Athelete News
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15.11.21
2016年 歴史の目撃者となる
今週の「ATHLETE NEWS」は、スポーツライターの小宮良之さんをお迎えしました。
小宮さんは、サッカーを中心に取材、執筆されていて、海外サッカーも取材をされています。

今週は、小宮さんにワールドカップ・ロシア大会アジア2次予選を戦っている、サッカー日本代表=ハリルジャパンを総括していただきました。



ー年内のアジア予選を終えましたが、ここまでのハリルジャパンはどうですか?

日本では、サッカー監督に対する誤解もあるんですけど、スペイン語だとわかりやすいんですよ。代表監督って、スペイン語で”セレクショナドール”と言うんですね。クラブチームなどを率いる監督は、”エントレナドール”と言って、”セレクショナドール”とは、英語の”セレクション”からきている、”選ぶ人、選抜する人”なんですね。
”エントレナドール”は、トレーニングする人なんですよ。だから、仕事の内容が全然違っているんですよね。

ー代表で集まれる期間は限られていますよね。選手を選んで、戦術を選んで……、そこでいうとハリルさんはどうですか?

3月に就任されているんですけど、そこから選ぶという作業がどこまで高められるかというと、ハリルさんは外国の方なので、どれだけ優れたサッカースカウティングを持っていても、日本人サッカー選手を見るときの難しさ、知識量の少なさがあります。もう1つは、外国人として、日本人をどう見るかっていう難しさ、その2つに彼は直面してるわけで、時間は少しかかるかなという所ですかね。
外国人のエージェントやスカウトさんと話すと、「日本人はテクニックがある。ただ、テクニックとスキルは違う」と言うんですよ。
テクニックを出すことがスキルであって、テクニックはピッチの中で出さないと意味がないということになってしまうんですね。

ーハリルホジッチ監督は、「縦に速く」ということを言ってるようなんですけど、これはどうなのでしょうか?

サッカー界では新しいことでもなくて、前任者のザッケローニさんも、ブラジルワールドカップの前は、「縦に速く」というのは選手たちに言い始めていたんです。
ただ、本田君とか香川君などの選手にとっては、どうつなげていくかは、すごい自信があったんですよ。それを「縦に速く」といったときに、自分たちがボールを離すのが惜しいというか…。世界的に言えば、縦に速くボールを受けるというのは、まだ相手が守備の準備ができてないときに、裏に切り込むということで、攻撃の効率はいいし守備のリスクが減るんですよ。
ただ、日本はボールプレーヤー、テクニカルな選手が多いので。つなぐ選手が多い中で、それをどう改革していくかという難しさはありますね。
結果を残しているようなチームは、選手の層が厚く、能力が高いんですね。どこにいっても80点以上の成績が出るような選手が多くいるチームは、ワールドカップで優勝したりしますね。選手ありきっていうのは、代表チームは大きいです。
日本代表が、近年結果を出せるようになったのは、ヨーロッパで日本人選手が名を残せるようになってきたから、というのはありますね。そこが一番大事かもしれないですね。

ー海外組では、香川選手、武藤選手は活躍してますよね

海外に行くと体つきまで変わるんですよ。戦うということを意識したり、言語も違うし、みんな道徳感も違う中で、自分を出していかないといけないという選手は、顔から引き締まるし体質も変わっていくらしいですね。
サガン鳥栖の豊田選手にインタビューをしたときに、シャワーを浴びてるときに、海外組と国内組の選手の後ろ姿が違うらしいですね。内田君とかは、ほっそり見えますけど、太ももとかはすごい太いらしいですから。

ーリーグから求められることが、Jリーグとは違うということなんですかね

フィジカルトレーニングをしてるというよりは、タックルも強烈だったりすると、自然に筋力があがっていくし、判断力も上がっていくらしいんですね。
ヨーロッパ組、彼らが結果を残してくれない限り、日本代表も難しい局面にはまだあるのかなと思います。
Jリーガー達の能力が低いというわけでは決してなく、適応力、対応力という部分で、外国人でそこでやってる素晴らしさは尊重したいなと思いますね。

ーゲストの方のお気に入りの1曲を伺っています。小宮さんが取材をする中で出会った曲や、選手から聴いた曲にまつわるエピソードがあれば教えてください

僕、ワールドカップは2006年から現地で取材をしているんですけど。2010年とか2014年に、メディアセンターで遅くまで作業して、ホテルに帰るバスでよく聴いていた曲が、Salyuさんの「emergency sign」という曲です。
疲れた夜に、”次の日も頑張る!”という気持ちにさせてくれる、今でもそういうことがあると聴いてる曲です。

ー海外に長くいると、日本語の曲を聴くとしみたりしませんか?

海外に行ってこそ、日本人であることを思い知らされるので。食事もそうだけど、ワールドカップは日本代表みたいな気分で行ってるので、そういう曲を聴きたいと思いますね。

ー来年、リオオリンピックがあります。 小宮さん一押しの選手はいますか?

今追っている選手で、まだレギュラーではないんですけど、FC東京の橋本拳人という選手が非常に面白いですね。どのポジションもできるというか、センターバックもできるし、サイドバックもできる。頭のいい選手ですね。
周りや、相手との間合いもいいので、スルスルとボールがとれるし、強くも当たれる。それが、攻撃でも守備でも生かせるようなサッカー選手なので、ぜひ、注目してもらいたいなと思います。
オリンピックで注目された選手は、その後伸びてる選手が多く、世界に羽ばたく選手も多いので、いい試合を見せてくれたらなと思います。