Athelete News
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15.03.28
ライフセーバー・和田賢一が描く5年計画
今週の「ATHLETE NEWS」は、ライフセーバーの和田賢一選手をゲストにお迎えしました。

和田選手は、1987年生まれの27歳。昨年、全日本ライフセービング選手権、全日本ライフセービング選手権種目別の2つの大会で優勝、二冠を達成しました。
次は世界一になるべく、昨年11月からジャマイカに渡り、ウサイン・ボルト選手らと走力を徹底強化、今年頂点の旗をつかみ取る瞬間を目指します。



ービーチフラッグスは、救助の為のどんな部分を強化するトレーニングなんですか?

「砂浜の上で倒れている方に対して、反対向きに寝て、うつ伏せで一番スタートしずらいポジションから笛の合図で、救助を求めている方に走って行って、その方を助けるという概念ですね」

ー競技は少ない旗をみんなで取り合うという事をやるんですか?

「イス取りゲームみたいな形で、例えば15人から始まったら旗が14本とか13本、決勝に限っては力が拮抗していて短い距離なので、10人だったら9本とか、1本ずつ減っていくような種目になっています」

ーどの旗を狙って行くかによって、ライバルのいない旗だったら楽に取れるじゃないですか。それは運なのか作戦なのか、難しいところですよね。

「並んだ時に、誰がどこに行くか分かった時、運もあるし、作戦もありますね。陸上というよりも、相撲に近いですね。立合いみたいな、ほぼ集中力の勝負ですね」

ー去年の全豪選手権では、日本人男子歴代最高の2位、世界大会も日本人初の2位、頂点まであと一歩のところまできました。2位という結果は、嬉しいんですか?悔しいですか?

「どちらも勝てると思ったので、悔しいですね」

ーどんな所を強化したら勝てたなとか、そういう収穫はありましたか?

「僕はスタートが得意なので、その部分では勝てるんですね。そこから20メートルの足の速さが、僕以外の決勝に残る選手はトラックでも100メートルを9秒前半で走るんですよ。砂浜にも小さい頃から慣れているんですよね。僕は砂を走る技術もわからないし、長い距離も得意じゃないので、走るのを練習する必要がありました」

ー走力を上げる為に選んだのが、ジャマイカの陸上チームへの留学。これは出来るものなんですか?

「それが出来たんですよね(笑)。一番現実的に100mを10秒前半で走る日本のチームにも行ったんですけど、僕は陸上選手じゃないので、一緒に入って練習するというのは難しかったんです。出来る事は全部やってみようと思って、ボルトさんのチームに連絡をしました。すぐにいいよと、返事が来て、何が何でもという思いを伝えたんですよ」

ーどんな練習をされていたんですか?

「3ヶ月間行きましたけど、死ぬかと思いましたね(笑)。そのチームが9秒台で走ってる選手が7〜8人いたんですよ(笑)。後から知ったのが、そのチームは陸上の世界の中でも、世界一きつい事で有名だったそうなんです(笑)。300メートルを10本という練習があって、設定タイムも9秒台の人に合わせているので、僕が走ったら一本も着いていけない、嘘だろと思ったんですよ(笑)。その選手達よりも、300メートル走るあいだに、100メートル差をつけられましたね」

ー3ヶ月やっていく中で、変わっていきましたか?

「着いて行ける様になったんですよ。最終的には、その設定タイムでいけるようになりましたね。人間の体ってすごいなって思いました(笑)」

ー現在も走る練習は続けているのですか?

「ジャマイカのコーチと連絡をとって、5年計画で東京オリンピックで100mを目指しています。毎年ジャマイカに行って、練習をしていこうと話しています」

ーボルト選手はどんな方でしたか?

「やっぱり、色んな事を乗り越えて来た人なんですよね。15歳の時に200メートル19秒台という、ものすごい記録を叩き出して、ものすごい期待をされていました。あの方は色々な所をケガしていたんですね。全然記録が出なくなって、そのうちにアサファ・パウエルさんが世界記録を出したんです。彼は4年計画でそのコーチと練習をしたんですね。その4年後の試合が、横走りで世界記録を出した北京オリンピック、あの大会だったんです。目標達成をする思考がものすごい強い人ですね。オンとオフが、すごい激しいです」

ーキャラクターは、すごく奔放なというか、豪快なイメージがありますね。

「すごく真面目で繊細ですね。多くのジャマイカ人はタイムを大まかに計ったり、休息時間を守らなかったりするんですよ。でも、ボルトさんは何秒と言われたら、何秒でしっかり走っていましたね。それを繰り返していました」

ー和田さんにとっての、ライフセービングとは何ですか?

「人生で、大切な物を教えてくれるきっかけとなるものですかね」