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20.12.26
「スポーツを止めるな」にかける想い
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今週の「Athlete News」は、ラグビー元日本代表で、現在は一般社団法人「スポーツを止めるな」の共同代表理事を務められている廣瀬俊朗(ひろせ・としあき)さんをゲストにお迎えしました。

廣瀬俊朗さんは、1981年生まれ、大阪府出身。
5歳からラグビーを始め、大阪府立北野高校、慶應義塾大学を経て、2004年に東芝に入社。
中学生以降、各チームでキャプテンを務められました。
日本代表には、2007年に初選出。
2012年から2013年までキャプテンを務め、2015年のラグビーワールドカップ・イングランド大会では、日本代表の躍進を陰から支えました。
2016年に現役を引退、MBAの取得や会社を設立する一方、一般社団法人「スポーツを止めるな」共同代表理事を務めるなど、スポーツの普及と教育に取り組まれています。



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──今年7月、学生のアスリートを支援する、一般社団法人「スポーツを止めるな」を、この間(9月5日)この番組にゲストに来ていただきました、ラグビー元日本代表の野澤武史さんと共に設立されました。これは、もともとは「ラグビーを止めるな」という運動だったんですよね?

もともとはそうですね。野澤武史さんが、高校生の採用とか、良い高校生がいたらピックアップして…みたいなことをしていたんですけど、(コロナ禍で)高校生がアピールする場が無くなってしまって“困ったな”ということと、大学側も「良い選手、どこにおんねん」みたいなところで、“これは助けなあかんな”ということで、ゴリさん(野澤さん)から始まったプロジェクトなんです。

──それが好評だったというか、大学側も嬉しかったし、お互いに良かったと。

そうですね。(選手も大学も)お互いめちゃくちゃ困っていたので。特にラグビーの場合は、急に身体が大きくなったり急に強くなったりするので。バスケとかだと、良い選手はけっこう小さい時から良い選手で、だいたい目星がついてるんですけど、ラグビーって(良い選手になるかどうかが)わからないところがあるんです。高校生から始めたりもするので。

──野球、サッカー、バスケあたりは小学校から盛んにやることがありますけど、ラグビーって言うともうちょっと上の、部活から始める人も多いですよね。

高校になってラグビーをやり始めた人で、急にデカくなって「めっちゃ良くなってきたやん!」って人が、試合がなくなっちゃったから。特に地方の学生とかはチャンスがなくなってしまって、“このままいったらヤバイな。スポーツをやる人が減っちゃうな。これは何とかしよう!”ということで動き出しました。

──これが好評だったから、他のスポーツからも「やってほしい」という声があったんですよね。

他のスポーツにも同様のニーズがあって。やっぱりみんな困っているところがあったので。「それならみんな一緒になってやろう」という感じで話が広がっていったので、良かったなと思いますね。

──これは新型コロナが落ち着いた後も、ぜひ続けていただきたいですね。

まさにおっしゃる通りでして、来年以降にもこういうものが残っていって、“もうチャンスがないからやめよう”と思っていた人が、“1回これに映像を載せてみよう”となってくれたらいいなと思いますし、あとは、自分のこと(映像)を編集するって、実は良い作業になっているんですよね。“僕の強みってこんなところなんや”とか、“相手側からしたらどんな映像がいいんやろ”みたいな。それって、まさに社会で生きていく上ですごく大事なことで、そういったものをスポーツを通して学べるというのも良いことだと思いますね。

──なかなか、自分から自分のプレーをプレゼンする機会ってないですよね。

ないですよ。社会人で就職活動をする時って、まさにそういうことも必要じゃないですか。「こんなことに貢献できますよ」とか、「こんなことをやりたいです」って。それを(学生スポーツで)1回やっておくといいんじゃないかなと思います。
あとは、ラグビーファンの方たちもラグビーの試合が(コロナ禍で)観れていなかったので、“なんか、あの「スポーツを止めるな」を見たらラグビーが観れるやん!”みたいな。“スポーツっていいね〜!”みたいな、そんな風に思ってもらえたのも良かったなって思います。

──「スポーツを止めるな」の活動の中で、学生さんから実際にどんな声が届いていますか?

