沖縄の伊平屋島、伊江島、粟国島、多良間島、小浜島、西表島、
波照間島、与那国島の8つの島で作られている沖縄黒糖。
同じように見えても、実はそれぞれの島で、味、香り、色、食感が異なります。
この島ごとの個性的な味を作り上げるのは、
原料のさとうきびから黒糖を製造する製糖工場。
そこで、8つの島の中で最も新しく出来た伊江島の製糖工場をお訪ねして、
最新の設備を見学させて頂きました。
案内して下さったのは、伊江製糖工場の工場長・友寄孝明さん。
毎年12月から黒糖の生産を始める伊江製糖工場。
まずは、今シーズンの稼働が始まる直前の工場を見せて下さいました。
生産期に入ると工場内は甘い香りに包まれる…という話にも心がトキメキますが、
伺った日は、何人かのスタッフの方がそれに向けた準備作業中。
農業と同じくらい工場に萌える川瀬さんの瞳はキラキラが全開です☆
さとうきびを細かく切って、搾ったジュースを煮詰めて、冷却して撹拌する
…という工程を辿る黒糖作りですが、この伊江製糖工場では、
ボイラー燃料として一般的な重油は、この3年間で一滴も使用されていません。
一体なぜか分かりますか?
それは、「バガス」と呼ばれる搾った後のさとうきびのカスが燃料になるからです。
伊江島の大地で育ったさとうきびは、美味しい黒糖になるばかりでなく、
それを製造するためのエネルギーにもなり、更にその後、
搾った際に出る沈殿物などとともに肥料として畑に還元…と100%完全利用!
伊江村の生産者さんが作ったさとうきびを一つも無駄にしないことが、
この工場の誇りだと、友寄さんは語ってらっしゃいました。
では、第2問!
美味しい黒糖を作るためのこだわりとして友寄さんが挙げたものは何でしょう?
答えは…「さとうきびの鮮度」です。
「黒糖作りは鮮度が一番」…とは、昔から言われる基本中の基本。
工場に出荷されたさとうきびは、手刈りのものなら2日以内、
機械刈りのものならば、なんと24時間以内に搾って煮詰めます。
時間が経過し過ぎたものは、固まらなくなったり、発酵してしまうこともあるため、
廃棄せざるを得ない…というほど鮮度には厳しいそうです。
そのために大切なのは、生産者さんや刈り取り作業の請負人さんとの連携。
天候や在庫量を見ながら収穫を依頼し、それに応じて出荷して貰うことが、
美味しい黒糖作りには不可欠なんだとか。
島の皆さんがONE TEAMで取り組むからこそ、
世界中で伊江島にしかない味を生み出すことができるのです。
黒糖…それは伊江島の皆さんの絆と情熱が作り上げる結晶なんですね。
こうして作られる沖縄黒糖。
もちろん、そのまま食べても美味しいんですが、料理にも使うことができます。
ネットで検索すると色々な情報を見つけられますし、川瀬さんも知り合いから、
「みりんの代わりに使えるのよ〜」と教えてもらったことがあるそうです。
そこで、友寄さんにも活用法を伺ったところ、なんとオススメは「カレー」!
フライパンに黒糖と水を加えカラメル状になるまで煮詰めたものに
酢を加えてカレーに混ぜると、コクが違うそうです♪
ビタミン、ミネラルなどの栄養素も含んで、香りも芳醇。
そして、この8つの島だけで作られ、それぞれが異なる味の輝きを持っている。
沖縄黒糖を説明するためのワードは、まるで「宝物」について語る言葉のよう。
今回の「あぐり紀行」で伊江島を訪れて、この沖縄黒糖が、
私たちの国・日本にあることに感謝せずにはいられない気持ちになりました。
琉球王国の時代から400年間受け継がれてきた大切な日本の宝物。
現地で味わったり、取り寄せてみたり、まずは検索してみたり…etc
ぜひ、あなたなりの黒糖体験をしてみて下さい!