Athelete News
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17.10.14
スポーツの持っている可能性
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今週の「Athlete News」は、リオ・パラリンピック銅メダリスト、辻 沙絵選手にお話を伺いました。

辻沙絵選手は、1994年、北海道生まれ。
生まれつき右腕の肘から先がありませんでしたが、小学5年でハンドボールを始め、高校では、全国高校総体でベスト8入り。
スポーツ推薦で日本体育大学に進学し、大学2年の夏、陸上競技に転向。瞬く間に記録を伸ばし、2015年の世界選手権では、100メートルで6位入賞。
そして去年のリオ・パラリンピックでは400メートルで銅メダルを獲得。今年7月の「世界パラ陸上競技選手権大会」でも、この種目で銅メダルに輝き、2020年の東京大会でもさらなる活躍が期待されています。


──パラ陸上を始めてから1年半ほどで、メダル獲得。初めてのパラリンピックでプレッシャーはなかったんですか?

プレッシャーというよりかは、今までレースをしていて”次のタイムいくつくらい出るんだろう?”と、ワクワクな気持ちだったんですけど。
今回のパラリンピックは試合に行くのが怖くなって、私が負けるということは日本が負けたということになりますし、”どうなっちゃうんだろう?考えられない”っていう感じでした。
ベッドと壁の間に挟まって”行きたくない!どうしよう”みたいな(笑)。

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──それは、どうやって克服したんですか?

日記をつけてるので、それを見て頑張ろうと思ったり、監督が前日にMr.Childrenの「GIFT」という曲と一緒に
「1年半ついてきてくれてありがとう、ダメだったらまた一緒に日本に帰って練習しましょう。だけど、死ぬ気で走ってきて」っていう(笑)。

──それで心は落ち着きましか?

やるしかないと思いました、そこに立っている以上、やるか、やらないかしかないですし。
やるんだったら、”死んでもいいから絶対掴みにいこう!”と思いました。

──7月の「世界パラ陸上競技選手権大会」。リオでメダルを獲得したことで”メダルをとるだろう”と、見られてしまうじゃないですか。これはどうでしたか?

自分もそういう風に感じていて、リオでメダルをとったのはまぐれだと思われたくなくて。
実力でとったと証明できる場所だなと思いつつも、すごくプレッシャーが大きくて。リオが終わった後に、メディア出演など、いろんなことに参加できる機会をもらえて、刺激をもらえたり、経験ができた反面、練習ができないというのがあったんですね。
練習できないフラストレーションが溜まって、気持ちも落ち着かないですし、タイムが落ちて”やめようかな”とか、気持ちもあったんですけど。ここで逃げるのは簡単だなと思って、自分はハンドボールをやめて、陸上で記録を出すと決めていたので”やろう!”と思いましたね。

──切り替えてからは、タイムは取り戻せつつあったんですか?

大学卒業して2日後くらいに沖縄に合宿行って、陸上だけの生活をしたんですね。
陸上の生活に慣れていくとタイムも上がって、考える力も取り戻してきて、”やっぱり陸上って楽しいな”とか、”もっと速くなりたい”っていう気持ちが出てきて、そこから立ち直れましたね。

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──招集所では監督の胸の中で涙を流した…これは始まる前ですよね、どういう思いだったんですか?

この時も”負けたらどうしよう”とか、その時のシーズンタイムが世界ランキング4番とかだったので、練習もこなせてなくて、自分に自信がない状態で、”負けてしまったらどうしよう”っていう気持ちがあるんですけど、”行ってきます!”ということで……最後、監督と抱き合ったら涙が出てきちゃって。
スタートラインについたときに少し時間があって、監督が近くで見ていたので「ウィニングランで戻ってきますので」と言って、行きました。もうやるしかない、って感じでしたね。

──RACHEL PLATTENの「FIGHT SONG」、この曲を知るきっかけは何だったんですか?

YouTubeで見たんですけど、ガンで闘病してた人が歌手になりたくて、オーディション番組で歌ってるのを聴いて、歌詞の中に”私はまだ力があるから、やってやる!”みたいな歌詞があるんですけど、自分と共通するなと思ってずっと聴いてます。

──パラリンピック、世界パラ陸上と、大舞台に立って感じたことはありますか?

今まで、パラリンピックとかパラスポーツって、私の考えなんですけど、パラの選手の関係者だけが内々で盛り上がってるようなスポーツとか、どこかしら偏見の目で見てしまっていたんですね。
自分が行ってみて肌で感じたのは、スポーツに障害は関係ないなって、スポーツは誰にでも体験することができますし、人を熱くすることができるし、スポーツってすごいなって思いましたね。

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──スポーツの持っている力みたいなものを再確認できた場所ですね

再確認しましたし、そういう風に思っていた自分を恥ずかしく思いました。

──目標を達成することに必要なものは何だと思いますか?

我慢だと思います。我慢に我慢を重ねて、さらに我慢を重ねて(笑)。

来週は、辻選手の転機となったハンドボールからの転向、そして、2020年の東京パラリンピックに向けての思いを伺います。


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