今回の西日本豪雨におきまして、
被害に遭われた皆様に謹んでお見舞いを申し上げるとともに、
被災地、および、周辺地域の一日も早い復旧・復興を心よりお祈り申し上げます。
川瀬良子・「あぐりずむ」番組スタッフ一同
岡山県倉敷市にお邪魔しました。
地域を襲った災害の爪痕が生々しく残るなか、
前進を続ける倉敷の農業の “今”と“これから”を取材しました。
パート1は、岡山を代表する果物、「桃」です。
伺ったのは、岡山県でも桃の最大の産地、倉敷市玉島地区。
甚大な被害のあった真備町とは、となり町です。
玉島周辺地域も豪雨に見舞われましたが、なんとか持ち堪えたといいます。
訪れた丘陵地の頂上部にある畑では、1本1本、丁寧に管理された桃の木が元気に育っていて、
およそ1万個の「実」が収穫の時を待っていました。
桃を手掛けて20年、生産者の田辺文男さんにお話を伺いました。
「今回のように雨が降り続けると、
土の中の水分量が多くなりすぎて
桃の糖度が下がってしまうんですが、
それでも、2~3日すれば元に戻ります。
そんな厳しい自然環境を乗り越えたのが、
今、ここに実っている桃です。」
岡山で生産される桃は「白桃」。
手掛けている品種は、「白鳳」と「清水白桃」。
見た目も、中の果肉も白いのが特徴です。
栽培過程において、「実」に袋をかけて光を遮り、
意図的に白い桃を作り出すことで、
他県の赤い桃との差別化を図っている岡山。
袋をかけて育てると、ひとまわり大きくなり、
ジューシーさが増すんだそうです。
それにしても、1個1個の「実」に袋をかけるとは、
なんて気の遠くなる作業なんでしょう。
こうした仕事のほかにも、
たくさんついた芽の中から良いものだけを選んで育てる目利き力や、
品質の良いものに仕立てていく技術など、
桃の栽培には多くの知識と経験が必要です。
このような生産者さんたちの日々の努力があるからこそ、
白桃イコール岡山という図式が成り立ち、
ブランド桃として高い評価を得ているんですね。
田辺さんはこう続けます。
「桃は1日でも収穫が遅れると過熟になってしまうので、
木のどこについている実が熟れているかを
注意しながら収穫していきます。
袋がピリッと破れるくらいの大きさに育てられれば、
満足感が味わえますね。
桃を作る作業は大変なことが多いですが、それでも、
農業を始めていろんな仲間と巡り合えたことが喜びです。」
最後に、こんなことも話して下さいました。
「ほら、その辺で鳥が鳴いてるでしょ?
鳴き声だけ聴いてたら、気持ちいいと思うかもしれないけど、
鳥たちも桃のおいしさを知ってるんです。
スキを狙って、一口ずつちょこちょこ食い散らかしていくので、
“鳥は山の中だけで鳴いてて下さい。
こっちまで来たらだめだよ。”って
いつも言ってるんですよ。」
田辺さんの明るい笑顔は、
岡山の桃が今年もおいしく育ったことの証。
是非、皆さんも手に取って、その味を実感してみて下さいね。