予想通り、実力校同士の対戦となった。

1対1、互角の展開のまま勝負の行方は延長戦へ。
10回表、上宮が3安打を集めて勝ち越した。
   
その裏、あと1人のアウトを取るだけで、上宮の優勝が決まるときだった。
よもやこんな幕切れが待ち受けていようと、誰が予測できただろうか。

東邦は、ツーアウトランナー無しから、フォアボールと内野安打でランナー1、2塁とする。
そして、東邦の3番、原がつまりながらセンター前へ落とすと、二塁ランナーが一瞬早くホームにかえり同点。

その直後、信じられないようなプレーが起きる。
二塁をオーバーランするランナーを見た上宮のキャッチャーは、三塁・種田へ送球。
種田は、タッチを逃れるランナーをはさむように二塁にボールを戻した。
しかし、このボールはショートバウンドとなり、二塁手は後逸。
   
さらに、転がったボールは、慎重に腰を落として捕球しようとしたライトの前で大きくイレギュラーして跳ね上がり、無情にも無人の外野を転がっていった。

鉄壁の守りだった上宮が、この大会でただ一度みせた守りの乱れ…。

一つのプレーが、決勝戦の明暗を分け、5万の大観衆で埋まったスタンドには、歓声と悲鳴が響いた。