「火の玉ストレート」が甲子園に帰ってくる。
日本プロ野球歴代5位の通算220セーブを挙げ、球界を代表するストッパー藤川球児。
“火の玉ストレート”と呼ばれる彼のストレートは、打者の手元で浮き上がるような軌道を描く。
最大の武器は、いかにして生まれたのか…。
1999年、高知商業高校からドラフト1位で阪神入団した藤川だったが、その後、6年は鳴かず飛ばずの投手だった。
プロ入り4年目で初勝利を挙げたものの、安定感に欠け、1軍と2軍を行ったり来たり。
2003年には、6点リードの9回、徐々に点差を詰められたあげく、同点ホームランを浴びるという屈辱的なリリーフ失敗を演じてしまう。
この年、チームは18年ぶりの優勝に沸いたが、藤川はひとり蚊帳の外。
しかし、そんな彼に転機が訪れる。
2004年のオフ、二軍投手コーチから「上から投げ下ろすように、ボールを叩きつけろ」と、
アドバイスを受けて右足にためをつくるフォームに改造。
これまで140キロ前後だったストレートは150キロを超え、高めに外れても打者が手を出す“ストレートという名の魔球”に生まれ変わった。
2005年からは、先発から中継ぎに転向し、3年連続でタイトルを獲得、トラの守護神への階段を一気に駆け上がった。
その後、メジャー移籍、日本の独立リーグを経て、4年ぶりの古巣復帰。
今シーズンは、先発起用が予想される藤川球児、かつての守護神が、スタイルを変え甲子園に舞い戻る。