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21.03.20
十種競技は観客や選手みんなで作り上げるもの
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今週の「Athlete News」は、オリンピック3大会連続出場を目指す、陸上十種競技の右代啓祐選手にインタビューを行いました。

右代啓祐(うしろ・けいすけ)選手は、1986年、北海道生まれ。
中学時代に陸上競技を始め、高校3年の時に八種競技に転向、国士館大学で本格的に十種競技を始め、頭角を現しました。
2010年に日本選手権で初優勝し、以降、2015年まで6連覇、おととしまで最多8回の優勝を誇ります。
2012年ロンドンオリンピックには、この種目で日本人選手48年ぶりの出場を果たしました。
2014年には、8308点を挙げ自身の持つ日本記録を更新、アジア大会では金メダルを獲得。
2016年リオオリンピックでは、日本選手団の旗手も務められました。
2021年の今年、3度目の東京大会を目指しています。



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──そもそも十種競技というのが、1日目に100m、走り幅跳び、砲丸投げ、走り高跳び、400m。そして2日目に、110mハードル、円盤投げ、棒高跳び、やり投げ、1500mという、全10競技を2日間で行うのですよね。非常にハードですよね。

はい。日本ではまだなじみが深くはないんですけど、ヨーロッパでは非常に有名な競技で、勝者は「キング・オブ・アスリート」と言われるぐらい、世界では有名なんです。
やっぱり、“1日中競技をする”という面では、2日間の疲労は半端じゃないですね。オリンピックの話をすると、朝の9時から競技が始まって、1日目の5種目目の400mなどは夜の11時半とかそんな時間までやって、そのまま次の日(2日目)を迎えるわけなので。1日中、それこそ休んでいる時間も競技をしている…ぐらいの感覚ですね。
ですから、(十種競技とは)非常に大変な、身体にも心にもメンタルにも響くような、そんな競技です。

──しかも、競技を観ていると、パワーも必要ですし、一方で軽やかさも必要になってきますよね。

ですから、体が細すぎるとパワーに影響が出てしまったり、体が大きすぎると持久力がもたなかったりするので、自分の適正な体重とかはすごく意識して、体重管理は特に大事にするようにはしてますね。

──そんな“オールマイティな筋力”が必要な競技だと思うんですけれども、その「2日間」もハード過ぎて。2日目の最後が1500メートル。それが終わると、選手のみなさんが互いに今までのレースをたたえ合うんですよね。

それこそがこの十種競技の1番良いところだと思っています。
例えば、100m(単体競技)とかだったら、ゴールしたらその場でお互いに「よく頑張った」って背中を叩いたりハイタッチしたりっていう瞬間はあるんですけど、それが十種競技の場合は10回行われるので、どんどん(選手同士が)仲良くなっていくんですよね。
なので、競技をやっていくうちに相手を応援したり、本当に辛い時に声をかけに来てくれる海外の選手がいたり、“みんなで戦っている”という感覚はあります。(最後の)1500mが終わった後にみんなで抱き合ったり、観客に「応援ありがとうございました」って、全員でウィニング・ランをするんです。他の競技ではメダルを獲った人がウィニング・ランをするんですけど、十種競技の場合は全員でウィニング・ランをして、観客に向かって「2日間応援ありがとうございました」って挨拶するんです。そういう瞬間は、やっぱり涙が出ますよ。

──観客のみなさんも含めて、その場にいるみんなが一丸となって競技を終えたという、仲間意識みたいなものがあるんでしょうか。

それはあると思いますね。選手だけで作り上げるのではなくて、観客と一緒に、“共に作り上げる試合”というものをより感じることができる競技が十種競技じゃないかなと、競技をしていて思いますね。

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──右代選手は、オリンピック初出場が2012年のロンドン・オリンピックでしたよね。その時の光景が今も忘れられないとか。

そうですね。初めてのオリンピックで、当時で(十種競技の日本代表としては)48年ぶりの出場だったんですけども。
8種目目の棒高跳びの時に、4m90の高さにチャレンジしたんです。3回失敗したら記録なしで終わっちゃうんですけど、2回失敗して次が最後の跳躍という時に、自分は手拍子を求めていないのに、観客の人たち…それこそ6万人もの人が会場にいたんですけど、全員立ち上がって、「右代コール」が起こって。その瞬間から自分にスイッチが入って、3本目で高さを余裕で超えてクリアしたんです。
その瞬間の“会場の盛り上がり”というか“地面が割れるような声援”というか…そういったものを感じて、オリンピックの素晴らしさ、そして“世界の頂点でメダルを獲ったらもっと素晴らしい未来が待ってるんだろうな”ということを、2012年のロンドン・オリンピックでは感じることができました。そこからメダルを目指して頑張るようになったので、(ロンドン・オリンピックは)本当に自分の中では大きな出来事だったんじゃないかなと思いますね。

──リオ・オリンピックでは、直前の練習で怪我もあって、なかなか万全の状態では臨めなかったんですよね。

オリンピックの2ヶ月前に、棒高跳びの練習中に全治3ヶ月の骨折をしてしまって、左手の親指を手術して…。痕がまだあります。棒が折れた反動で親指が反対方向に向いてしまって、骨が折れてしまったという。
まさかオリンピック前に全治3ヶ月の怪我をするとは、想像もしてなかったです。でも、“4年に1度ってやっぱり何かあるな”と思いながら手術をして復帰まで頑張ったら、驚くべきスピードで回復して、全治3ヶ月が1ヶ月に縮まって、オリンピックに間に合ったんです。
(怪我から一転)オリンピック間に合わせることができて、そして旗手という大役を任せていただいて挑んだ2回目のオリンピックでしたが、“もしかしたら出れないかもしれない”というところからの一発逆転が自分の中で起きたので、“人間ってどんなことでも乗り越えられるな”と、2016年のオリンピックでは感じることができましたね。

──その想いが、東京オリンピックへの活力になっていたりもしますか?

そうですね。年齢的にも、今年2021年は35歳の年なんですね。だから「ベテラン」と呼ばれていたり、「もうそろそろ引退」という言葉も、聞きたくないけれど聞こえたりもするんです。
でも、2016年のリオの時の“乗り越えた”という経験を考えると、「メダルを獲る」という自分の夢を達成するためには、年齢とかは関係なく、まだまだ色々成長できますし、自分自身にモチベーションがあるので、“オリンピックでメダルを獲りたい”という気持ちは変わらず、今は上を目指し続けられています。

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──右代選手の、更なる高みを目指してオリンピックに挑んでいこうという思いが伝わってきました。さて番組では、ゲストの方にcheer up songを伺っています。右代選手の心の支えになっている曲を教えてください。

ゆずの「虹」です。
僕が音楽を聴き始めた原点がゆずということもあって、昔からずっと好きで、中学時代はゆずの曲をギターで弾いたりしていました。ここ数ヶ月は、家族でこの「虹」を歌うことが多くて。毎日かな。夜になったらギター持って家族で歌って、嫁がハモリをして、みたいな(笑)。子供もみんなで歌って…みたいなことを音楽かけながらやるんですけど。
大好きなゆずを家族で聴いて家族で歌うというその光景がもう、僕の中ではパワーになっていて。練習の時とかちょっと元気を出したい時は、最近はよく「虹」を聴きます。

──ご家族みなさんでゆずの「虹」を歌う。幸せな光景ですね!

ちょっとノロケですけど(笑)。家族には本当にパワーをもらっていますし、この歌の曲調も、すごく元気をもらえる曲です。


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今週のゲスト、右代啓祐選手のサイン色紙を1名様にプレゼントします!
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