最初は彼らも半信半疑と言いますか、“とりあえず(映像を)載っけてみよう”みたいな感じだったんですけど、僕らが、それこそ五郎丸(歩)選手とかが実際に、「なんか(選手の映像が)載ってるやん、ええな!」みたいなことをやっているだけで、“ああ、(本当に)見てもらえたんや!”というね。まさか日本代表の選手が見てくれると思ってなかったので、“見てくれてる、嬉しい!”みたいな、ちょっと落ち込んでいた彼らもモチベーションが上がったりとか。実際、それが進学に繋がった生徒もいるので、そういった意味でも良かったなと思いますね。

──親御さんからも喜びの声が届いたりするんじゃないですか?

そうですね。僕らの活動の中でも“「青春の宝」プロジェクト”というのがあって、彼らの引退試合とか思い出の試合に(現役選手などの)実況解説を乗っけるというものなんです。それをやると、お父さんお母さんも、「悔しいまま引退してしまった子供が、“最後の試合、あの選手に解説してもらえた!”と喜んでくれて、良い思い出ができました」みたいな、そんな形で喜んでいただけているのも良かったなと思ってます。

──自分たちの試合を、そんな名選手やアナウンサーの方に実況してもらえるなんて、そんな機会ないですもんね。

ないですよね。全国大会じゃなくて地方の大会で、バレーボールだったら大山加奈さんとか、バスケなら富樫(勇樹)選手とか、ああいう人が解説を入れてくれると、やっぱり喜んでくれますね。

──トップアスリートの方が協力してくれるっていうのが、嬉しいことですよね。

本当にそうですよね。あとはこういった活動って、コロナの前は、ラグビーだったらラグビーだけ、バスケだけ、バレボールだけ…ってなってましたけど、(コロナ禍になって)「みんなでスポーツのことを考えなあかんな」みたいになったのは良いことだったなと思ってますね。

──本当は「小さい時期はいろんなスポーツをやった方がいい」と言われてますけど、これをきっかけに、“ちょっと他の競技もやってみよう”という子供が出てくるといいですね。

まさにそれも、これから日本のスポーツ界がやるべきことでして。やっぱりその中で“自分の好きなスポーツはこれだ”っていうのを見つけて、最終的に選ぶ。それが嬉しいと思いますし、例えば若い時にバスケをやっていたら“バスケを応援しよう”みたいになるじゃないですか。そういった“マーケットを大人になって広げる”という意味でも、いろんなスポーツをやってほしいなと思います。

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──そして先日、嬉しいニュースがありました。「バスケを止めるな」の活動から、Bリーグに入団した選手が出ました。福田晃平選手。これを聞いた時はやっぱり嬉しかったですか?

嬉しいですね。ラグビーだとけっこうそういう話を聞いてたんですけど、“他のスポーツはどうなんかな?”って思っている中で…きました(笑)。めっちゃ嬉しいと思いました。

──もともとは学生と大学を繋げる…みたいなところから始まったわけじゃないですか。それが、大学生の選手を、Bリーグの、いわゆるプロバスケットボールのチームと繋げることができるといったら、さらにステップアップというか、「そこまで広がったんだ!」という達成感とか驚きがありますよね。

ラグビーでも実際にそういうこと(大学生がトップリーグからオファーを受ける)があったんですよね。だから、高校生をメインでやってきましたけれど、“そこは競技によってずれたりもするんかな”と思って。個人情報などをうまくやりながらになりますけれども、いいものを作っていけたらいいなと思っています。

──さあ、そして「スポーツを止めるな」。今後はどのような展開を考えていらっしゃいますか?

