Message in the Music/Sweet Honey In The Rock
ON AIR REPORT / 2022.06.13 update
ブロードキャスターのピーター・バラカンさんが毎日1曲選曲。
時代を超えて、届く、音楽のメッセージを紐解く 「Message in the Music」
今日紹介いただいたのは
Sweet Honey In The Rock 「Are My Hands Clean?」(1988)
今日は「Ethical Consumption」、直訳すると倫理的消費、エシカル消費について。
「エシカル消費」は、かなり前からアメリカやイギリスで話題になっているものです。
例えば、自分が身につけている洋服を作っている人が児童労働だったり、
環境破壊につながる とか、そういうことが無いように確認しながら買い物をするということです。
2年前のイギリスでは、エシカル消費の市場は19兆円まであったそうです。
ただ、ピーターさんがこの前読んだ新聞記事によると、
2020年に電通が行った意識調査では、
日本人の76%がエシカル消費という言葉を知らなかったといいます。
日本ではまだまだこれからの分野なのかもしれません。
その記事を読んで、35年くらい前のSweet Honey in the Rockという、
アフリカンアメリカンの女性グループのことを思いだしました。
そのグループの歴史は50年くらい続いています。
今日の曲は、カーネギーホールでライブで録音された88年のアルバム。
「Are My Hands Clean?」
自分が身につけている服はコットンが35%、ポリエステルが65%。
それがどこから生まれたのかという話をするんです。
エルサルバドルの綿花畑で、血に染まった地方で、
農薬を散布された労働者が炎天下で労働している。1日2ドルのために綿花を摘み取る。
パナマ運河を通じてアメリカに持ってきて、サウスカロライナの工場で、
それが別のところで作られたポリエステルの繊維とあわさって洋服になっていく。
それぞれ、どんなところで、どんな労働者が、どんなひどい状況のなかで仕事をしているか
ということを事細かに説明しています。
その洋服が最終的にシアーズという大きなデパートで売られています。
作ったのを第三世界の女たち、買った自分も第三世界の女たち。
アフリカンアメリカンなので、自分のことをあえてそのように話しています。
そのブラウスを、デパートで20%引きで買った自分の手はきれいなのかどうか・・・