精密機械のようなプレーでメジャー大会を6度制し、90年代最高のプロゴルファーと称される、ニック・ファルド。
1996年、ファルドは、3度目のマスターズ制覇を懸け、オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブで戦っていた。
最終日まで、ファルドは、首位・グレッグ・ノーマンに6打差をつけられての2位。
誰もがノーマンの優勝を疑わなかった。
しかし・・・。
ノーマンは一打目からからショットが曲がり、1番でいきなりボギーをたたく絶不調ぶり。
一方ファルドは、6バーディを奪う安定したゴルフを展開。
出だしでつまずいたノーマンは、10番、11番で連続ボギーを叩き、ここでファルドとノーマン、2人が並んだ。
運命の12番。
155ヤードのショートホール。
ノーマンの第1打は無惨にも池の中へ。
これで首位交代が確定的となると、ファルドは、その後も3バーディを重ねて突き放した。
結局ファルドは3日間首位を独走していたグレグ・ノーマンとの6打差を逆転し、通算12アンダーで6年ぶり3度目の優勝を果たした。
マスターズで3度の優勝は、ジャック・ニクラス、アーノルド・パーマー、タイガー・ウッズに続く歴代三位タイ。
ニック・ファルドは、
「どんなに苦しくても、挑戦していればいい時がくる。これまでで一番正確なゴルフができた」と力強く語った。