身長188センチ、体重59キロ、抜群の美貌とスタイルで、多くのファンを魅了するマリア・シャラポワ。
ロシアで生まれた彼女がテニスを始めたのは4歳の時。
凍てつくような寒さの中、コートを着て、公園で一人壁に向かってボールを打ち、練習した。
7歳の時、父親と2人、全財産の700ドルを持って渡米。
経済的な理由からビザの下りなかった母親と離れてテニスに打ち込んだ。
ジュニアのタイトルを次々と獲得し、14歳でプロデビュー。
長身から繰り出す強烈なサーブとストロークを武器に、パワーテニスを展開するプレースタイルは、当時から光っていた。
出場する大会で次々と好成績を挙げたシャラポワは、デビューからわずか2年で500人もの選手をごぼう抜きし、ランキングを32位まで押し上げた。
勢いをそのままに、2004年、ウィンブルドンのコートに17歳のシャラポワが立った。
準決勝で元女王のダベンポートを破り決勝進出。
優勝を掛けて戦う相手はディフェンディングチャンピオン、セリーナ・ウィリアムズ。
シャラポワは持ち味の伸びのあるストロークを武器に序盤から積極的に攻め、第1セットは6―1であっさりと先取。
第2セットは、ウィリアムズに先にブレークを許したが、ここからシャラポワの逆転劇。
4ゲームを連取し、セットカウント2―0のストレートで勝負をつけたのだ。
ウィリアムズのリターンがネットにかかるとシャラポワは両ひざをつき、両手で顔を覆った。
「夢はウィンブルドンで優勝すること」。
そう公言していた彼女の夢が現実になった瞬間だった。
テニスにすべてを賭け渡米。言葉が通じない環境でただひたすらボールを追い続けたマリア・シャラポワ。
「とにかく勝ちたいだけ」。
その美ぼうの奥には、何ものにも負けないたくましさがあった。