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20.10.10
東京オリンピック・マラソン日本代表の強みとは
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今週の「Athlete News」は、プロランニングコーチで、
マラソン、駅伝解説者としても活躍されている、金哲彦さんをゲストにお迎えしました。


金哲彦(きん・てつひこ)さんは、1964年、福岡県生まれ。
早稲田大学では、4年連続で山登りの5区を走り、区間賞を2度獲得。
いまでいう『山の神』としてチームの連覇に大きく貢献されました。
卒業後は、リクルートで、マラソンランナーとして活躍。
現役引退後はランニングコーチとして有森裕子さんら、数々のオリンピック選手を指導されました。
現在はマラソン・駅伝解説者、プロランニングコーチとして活躍されています。



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──新型コロナウイルスの影響で、東京オリンピックが1年延期になりました。当然、選手の皆さんにも影響がありますよね。

そうですね。何人かの選手にインタビューをしてみたんですけど、「最初はすごくショックだった。ただ、中止にならなくて良かった」と。「延期で、なんとか自分たちにもまだチャンスはある」ということと、あと面白かったのが、選手は一生懸命練習しているから、ちょっと足が痛かったりとかするじゃないですか。「これ(延期)で時間があるから、痛みも取れるし、新たなトレーニングにもチャレンジできるし、良かった面もあるんです」って、そういうポジティブな声もけっこう聞きましたね。

──調整する時間が出来た、という。

もし今年に開催されていたとしたら、8月の頭に男女のマラソンがありましたよね。最終選考レースが3月だったものですから、(選考レースが)終わってから半年ないんですよ。

──そうか。MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)は去年ありましたけど、あと最後の1枠というのは今年の3月まで選考がありましたからね。
そして、延期が決まる半年ぐらい前に、鶴の一声で(東京オリンピックの)マラソンが札幌での開催になりました。これには驚きましたよね。


驚いたというか、オリンピックが東京で開催されるのに、私は当初は「異議あり!」って感じでしたけど。
マラソンっていうのは、今は男女ありますけど、もともとは男子しかなくて、(オリンピックの)最終種目って決まってたんですよ。最終種目で男子のマラソンで、みんなが感動するわけじゃないですか。その感動をそのままフィナーレの閉会式に持っていく…というシナリオが今まであったのに、場所が違ったらなかなかそれは難しいですもんね。
ただ、これに関しては選手の暑さに対する健康面がかなり取り沙汰されていましたので、仕方がないかなという気持ちはありますが、当初はやっぱりビックリしましたね。

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──札幌では比較的平坦なコースということで、外国勢に逆に有利になったりってこともあるんでしょうか?

外国勢の中でも、特に今は、ケニアとかエチオピアのアフリカ勢が強いですから。彼らの途中のスピードのキレ具合ってすごいので、日本の選手にとってみれば、多少暑いとかアップダウンがあるとか、そういうテクニックの要素が入るコースの方がいいなと思うんですけどね。

──まあ、上からの鶴の一声なのでしょうがないのかなという気がしますけれども(笑)。ただ、やっぱりオリンピックで、陸上で、日本選手がメダルを獲るっていうのは本当に難しいことですよね。

今は長距離ではアフリカ勢がものすごく強いですから。マラソンのランキングを見ても、“100傑”って言っても、その中で70〜80人ぐらいはケニアかエチオピアの選手で占めてますから、なかなかそこに入り込むのは難しいんですけどね。

──そして女子は、2005年に野口みずきさんが出した日本記録が、いまだに破られていない。そこで一山(麻緒)選手の2時間20分29秒ですが、これはコンディションが悪い中、後半ペースを上げて出した記録ですから、期待できるんじゃないですか?

私は実は解説でバイクリポートをやってまして、後半はずっと(一山選手の)真横にいたんですよ。驚異的な走りでした。普通は、オリンピックの選考もかかってますから、プレッシャーもあるんですけど。
雨が降っていてしかもちょっと向い風だったんですよ。他に誰もライバルがいなくて自分が先頭を切っていたので、普通だったらペースが落ちますよ。それが、どんどんペースが上がるんですよね。もうハラハラしました。これで失速したら選ばれないぐらいの記録まで落ちてしまいますから。マラソンって本当にそこは紙一重なので。でも、最後までペースが落ちなかったです。

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──もし一山選手が記録を狙って走ったら、もっともっとタイムは伸びそうですか?

そうですね。フルマラソンの記録っていうのは、例えばハーフマラソンの記録とか、5000m、10000mとかのトラック競技の記録と比較して予想するんですけど、一山選手も、今、10000mのタイムも伸びてきてるんですよ。野口みずき選手が出していた時のタイムも上回ってきてますので、ハーフマラソンで1時間8分ぐらいで走れれば、フルマラソンで日本記録は出るんじゃないでしょうか。

──(一山選手は)まだマラソンを始めて間もないということなので、ちょっと楽しみですよね。

そうなんですよ。まだまだ伸び盛りですからね。

──さて、この番組では、毎回ゲストの方にCheer Up Songを伺っています。金さんの心の支えになっている曲を教えて下さい。

心の支えというと…最近もう、頭の中で口ずさんでますからね(笑)。
もともとは山下達郎さんが書かれた「REBORN」という曲で、これは亡くなった方へのレクイエムみたいな曲なんですが、それを新進女優の門脇麦さんが歌っているのが…僕はこれを観て何度も泣きました。今でも泣きます(笑)。

──これは『ナミヤ雑貨店の奇蹟』という映画の曲ですよね。

僕は映画は観てないんですけど(笑)。

──そうなんですか! 映画を観て知ったんじゃなくて?

僕は山下達郎さんのファンなので、色々検索してダウンロードして聴いたりしていたんですけど、パッとクリックしたら“え、違うじゃん!”って(笑)。

──“あれ、山下達郎じゃないじゃん!”みたいな(笑)。

でも聴いていたら、歌詞も素晴らしいんですよね。亡くなった人への、“死んでしまったけれど、まだ私たちの中で生きています”という想いが、この歌い方に全部込められてるんですよ。

──山下さんが歌われている「REBORN」ももちろん素晴らしくて伝わるものもありますけれど、門脇麦さんが歌われているバージョンは、切れ目がないというか、また別の曲に聴こえるというか。

別の曲に聴こえますね。自分のお葬式にこれを流してほしいぐらいです(笑)。


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