Legend Story
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16.01.23
ナディア・コマネチ

1976年7月、ルーマニアの14歳の少女の演技にスタンドは声を忘れ、静まり返った。
オリンピックの舞台に舞い降りた白い妖精・・・ナディア・コマネチ。

身長154センチ、体重40キロ。
くり色の髪に人形を思わせる端正な顔立ち。
白いレオタードに包まれた少女の演技は、見る者の目を奪った。

初日の段違い平行棒で、コマネチは2本のバーの間をスピーディーに飛び交った。
大胆にして正確。着地もピタリと決めた。

観衆が息をのんで見つめた電光掲示板の表示は「1・00」。
これは、掲示板に四けたの表示がなかったために起きた珍事で、実は10点満点。オリンピック史上初めてのパーフェクトを出した。

この演技以来、「ルーマニアの白い妖精」は、モントリオールオリンピック最大の注目選手となった。
彼女をひと目見ようと体操会場は連日超満員。

そしてコマネチもその期待にこたえるかのように段違い平行棒、平均台でパーフェクトを連発。

平均台での後方宙返りは、あの幅10センチの狭い台上でもピタリと止まり、微動だにしなかった。

コマネチは、個人総合、種目別も合わせて合計7回の「10点満点」を記録。
ルーマニアに初の金メダルをもたらし、種目別でも段違い平行棒と平均台で優勝して合計3個の金メダルを獲得した。

4年後のモスクワオリンピックでも平均台と床で金メダルを取り、世界中を魅了したナディア・コマネチ、
その記録と美しい演技は、時代を越えて輝き続けている。