洗車機メーカーの子会社が開発した、根菜の泥を落とす洗浄機
オンエアレポート
今回は、こちらに注目します。2024.10.17
「洗車機メーカーの子会社が開発した、根菜の泥を落とす洗浄機」
今回のイノベーターは、株式会社AZx(エイザックス)の岡澤仁美さんです。
株式会社AZxは、どのような会社なのでしょうか?
「長野県に本社を置く、エムケー精工株式会社の子会社です。
エムケー精工は、ガソリンスタンドなどに置かれる門型洗車機や、
保冷庫・精米機などの農業用資材を手掛けています」
「株式会社AZxは、親会社とは異なる新しい製品・サービスの事業化に挑戦する会社として2019年に設立しました」
どのような思いがあって、「根菜の泥を落とす洗浄機」を開発したのでしょう?
「設立当初から、ファインバブルなど小さな気泡と水を組み合わせた技術開発を行なっており、
農業の分野での応用について調査を進めていました」
「そんな中、根菜類の洗浄にお悩みの農家さんが多くいらっしゃることを知りました。
複雑な形状で傷つきやすい根菜の場合、商品価値を保つために機械洗浄を諦めて、
手洗いをしている農家さんが多く、作業効率化につながる新しい洗浄機が必要だと考えました」
「また、既存の洗浄機は、かけ流し式がほとんどで、大量の水を消費します。
SDGsが当たり前になっていくこれからの時代には、水資源を無駄にしない洗浄機が必要だと考え、
溜め水で一次洗浄ができる次世代の洗浄機を作ろうと考えました」
「根菜類の洗浄にお悩みの農家さん」。こちらは、たとえば、どんな農家さんなのでしょうか?
「例えば、ショウガやキクイモなど、形が複雑な根菜類の農家さんで、洗浄にお悩みの方が多くいらっしゃいます」
「ゴツゴツとした根菜の隙間の汚れや挟まったゴミなどを洗い落とそうとしても、
既存のブラシ式や高圧シャワー式の洗浄機ではあまりキレイにならないうえ、表皮に傷をつけてしまうと、お悩みです」
「始まりは、近隣のキクイモ農家さんから、キクイモの洗浄でお困りだという話を伺ったことです。
キクイモはゴツゴツした形状で洗いにくい根菜の代表例ですが、
収穫期の真冬に冷たい水をかけ流しにして、手作業でブラシを使ってこすり洗いをされていました。
ゴム手袋は付けておられましたが、1日に何時間も手洗いをする作業環境はとても過酷だったそうです」
「洗浄を担当するのはご高齢の方やパートさんも多く、
厳しい労働環境を改善したいというお悩みをお持ちでした。
また、かけ流しの水で洗うため、水道の使用量を減らしたいという、ご要望もありました」
そういった農家さんの声を受けて、開発した「根菜の泥を落とす洗浄機」。
こちらはどのような機械なのでしょう?
「『二流体根菜洗浄機』という名前の製品で、機械洗浄が難しい根菜などを対象にした、新しい方式の洗浄機です」
「『二流体』とは水と空気の2つの物質のことで、
特許を取得した水中ジェットノズルで気泡を含んだ旋回流を発生させて、溜め水のなかで洗います」
「従来の洗浄機のように、ブラシや高圧シャワーは使いませんので、
根菜を傷つけることなく、凸凹した形状の奥の汚れまで洗うことができます。
また、循環水による洗浄なので、水道代も大幅に節約できます」
根菜をどのように洗浄するのでしょう?
「水槽に水を溜めて、そこに洗浄する作物を投入したら、あとはスタートボタンを押すだけで洗浄が進みます」
「表面が凸凹していて、傷がつきやすく、これまで手洗いしかできなかった根菜類の洗浄に適しています。
例えば、ショウガ、キクイモ、サツマイモ、里芋、ワサビなどが代表例です」
この洗浄機の感想などを農家さんから伺って、どのようなことを感じていますか?
「洗浄一つをとってみても、農家さんごとにニーズは十人十色だと感じています」
「作物の種類によってももちろん異なりますが、同じ作物、例えば、サツマイモでも、
傷がつかないこと、色落ちしないこと、汚れ残りがないこと、など、それぞれの農家さんで優先したいことが違います。
一度にすべてを解決できれば良いのですが、なかなか難しいというのが実感です」
「生産者さんの声に耳を傾けながら、より良いモノづくりをこれからも目指していきたいと思います」
岡澤さん、この洗浄機の今後については
「洗浄できる根菜類の種類を増やすことに取り組んでいる」と、お話しされていました。
根菜類の農家さんの負担を減らす、さらなるバージョンアップ、期待しています。