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19.01.05
夢のために進み続ける
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今週の「Athlete News」は、パラ陸上 100M 井谷俊介選手をゲストにお迎えしました。

井谷俊介選手は1995年4月2日、現在23歳。
三重県尾鷲市生まれ。ネッツトヨタ東京所属。
高校時代は野球部の投手として活躍。大学入学後はプロのカーレーサーを目指し、
カートレースなどに参戦。2016年2月、大学3年時に、
オートバイ事故により右ひざ下を切断。
2017年11月から本格的に陸上競技を始め、
昨年5月、中国・北京での国際大会でレースデビューし初優勝します。
さらに7月には関東パラ陸上競技選手権大会に出場し国内戦初出場初優勝!
そして10月にはアジアパラで11秒70のアジア記録を樹立
アジア人義足アスリートとして初の10秒台を視野に入れ、
東京パラリンピック出場を目指していらっしゃいます。


──去年はまさしく飛躍の一年だったと思うんですが、今年の目標はありますか?

陸上で言えば、昨シーズンより今シーズンはもっともっと結果を出したいです。タイムにこだわって、11秒前半にタイムを入れることを達成できるようなシーズンにしたいです。

──プロのカーレーサーを目指していらっしゃった最中に事故に遭われてしまったということですが、やはり衝撃は大きかったですか?

そうですね。現実としてはなかなか信じきれなかったです。事故にあって足がボロボロになってるのを見た時も、不安とか恐怖とか、この先どうして行けばいいのかなって思いました。
レースができないんじゃないかなって諦めそうになった時もあって、すごい辛い時間でしたね。

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──そこから、どのように前を向いていったんでしょうか?

切断するまでに10日程度あったんですけど、母親とか兄が付き添ってくれていて、その時は何も思わなかったんです。
でも、いざ足を切断するってなって、手術から戻って来た時に母親とか兄がすごい辛そうな顔していて、僕自身も実際に足がないのを見るとすごい辛くて…。
病室みんなが暗い雰囲気で笑顔がなくなって、お見舞いに来てくれる友人達も僕が足を骨折したと思ってお見舞いに来てくれたので、そういう子たちは足がないのを見てショックを受けて泣いちゃう状況で。
なんだか自分に対して責めるようになったんですよね。元気付けに来てくれてるのに、逆にその友達の元気を奪っちゃってる気がして。
自分に対して腹立たしいというか、自分のせいだなっていう責任をすごい感じるようになって、みんなを心の底から笑顔にするためにはどうしたらいいんだろうって考えた時に、
僕がくよくよしてちゃダメだ。前向きにならないといけない。それが立ち直るきっかけですね。

──挑戦しようと思った時に陸上を選ばれたきっかけっていうのはなんだったんですか?

三重県に足の切断者が集まって走ってるコミュニティがあるんですけど、
そこには走るために行くんじゃなくて義足で日常生活を送る上でどういう知識があればいいのか、というのを知るために母親とそこを訪れたのがきっかけなんです。
そこでおじさんから子供からみんなが走っているのを見て、僕も走りたいって思って実際にジョギング用の板バネを借りて走ったのが最初の陸上競技との出会いでした。

その時がちょうど2016年で、ちょうどリオパラリンピックが開催されていて。
テレビとかネットニュースとかでもパラリンピックについて見る機会が増えて、自分の中でパラリンピックの存在っていうのが、小学生が”プロ野球選手になりたい!”と思うような、大きな夢として目標として出て来たんです。
そのために何をしたらいいのか、なかなか一歩が踏み出せなかったんですけど、自分の中でレーサーになりたい夢と、パラリンピックに出たいって夢があって、その二つをもし叶えることが出来たら、家族や友人みんなを笑顔にできるんじゃないかなと思ったんです。
それに向かって挑戦することがすごい大事だなと思って、走ることをきっかけにパラとかパラリンピックとか陸上競技には自然な流れでのめり込んでいって、目指すようになっていきました。

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──カーレースと陸上、いろんな調整をしてコンマ何秒を削っていくというのは、どこか通ずる部分もありますよね。

共通点ありますね。カーレースでもコンマ1秒、本当に一瞬の戦いをするために車のセットアップだったり、タイヤの選び方、いろんな要素があって、そのコンマ1秒を戦ってる。
陸上競技の場合、走ってるのはあなただけでしょっていう風に思われがちなんですけど、板バネの種類だったり、硬さ、その板バネをどういう風につけているか。アライメントだったり角度のセッティング、ソケットどういう風にしてるかとか…。
道具をどう工夫するか、あとは自分の走りをするだけだという風になるんですけど、そのためにはトレーナーさんやコーチさんとうまく話して自分の走りはどういう風に持っていくか。
細かい調整を自分の頭の中でイメージしてるだけじゃなくて、動画とか外から見た自分のフォームっていうの研究して細かく調整して、そうすることによってタイムが良くなったり悪くなったりするので、本当にモータースポーツと一緒だと思います。
なのでやっぱり、個人スポーツではなくチームでやってるスポーツっていう風に捉えていますね。
アジア大会で走る時に、会社の方やお世話になった方、トレーナー、コーチ…。頭にいろんな人の顔が浮かんですごくワクワクしたんですよね。
その時に一人じゃない、一人で走ってないっていう風に実感できた経験がありますね。

──まさに、周りのみんなを笑顔にしていますね。
そして、これからパラスポーツやってみようっていう方々にも絶対に勇気を与えますよね。


そういう風になりたいですね。パラリンピックを目指そうということでなくても、日曜日の朝はみんなでジョギングに行こうとか、
一般の方がスポーツに触れるように障害を持っている方がパラスポーツに興味を持ってもらえたら嬉しいなと思いますね。

──東京パラリンピックへの思いを教えてください。

まず、日本で開催されるということで多くの人に実際に足を運んでいただいて、応援していただきたいです。
その中でたくさんの人に見てもらって、事故で悲しい思いをさせた家族や友人に現地に来てもらって見てもらいたいですね。
みんなの前で走って10秒台でメダルを取りたいと思います!

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──きっと大勢の人が応援してくれると思いますので、それを力に変えて頑張っていただきたいなと思います!
そして、井谷選手は大切にしている言葉があるそうなんですが…。


“Keep Pushing”という言葉なんですけど、これは、あるレーサーの人からもらった言葉で、入院中にもらった言葉なんです。
事故にあって毎日をただ必死に笑顔で過ごしてるだけで、夢に対してどう頑張ろうっていう思いがあまりなかったときにこの言葉をもらって。
やっぱりレーサーになりたい、そのためには“Keep Pushing”。「自らを駆り立て続ける」、「進み続ける」しかない。
これが僕の背中を押してくれた言葉ですね。日常だけではなく、競技に関してもこの言葉は通じるなと思っているので、手を抜くことなく常に全力でやっていく。日常生活、競技生活、両方にこの言葉をすごい大事に考えてます。

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今週のゲスト、井谷俊介選手の“サイン色紙”をプレゼントします!
ご希望の方は、番組WEBサイトのメッセージフォームからお送りいただくか、Facebookのアカウントをフォローしてコメントをしてください。
当選者には番組スタッフからダイレクトメッセージを差し上げます。



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