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18.09.08
日本野球の未来
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今週の「Athlete News」は、スポーツライターの小関順二さんをゲストにお迎えしました。
長年、甲子園を取材してきたスポーツライター小関順二さんにだからこそ分かる、今年の夏の甲子園を分析していただきました。

小関順二さんは1952年、神奈川県に生まれ。野球メディアに「ドラフト」というカテゴリーを確立、さらにストップウォッチを用いて、100分の1秒を争う陸上競技などタイムレースの面白さを野球に導入しました。CS放送チャンネル スカイAで中継される「プロ野球 ドラフト会議中継」では19年に渡って解説を担当されています。高校野球、大学野球、プロ野球と日本の野球を知り尽くし、Number Webをはじめ、スポーツ紙のコラム、小関さんが書かれた本は野球ファンから絶大な支持を受けています。


──近年、高校野球はどう変化してきていますか?

ウエイトトレーニングを抜きにしては語れないと思います。
体をでかくするっていうことなんですけど、180センチだったら85キロ以上…ですね。

──高校生だと、まだウエイトをするのには早くないんですか?

そういう風に言われていまして、昔、メジャーリーグでもスカウトが高校の監督に「まだ早いからやらせるな」と言っていたらしいんですけど
どうやらそれは嘘じゃないかな?ガセ情報じゃないかな?って。

高校生でもある程度やった方が、何もウエイトリフティングみたいな選手を作るわけじゃないので。
やり方さえ間違えなければ、体を大きくすると球はどんどん速くなっていきますしホームランバッターも増えています。
松坂の1998年の夏の大会もスピードガンはありまして、全部測っているんですよ。140キロ以上を記録した投手が7人ですかね、それが今年は58人ですかね。

──そんなに違うんですか!

まるっきり別世界ですよね。

──いろんなトレーニング方法がわかってきてるじゃないですか?
だから高校生といえども、食生活に気をつけたりすることで体の成長が早いのかもしれないですよね


20年前と今の野球をフイルムで見比べると、今の方が何とっても上手いんですよ。
たとえば463とか、543とか併殺プレーってありますよね、昔はのそのそして遅いんですよ。肩の強さが違いますね、外野の肩とか、3塁ショートの肩とか、今の方が遥かにいいです。

──今年の甲子園は100回の記念大会ということで、どんな印象でしたか?

金足農業の吉田くんが見事というか、“ストーリーがあるのかな?”っていう感じですよね(笑)。

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──どっちが勝ってもストーリーとして完結するすごい決勝戦ですよね

結果は、大方の人が予想したように大阪桐蔭が勝つんですけど、その後の扱いがすごかったですよね(笑)。

──小関さんは大会前から吉田投手に注目していると言っていて、実際に大会での活躍はどうですか?

フォームがいいっていうのが一番で、自分はピッチャーを見る場合はフォームなんですよ。
スピードは135キロくらい出ていれば、体ができれば145、150くらいいっちゃうので、高校時代はとにかくフォームですね。
フォームで言えば吉田が一番良かったです。

岩手の大船渡高校の佐々木朗希っていう、189センチあるピッチャーが大評判で行ったんですよ。ストレートが102級投げて、平均スピードが147.5キロ、150キロ以上が35球なんですよ。これは大谷の甲子園で見た時以上のスケールなんですよ。いま2年生なんですね。
全国の強豪校がとりにいったらしいんですけど、お父様が東日本大震災で亡くなったということで、地元愛が強く、地元の公立高校から甲子園に出るというのを目標にしているらしいんですよ。

──今年、史上初の2度目の春夏連覇した大阪桐蔭の強さの秘密とは何ですか?

何度か取材しているんですけど、藤浪の代の時に驚いたんですけども。コーチの方がノックするんですけど、ノックの練習の時って怒声がすごいんですよ、どんなにまともな高校でも監督さんはそういう言葉が自然と出るんですよね。
藤浪の代の時は、田中さんが何も言わないんですよ。終わった時に「なんで怒らないんですか?」と聞くと、「文句言うことがないんですよ、この代は」って、非常に勉強もできて、素行も良くて。

──今年は史上最強じゃないかと言われていて、去年活躍したメンバーがけっこう残っていましたよね

今年3年ですから来年はいないんですよね、ちょっとこれは心配なんですけど。
PLの中村さんとか……話を聞いたときは「2年生を3人くらい入れたい」とおっしゃってましたね、そうしたら繋がっていくので。
同じくらい力があったら下の学年を選ぶと言っていましたね。

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──大阪桐蔭は今回層が厚いというイメージでしたね

シートノックという、芸術的なシートノックをやるんですよ。
試合前に7分間やるんですけどエラーをしない、463とか543とか、いろんな連携プレーが見事なんですよ。速くて、綺麗で、正確なんですよね。
その時に3年生の16番をつけていた子がやたら上手いんですけど、1試合も出てこないんですよね。

──大阪桐蔭の西谷監督は甲子園7度目の優勝、勝率でも1位になりましたがどんな監督なんでしょうか?

監督はあまり欠点を言わない人なんですよ。バッターなんかでも、“ここが悪い、あそこが悪い”と思っているけど言わないんですよ。
弱点を指摘するんじゃなくて、いいところを伸ばしてあげるということなんですかね。

──目先の勝利じゃなくて、その子が選手としてその後どういう道を歩むかっていうことの方が大事ですもんね

そのためには、手取り足取りすると縮こまっちゃうというのがあると思いますね。

──100回大会という偉大な節目を終えました
これからの甲子園の未来、高校野球の未来はどう進化していってほしいですか?


球の速いピッチャーがいっぱい出て、遠くに飛ばすバッターが出て、守備はめちゃくちゃ肩のいい内外野手が揃ってという、そういうハツラツとした野球を見てみたいですね。

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