まず、自分たちの映像を載せて、大学とかリクルーターの人に見てもらう、そしてこれをちゃんとオープンとクローズのところをうまく設計していくというのが1つ目。
2つ目は、“「青春の宝」プロジェクト”。これからコロナがどうなるかわからないので、これを1つの柱としてやっていきたい。
3つ目は、今回(選手の映像を)TwitterとかのSNSに上げるということで、メディアのリテラシー、メディアに上げることのリスクとか、メリット・デメリットがあると思うんです。そういったことろを学校教育で教えるのはなかなか難しいですし、あと、“リーダーシップ”とかについて教えるのも難しいんじゃないかなと。こういった、学校教育で教えるにはなかなか時間も取れない…というようなところに、アスリート自らが体験してきたものを還元できるといいんじゃないかなと思うので、そういったちょっと教育的なところを含め、3つの柱をこれからも継続的にやっていけるといいのかなと思ってます。

──そして廣瀬さんはさまざまな年代でキャプテンを務めてらっしゃいますから、それはもう“リーダーシップは任せろ!”と(笑)。

いやいや(笑)。喋るのはいけるんですけどね(笑)。

──でも、日本代表でキャプテンを務めるというのは、相当重圧があったんじゃないですか?

重圧はありました。でも、喜びも大きかったですし、仲間も良かったので。しかも、今の日本代表はみなさんからすごく注目されるようなチームになったので、頑張って良かったなとは思ってますけどね。

──この番組では、毎回ゲストの方にCheer Up Songを伺っています。廣瀬さんの心の支えになっている曲を教えて下さい。

ホルストの「木星(ジュピター)」という曲です。

──これは、いわゆる交響曲。クラシックですよね。クラシックがお好きなんでしょうか?

僕は小さい時、いわゆる普通の歌謡曲を聴いていたら、母親から止められてたんですよ。僕の母親はピアノをやっていて、僕はバイオリンをやらされてたんです。そんなんもあったんで、けっこう家でクラシックを聴くというのが当たり前やったんで。ちょっと昔を思い出しながら、試合前とかに集中するみたいな。それがこの曲やったんですよね。

──ラグビーをやりながらバイオリンもやってたんですか?

そうでしたね。平日なんか、2週間か3週間に1回バイオリン教室に行って。

──それこそ、指が怪我したら…とか言って、「ラグビーはやめなさい」って先生に言われちゃうんじゃないですか?

いやもう、ラグビーメインやったんで。隙間時間にバイオリン、みたいな(笑)。バイオリンは実家にはあるんで、今は実家に帰ったらちょっとやるぐらいです。

──じゃあ、次の役は音楽家だな(笑)。テレビ局のプロデューサーの方が聴いてらしたら、ぜひバイオリニストの役をオファーしていただきたいなと(笑)。

えらいこっちゃ(笑)。

──本当に、空前のラグビーブームですよね。

本当に。去年はワールドカップも盛り上がりましたし。みなさんのおかげですけどね。メディアのみなさんにも色々取り上げていただいて、応援していただいて。

──それを“トップリーグに繋げたい”っていう状況の時に、新型コロナの件があって。残念ではあるんですけど、でも今みんな、待ちわびてますから。

そうなんです。(「トップリーグ2021」が)1月16日から、開幕しちゃいますよ〜!

──最後に、廣瀬さんから、スポーツに情熱を注ぐ学生たちへ伝えたいメッセージがありましたら、お願いします。

今は本当にコロナ禍でまだまだ大変なところかなと思いますけども、僕たち大人も、みなさんのためにできることを精一杯やっていきたいと思いますので、みんなは今できることを一生懸命やりながら日々を送っていただければ嬉しいなと思いますし、本当に“なんか大変やな、キツイな”と思ったことがあれば、僕らに言ってもらえたら、それなりにサポートできることをやっていきたいなと思いますので。“1人だな”とか“寂しいな”とか思わないで。「一緒になってやっていこう!」という場所を作っていけたら嬉しいなと思います。

──プレー面だけではなくて、“こんなことで困っている”とかでもいいんですか?

全然! けっこう最近の子は、インスタとかのダイレクトメールとかでメッセージを送ってきますよ。僕は高校生とか、学生やったら返そうとします。なんか、“テレビとかで調子いいこと言ってて、そこで無視しあたらあかんな”と思って(笑)。

──じゃあ、スポーツの動画だけじゃなくて、他のことでも(相談を)受け付けている?

全然、もう、言うてください!

──これは頼もしいですね!


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