福岡の美味しい農産物を求めて、今回最後に訪れたのは「博多えのき」の生産地。
実は福岡県は、エノキの都道府県別生産量でもベスト3の常連。
全国でお馴染みの食材ですが、ここで出逢ったエノキは、他とは一味違う“美しさ”でした。
「博多えのき」を求めて訪れたのは、三潴郡大木町。
JA福岡大城えのき部会の大塚敏秋部会長に
お話を伺いました。
大塚さんが生産するエノキ…その色に注目して下さい。
最大の特徴は“白さ”です。
一般的なエノキは若干クリーム色っぽい色合いですが、
「博多えのき」の色は純白。
まるで真っ白な紙と同じくらいの白。
この色に大塚さんは一目惚れして、
栽培に乗り出したそうです。
そして、もう一つの特徴は一本一本の“細さ”です。
外側のより細めの部分は、もはや針のよう。
大塚さんは「日本で一番細いかも知れない」
とお話しされていました。
ちなみに、この“白さ”や“細さ”は、こちらで栽培されている博多えのきの品種「大木白雪919」が
本来持っている特性によるものだということです。
実は、「エノキが細い」ということは、水分含有量が少ないということ。
一株当たりの重量が下がるため、重さと値段の関係性から言うと、
生産者にとっては効率が下がる作物ということになります。
それでも作るのならこのエノキだと心に決めている大塚さん。
いかにこのエノキを愛しているかが伝わってきますよね。
そんな純白のエノキを最高に楽しめる食べ方を、大塚さんが教えてくれました。
それは、「黒塗りのお椀で、お吸い物にする」という食べ方。
白さがさらに際立って、その美しさを一層目で楽しめるそうです。
一方、カジュアルな楽しみ方としては、レンジでチンした後で水にさらし、「麺の代わりに使う」という方法。
大塚さんの今のお気に入りは、市販の久留米ラーメンのスープに入れる食べ方だそうですが、
他にもパスタソースとからめたり、シンプルにそばつゆで楽しむのもオススメとか。
本物の麺よりカロリーが少なく、ダイエット中の食事にはピッタリですね。
そして、シャキシャキ音が外にまで聞こえるという独特の食感は、この細さが生み出す賜物。
東京に戻ってから、頂いたひと株でエノキのお味噌汁を作ってみたんですが、
お味噌色の中でも、その白さにウットリできましたよ。
この「博多えのき」は、九州から東京あたりまで流通しているそうです。
もし店頭で見かけたら、ぜひ一度手に取ってみて下さい。