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21.05.22
金メダルの鍵は「引きずり回しの刑」!?
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今週の「Athlete News」は、先週に引き続き、東京オリンピックの女子ケイリン代表、小林優香選手をゲストにお迎えしました。

小林優香(こばやし・ゆうか) 選手は、1994年生まれ。福岡県出身。
幼い頃からバレーボールに打ち込まれ、高校時代はインターハイ出場。
しかし、短大時代に見たロンドンオリンピックの自転車競技に魅了され、競輪学校への入学を決意。
着々と成績を残し、2018年のワールドカップ・ベルリン大会の女子ケイリンで日本人初となる銅メダルを獲得されました。
さらに、2019年のアジア選手権で優勝。
東京オリンピックでは、自転車競技で、日本女子初のメダルを狙います。

今回は小林選手にリモートでお話を伺っていきました。



──2015年に賞金女王となって、“ガールズケイリン最強”と称されるほどになりましたけれども、先週もお聞きしましたけど、やっぱりガールズケイリンと競技のケイリンの両立というのは大変なことなんですか?

そうですね。例えるとしたら、水泳のクロールと背泳ぎぐらい全く違う種目と考えていただけたらわかりやすいかなと思います。
普段使っている、ギア倍数…“(車輪を)1回転で何回(クランクを)回せるか”というのをギア倍数と言うんですけど、それも、ガールズケイリンの方では指定された規定以内のギアを使わないといけないんですけど、競技だとそれよりもっと重いギアを使っているので、自分のスピード感に混乱したりしちゃいますね。

──走らなければいけないコースだけではなくて、乗っている自転車も違うんですか。

乗ってる自転車も、重さも全く違います。

──よく、可変のママチャリだったりそういう自転車っていうのは、ギアチェンジして重くなったり軽くなったりしますけれども、そのギア比が違うと。

全く違います。例えば、競技の方でウォーミングアップとして使っているギアが、ガールズケイリンのレース用のギアという形になります。

──いわゆる“駆け引き”ってありますよね。ケイリンの駆け引きって、かなり重要な要素なんですか?

駆け引きは特に重要だと思います。もちろんガールズケイリンの方でも駆け引きは大事なんですが、やっぱり競技となると、1周が250mしかない中でトップスピードのある選手ばかりで戦うので、一瞬の判断が金メダルか、それとも全く届かないかに繋がってしまいますね。

──でも、“出遅れちゃいけない”と思って先行すると、やっぱりスピードがそれなりにあるので、風の抵抗を受けてしまう…みたいなことになってしまうんですか?

そうですね。時速65キロで走っている中で台風並みの風圧を受けてしまうので、先行は不利なんですけど、私の脚力的には先行向きなので、2周半逃げたりとかはします(笑)。
どこがゴールかわからなくなるくらい必死ですし、呼吸も整わないので、キツいんですけど、でもそれで勝った時にはすごく達成感があります。

──大変な世界ですよね。

競技の方では1日に3レースしないといけないので、いかに回復するかが重要になってくるんですけど、私の脚質的に乳酸が溜まりにくいタイプなので、向いてるのかなと思います。

──そしてガールズケイリンと競技のケイリンを両立されてらっしゃる小林選手ですが、ガールズケイリンの方の出走数が減ったんですか?

そうですね。今年はまだ(ガールズケイリンでは)1回も走っていないです。

──それは新型コロナウイルスの影響ということですか?

いえ、オリンピック代表内定選手は、オリンピックが終わるまでは(ガールズケイリンでは)走らないことになっています。

──オリンピックに集中しなさいということですね。

そうですね。1年でマックスまで持っていかないといけないので、その期間はトレーニングの時間に充てるという感じです。

──でも、小林選手は賞金女王にも輝いている。ガールズケイリンで走れば賞金を獲得できるわけじゃないですか。オリンピック代表になって、その(賞金の)代わりになるものはあったりするんですか?

