Athelete News
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20.10.24
時代に逆行しても「古き良き日本柔道」を表現していきたい
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今週の「Athlete News」は、リオ・オリンピックの柔道73キロ級金メダリスト、大野将平選手をゲストにお迎えしました。

大野将平選手は、1992年山口県生まれ。
7歳から柔道を始め、中学1年で上京、数多の世界王者を生んだ「講道学舎(こうどうがくしゃ)」で稽古を積まれました。
天理大学を卒業後は、実業団の強豪、旭化成に所属。
内股や大外刈りで一本を狙う正統派の柔道で相手を圧倒、2016年のリオ・オリンピック、73キロ級で金メダル獲得されました。
来年の東京オリンピックで連覇を目指します。

今回はリモートでお話を伺っていきました。



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──(リモートの)画面を見て驚いたんですが、いつもの大野選手と大分雰囲気が違いますね。

はい(笑)。この期間中、ずっと髪も髭も伸びっぱなしで。基本は奈良県の母校に篭ってやれることをやっていたので、人に会う機会もあまりなかったんです。

──思うように稽古が出来ない期間を経験して、柔道に対する想いや取り組み方は変わりましたか?

柔道には「精力善用(せいりょくぜんよう)」「自他共栄(じたきょうえい)」という2つの精神があるんですが、自分自身というよりも、未来ある子供たち、中高生、大学生の大会がなくなっている現状を見て、若い世代のことをよく考えるようにはなりました。
やはり若い子たちにとって、大会での経験値や試合での大きなきっかけというのが、自分を大きく成長させるものになるはず…“だった”んですね。でも今、その機会が失われている。そういう状況に対して、何か自分が出来ることはないのかなとすごく考えています。

──そしてコロナだけではなく、豪雨被害に対するチャリティオークションで、「金ゼッケン」の付いた柔道着(五輪王者だけが着けられる柔道着)を出品されましたよね。50万6千円という高額で競り落とされました。山下(泰裕)会長の55万1千円には勝てませんでしたが、勝ちたかったですか?(笑)

いやいや(笑)。欲を言えば山下先生を超えていきたいという気持ちはありましたけど、山下会長には現役の自分たちを超える人気がありますので、“さすがだな”と感じました。

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──そして来年の東京オリンピックでは、柔道の日本代表ではオリンピック2連覇に挑戦できる唯一の選手となるわけです。「金メダルに最も近い」などと言われていますけれども、そんな簡単なことではないですよね。

そうですね。自分が思っている以上に難しいことなんじゃないかとは思っています。
柔道で言えば、井上康生監督や鈴木桂治コーチなどが(オリンピック)2連覇に挑戦して、達成することが出来なかった。今、お2人は同じ全日本の監督とコーチという存在で自分の近くでサポートしてくださっていますが、偉大な先輩でも為し得なかったこの“2連覇”というものに挑戦できることが誇りですし、同じ天理大学の先輩である野村忠宏さんは3連覇されていますので、少しでも追いつけるようにやっていけたらいいなと思っています。

──やはり、“追われる立場”というか、各選手が大野選手を倒すことを目指して研究してくるわけですからね。

“73kg級というカテゴリーの中では、1番自分が命を狙われている”…そういう感覚を常に持っていますので、日々色んなものを感じながら生活はしているんですが、でも、“今、そういったものを感じることができる(立場にいる)のは自分だけなんだ”という風に、ポジティブに考えています。

──そうやって研究されながらも、圧倒的な強さを誇る大野選手。それを支えているものとは?

やはり、「稽古あるのみ」ですね。

──一本で勝つことが多いと思うんですけれども、“一本勝ち”にはこだわっているんでしょうか?

よく質問していただくんですが、実は全然こだわりはないんです。若い頃なんかは、“一本勝ちをしてやろう”とか…まあ、“欲”ですよね。“色気”ということなんですけど、そういう気持ちを持っていて、それが試合で油断とか引きになって負けた経験があるので、それからは“反則勝ち(相手の反則行為による勝利)でも、技ありによるポイントでも、試合には勝てばいい”と。“どんなに泥臭くても勝てばいい”と思っているんです。
一本勝ちが多いというのは、「古き良き日本柔道」というものを大野だけでも畳の上で表現していけたらいいなと思っていますし、1人ぐらい時代を逆行するような選手がいてもいいんじゃないか、という思いでやらせていただいています。

──さあ、そして、この番組では、毎回ゲストの方にCheer Up Songを伺っています。大野選手の心の支えになっている曲を教えて下さい。

ケツメイシさんの「覚悟はいいか」という曲です。
ケツメイシの大蔵さんとは、同じ、中・高の時の先輩の接骨院に治療に通っていたりとか、そういった色んな繋がりがあって、リオ・オリンピックの後に何度も食事をしたり一緒にトレーニングをする機会がありまして。その時に(大蔵さんから)「『覚悟はいいか』という曲を作ったんだけど、自分のパートの歌詞は、私(大野選手)を思い描いて書いたんだよ」と仰っていただいて。そこから「覚悟はいいか」は私の中では特別な曲になっています。

──大野選手のために書き下ろされたと言っても過言ではないわけですね。

そうなんです。去年の世界選手権で優勝したんですが、勝った選手だけ試合の後に自分の好きな曲を流せるんですよね。その時に、日本武道館でこの曲を流させていただきました。


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