日本サッカー界の冬の風物詩・全国高校サッカー選手権大会。
伝説の決勝戦として語り継がれる、1998年の第76回大会決勝。
インターハイ、全日本ユースを制し、高校三冠を狙う東福岡高校と6度の選手権優勝を誇る名門・帝京高校が対戦した。
決勝が行われた1月8日、東京は大雪注意報が発令されるほどの記録的な大雪に見舞われた。
例外なく、“聖地”国立も一面の銀世界。
雪に覆われたピッチで、後の日本サッカー界を担う両チームのエース、東福岡の本山雅志(もとやま まさし)、
帝京の中田浩二(なかた こうじ)がしのぎを削ることになる。
この試合では、雪との同化を避けるため黄色いボールが使用された。
雪と気温0.8℃という悪条件により、両チーム共にボール運びに苦労する中、東福岡は、本山を中心にボールを支配、雪に足を取られながらも、フィールドいっぱいにパスを回し、押し気味に試合を進めていく。
しかし、先制したのは劣勢の帝京。
前半21分、右サイドの中田のクロスに味方が合わせてゴールネットを揺らした。
すぐさま反撃に転じた東福岡はその3分後、中央の本山が右サイドに展開、そこから同点ゴールが生まれた。
足元に繋げるパスサッカーを実践し、良いリズムで前半を終えた東福岡は、後半立ち上がりから猛攻を仕掛ける。
そして、後半開始5分、本山のパスに味方がダイレクトで合わせて勝ち越しのゴール。
東福岡の攻撃をけん引する本山が圧倒的な存在感を見せつけた。
帝京はセットプレーを中心に東福岡ゴールに迫るもゴールを奪うことができない。
東福岡はこのリードを最後まで守りきって試合終了のホイッスル。
東福岡が雪の決勝を制し、3冠を達成した。
そして、この試合の両校のエース、本山雅志と中田浩二は、高校卒業後にJ1・鹿島アントラーズで再会。
アントラーズの主力として黄金期を作り上げることになる。