メジャー屈指の安打製造機、ピート・ローズ。
どんな時でも全力プレーする彼を人は、「チャーリー・ハッスル」と呼んだ。
子供の頃の夢、地元シンシナティ・レッズの選手になることを叶え、レッズ黄金時代の立役者となったピート・ローズ。
安打製造機と呼ばれ、1978年には史上最年少の38歳で3000本安打も達成するなど、メジャーの安打記録を次々と更新。
地元レッズでデビューし、フィリーズ、エクスポズと複数のチームでプレーしたローズは、1985年、古巣レッズに選手兼監督として迎えられた。
ファンの期待は「不滅のレコード」といわれたタイ・カッブ選手の通算4191安打をいつやぶるのかという一点。
開幕前、球団がはじき出したXデーは、8月7日。
ピート・ローズ自身は、8月26日とやや控えめに宣言。
そして、球団の予想もローズ自身の予想も過ぎた9月11日、ついにその瞬間が訪れる。
地元シンシナティで行われたパドレス戦、偉大な記録を見守ろうと、5万人以上の大観衆が見つめる中、1回、ローズは、いきなりレフトへ打球を弾き返した。
通算4192本目のヒット。
スタジアムの観客は総立ち、敵味方問わずの拍手と歓声に、常に闘争心旺盛な「チャーリー・ハッスル」も思わず涙した。
翌86年にメジャー通算安打記録を「4256安打」にまで伸ばしたローズは、45歳でバットを置いた。
全力プレーを信条としながら、故障とはほとんど無縁で、24年間の現役生活の中で、故障者リストに入ったのはわずか2回。
それぞれ2週間ほど戦列を離れただけだった。
ピート・ローズの偉大な記録は、無事之名馬の証でもある。