愛知県の鉄鋼会社が開発した、植物のサプリメント
オンエアレポート
今回は、こちらに注目します。2024.10.31
「愛知県の鉄鋼会社が開発した、植物のサプリメント」
今回のイノベーターは、「愛知製鋼」の未来創生開発部の鈴木基史さんです。
植物のサプリメントの名前は「鉄力(てつりき)」。こちらは何なのでしょう?
「植物の生育に必要な鉄分を、植物が吸収しやすいように加工した製品です」
「土にまく固形タイプを『鉄力あぐり』という名前で販売しており、
土にまいても、葉っぱにまいても使える液体タイプを『鉄力あくあ』という名前で販売しています」
どのような効果が期待できるのでしょう?
「鉄分は葉緑素の緑成分を作るために必要です。
鉄力を散布すると葉の緑が濃くなり、光合成が活発になります。
トマトなどの果菜類では成り疲れの軽減にも効果があります。
低温や低日照などの環境ストレス化では鉄分が吸収されにくくなるので、
環境ストレスの対策材としても効果があります」
植物に「鉄力」を与えると、なぜ、そのような効果が期待できるんですか?
「『鉄力』は『2価鉄イオン』を含むことが特徴で、植物が弱った時でも植物に吸収されやすいことが特徴です」
「元々、植物は根の酵素の力で土壌中の鉄分を『2価鉄イオン』に変えることができるのですが、
環境ストレスによって、その酵素の力が弱まってしまいます。
鉄力は『2価鉄イオン』を含むだけではなく、酵素の力も上げることができるので、
鉄分をより吸収しやすくなるのが特徴です」
「2価鉄イオン」って、何ですか?
「植物が吸収しやすい鉄の状態のことです」
「土壌中には、鉄はたくさん含まれているのですが、
その鉄は『3価の鉄』といって、そのままでは植物は吸収できないんです。
植物は自らのエネルギーを使って、『3価鉄』を『2価鉄』にしてから吸収しているんです」
「鉄力」は、どのような野菜に使えるのでしょうか?
「トマト、キュウリ、ナス、ピーマンなどの果菜類では『成り疲れ』の軽減に効果が出やすいです」
「トマトやキュウリなどは数か月の間、次々と実をつけるのですが、
持続力がなくなると、だんだん実がつかなくなってしまいます。これが『成り疲れ』です。
鉄分をしっかり与えると、持続力がついて、安定した収穫ができるようになります」
「『鉄力』はイチゴにも使っていただいています。
また、コマツナやホウレンソウなどでも葉の厚みや色が濃くなったとのコメントをいただいています。
ブロッコリーなどの定植時に使うことにより、
活着(苗を土に植えた時に、しっかりと根を張ること)が良くなるという事例もあります」
『鉄力』散布前と散布後(トマト)
鉄鋼会社である「愛知製鋼」が、どのような思いがあって、この「鉄力」を開発したのでしょう?
「当社は特殊鋼メーカーと呼ばれる鉄鋼会社なのですが、
研究の過程で出てきて、用途がなかった『酸化第一鉄』というものを、何かに使えないかと試行錯誤している時に
たまたま、植物にまいたら良く育ったという発見から、農業分野への取り組みが始まりました」
「栄養としての鉄分は人間にとっても植物にとっても必要で、
鉄の力で農業に貢献できることがあればという思いから、鉄に特化した農業資材を開発してきました」
農業に関する取り組み、今後はどのようなことを考えていますか?
「鉄の力で農業に貢献していきたいと思っています」
「植物も人間と同様に潜在的な鉄欠乏になっている可能性があり、
そのような時に『鉄力』の効果が発揮されると考えています」
「また、世界に目を向けると鉄分が吸収されにくいアルカリ土壌というものが
世界の3分の1を占めていますので、
アルカリ土壌での農作物の生産に貢献できるような鉄資材の開発も進めています」
鈴木さん、「鉄の力で農業に貢献する取り組み」、今後も応援しています。
「鉄力あぐり」と「鉄力あくあ」は、家庭園芸用も販売していて、
一部のホームセンターやネット通販で購入できるということですので、「鉄力」のHPをご覧になってみてください。
「鉄力」HP