Athelete News
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15.04.11
次世代につなぐものは
今週の「ATHLETE NEWS」は、先週に引き続きレーシングドライバーの小林可夢偉選手をお迎えしました。

可夢偉選手はモータースポーツの最高峰、F1に2009年から参戦。2013年に一度離れたものの去年F1に復帰、戦い続けられてきました。そして、今年は、12年ぶりに国内レースの「全日本選手権スーパーフォーミュラ」に参戦するとあって、大きな注目も浴びています。



ー小林可夢偉選手は「スーパーフォーミュラ」に参戦するとあって、大きな注目を浴びていますよね。F1のマシンの差、レースの差というのはあるのでしょうか?

「全然違いますね。車自体が違うので、ある意味理解は難しいですけど、エンジンパワーはF1の方があります。ただ、一方ではタイヤが良かったりもするんですよ。ワンメイクというルールがあって、全部同じ車、タイヤも一緒なんです。ドライバーがプロレスみたいに戦っていて、本当に"コンマ1"の中に3台、4台が普通に予選に入ったりしますからね」

ーどこまで同じにしないといけないんですか?

「ルールがあって、何千ccじゃないといけない、このターボはこういう使い方をしないといけないとか、劇的に違うわけじゃないんですよ。詰めていくと、みんな大体同じような所にいるんですよ」

ー同じ車を与えられて、チームとしては多少改良してもいいんですか?

「セッティングはしてもいいんですよ。でも、だいたいみんな同じところにいってるんですよね。どこで差を出すかというとドライバーしかない、意外にそういうレースなので、コンマ1以下を削って、予選アタックして、レースもそういう車なので一個もミス出来ない、常に全開で走らないと勝てないんです。面白いと思うんですよね」

ー逆にドライバーは、すべて車が一緒だとプレッシャーかかりますよね

「みんな負けず嫌いなので、せこい事ばっかりするんですよ(笑)。いかに前の車の、スリップストリームといって、風の抵抗を減らしたりする」

ーそれだけ性能の差がないと、なかなかパッシングしずらいですよね。オーバーテイク出来ないんじゃないですか?

「それが正に、オーバーテイクボタンというのがあるんですよ。「ここでする!」っていう時だけ、LEDライトが光るんですね。抜こうとしているサインがあって、回転数がちょっと解除されるんです。外から見て「こいつ、抜きにいってるな」と分かるんですよ」

ーそれは回数は決まっているんですか?

「ワンレースで5回までです。でも、使わないで良いレースをしないといけないんですよね。使わないで終ると、余裕だったんだなと思えますから。結局、ゴールする時に、いかに前にいるかなので、もし使わないでレースを終えると余裕があったんだなと、使わないといけなかったのは、思ったよりも辛いシーンがあったレースになっているので、理想は使わない事ですね」

ー今シーズンの意気込みを聞かせていただけますか?

「12年ぶりに日本に帰って来てレースをするというのは、僕自身、未だに知らないコースがあります。若い時に海外に行ってしまったので、1年しかやってないんですよね。「スーパーフォーミュラ」は日本の最高峰のレースで、そこでしっかりレースの楽しさを伝えるのが重要だと思っています。
レーサーなので、結果を残すというのは当たり前の作業ですので、しっかりそれをやって、レース自体を色々な人に伝えたいですね。そのために、この現場で楽しい事をやっていけたらなと思います」

ー可夢偉選手を見て、レーサーになりたいと思う子供達も出て来るかもしれないですよね

「そうなんですよ。小さい頃はカート場がたくさんあったんですけど、今は意外に減っていて、なかなか経験出来る所がないんですよ。カート場を増やしたいし、子供達が経験するフィールドをいっぱい作る事を考えています」

ー親がいっぱいお金を持っていて、幼い頃からカートをやってる選手が速いというのは多いですよね

「そうならないために、全然違うアイデアでカートを浸透させないといけないなと思っています。今って、カートはお金持ってないと出来ないイメージで、そういうものを排除して、月謝制に出来たらいいなと思います。大人になると車の免許をとるもんじゃないですか?雨が降ったら車ってどれだけ滑るんだとか、小さい頃にやっているだけでも、大人になった時の車の運転に良い影響を与えたりしますよね。世界で一番か二番の自動車大国の日本が、何故、若い子達が車に興味ないというのが問題で、そういう事をこれからもやっていかないといけないし、やる事によって世界に誇れる車を作れるんじゃないかと思います。
車に乗ってないと、良い車を作ろうという意味がわからないじゃないですか。そういう体験をしていると、「良い車を作ろう」と、エンジニアが育ったしますよね。だから、キッズカートって重要だなと認識しているので、やっていこうと思います」

ーいよいよ来週から「スーパーフォーミュラ」が始まりますね。

「レース自体、楽しいレースだと思います。F1ドライバーが、世界で一番良いサーキットはどこだというと、「鈴鹿サーキット」と言うんですよ。嬉しいですよね。歴史の中で、最高なレイアウトのコースで、ドライバーとして楽しめるコース。僕自身も楽しみにしているし、鈴鹿サーキットは環境も整っているので、ぜひ色んな方に来ていただきたいと思います」