いえ、無くて、収入面でもすごく厳しいですし、今は母が援助してくれています。

──そうなんですか! それを持ち出しでやれと言われるのは、ちょっと厳しいですよね。

そうですね。ガールズケイリンで1年間必死で走れば2900万は確実に年収でもらえると考えると、やっぱりこの状況は厳しいですし、母に苦労をかけているなと思います。

──金メダルに輝いたら、その後はそれ以上の収入が待っていますね。

そうですね。この夢のために、母も「優香と同じ夢を追いかけられて幸せだよ」と言って応援してくれているので、必ず達成したいです。

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──さらに小林選手は、ケイリンだけではなくスプリントにも出場されるんですか?

そうです。2種目に出場します。

──この「スプリント」というのは、ケイリンとはまた違う競技・ルールなんですか?

スプリントは1対1の勝負で、相手との駆け引きの勝負になるんですけど、ケイリンとはもっと違う、さらに心理戦となってくる種目です。

──1対1だと、どういう心理が働くんですか?

誰が先行するか、そしてどちらを前に出させるか、逆に前に出させないか…という心理戦になってきます。

──よく見る、本当にもう止まりそうなぐらいのスピードで、バンクの上までトロトロと上って行って…みたいな、ああいう駆け引きが行われるんですよね。

そうですね。実際にバンクで止まったりもします。

──止まっていいんですか!?

手を使わずに、「トラックスタンド」と言って、自転車のバランスを保って止まったりします。

──それだけ、先行する、風圧を受けるというのは不利になる?

そうですね。私は短距離種目という部類なんですけど、その選手たちはトップスピードを出すのにずば抜けてる選手たちばかりなので、いかに短い距離で勝てるかというのを争う形になります。

──それを知りながら観ると、また面白さが倍増しますよね。先ほど先行力のある脚力があるとおっしゃってましたけれども、ご自身の一番の強みは何だと思われますか?

私の一番の強みは、「スピード持久力」で、高いスピードを常に維持したまま最後まで走りきるというのが私の持ち味です。

──それは競技にとって、すごく重要な部分ですよね

そうですね。なので私は瞬発力に欠ける選手と勝負する時は、私の長所を生かして、自分の中では「引きずり回しの刑」と言っているんですが、相手を疲れさせて最後まで粘るという形を取っています(笑)。

──「引きずり回しの刑」って、なぜ最後に「刑」がつくんですか?(笑)

終わった後、相手もすごくヘロヘロになっているので、海外の選手にも「優香、これは罰ゲームだよ」って言われたことがあるくらいなので(笑)。

──相手選手に嫌がられるというのは本当に嬉しいことですよね。

そうですね。相手がクタクタになっているのを見て私のテンションも上がるので嬉しいです(笑)。

──(笑)。性格も合っていらっしゃるんですね。自転車競技はエンジンが自分の脚力ですものね。
さあ、この番組では毎回ゲストの方にcheer up songを伺っています。今週も小林選手の心の支えになってる曲を教えてください。


レイチェル・プラッテンさんの「ファイト・ソング」です。題名にもあるとおり、“これが私のファイト・ソングだ”という歌詞があって、そこが1番のサビで盛り上がる部分なんですけど、苦しい時、特に決勝戦前とかにはこの歌を聴いて、自分の自信を高めています。

──試合前というのは、プレッシャーがかかるものなんですか? それとワクワクする? どういう気持ちでいつも臨まれていますか?

私の場合は闘志を剥き出しにするタイプなので、集中していかに平常心で、そして周りをよく見てレースをするかという部分が1番大事になってくるので、この歌を聴きながらも心は冷静に…という風に心がけています。

──改めて、東京オリンピックへの意気込みを教えてください。

東京オリンピックは、私の競技人生の最後の大会と位置付けています。その大会に全力をぶつけて輝かしい金メダルを持ってこの競技人生を終われるように頑張りたいと思いますので、ぜひ応援よろしくお願いします。

──応援します!

お願いします!


今週のゲスト、小林優香選手のサイン色紙を1名様にプレゼントします!
ご希望の方は、番組公式ツイッターをフォローして指定のツイートをリツイートしていただくか、
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