振動でトマトにつく虫を減らせる技術
オンエアレポート
2024.10.10
提供:東北特殊鋼株式会社
今回、注目するのはこちらです。
「振動でトマトにつく虫を減らせる技術」
今回のイノベーターは、宮城県農業・園芸総合研究所の大江高穂さんです。
振動でトマトにつく虫を減らせる技術とは、どのような技術なのでしょう?
「野菜の重要な害虫であるコナジラミ類は、
交尾のために振動を使ってお互いにコミュニケーションをとることが知られています」
「人工的な振動を使って、コナジラミ類のコミュニケーションを阻害することで、コナジラミの数を減らすという、
新しい防除方法です」
オンシツコナジラミの成虫と幼虫(提供:宮城県農業・園芸総合研究所)
トマトに、どのような方法で振動を与えるのでしょうか?
「一般的にトマトを栽培する際、まずハウスの天井に位置する梁やワイヤーからひもをおろします。
このひもを支えにして、トマトは上へ上へと成長していきます」
「このひもを吊り下げている梁やワイヤーに振動装置(東北特殊鋼株式会社の『トマタブル』)を
取り付けることによって、ひもを媒介にしてトマトへと振動が伝わります」
振動を与えると、なぜ、トマトにつく虫を減らすことができるのでしょう?
「振動によってコナジラミの交尾などの生殖行動を阻害しているためであると考えられています」
「振動を用いた害虫防除は、農林水産省・生研支援センターの支援を受けて、
『振動農業技術コンソーシアム』において共同研究を進めています」
「『振動農業技術コンソーシアム』の構成員は、九州大学、農研機構野菜花き研究部門、
宮城県農業・園芸総合研究所、兵庫県立農林水産技術総合センター、静岡県農林技術研究所、
福岡県農林業総合試験場、森林研究・整備機構森林総合研究所、電気通信大学、東北特殊鋼株式会社です」
「詳細なメカニズムについては、代表機関である九州大学によって解明が進められているところです」
この技術によって、トマトにつく虫が、どのぐらい減ったんですか?
「トマトの葉につくコナジラミの数がおおよそ半減します。
これは試験場でも現地実証に協力していただいている生産者の施設でも同様の効果を確認しています」
提供:東北特殊鋼株式会社
どのような思いがあって、このような技術を開発したのでしょうか?
「作物の生産現場において、害虫が薬剤に対する抵抗性を獲得してきていることが大きな問題となっています。
振動防除に限った話ではありませんが、薬剤以外の防除方法の開発が、今後も生産者の助けになると考えています」
「様々な生産者に話を伺うと、今、一番問題になっている害虫はコナジラミであるという声が多いです。
また、薬剤が効かないという声もよく聞きます。
そうした中、振動による防除に期待する声をいただくこともあります」
この技術の今後については、どのようなことを考えていますか?
「コナジラミ以外の害虫に対しての効果の確認をしていきたいと考えています」
「また、振動技術だけで害虫をゼロにすることはできませんので、
ほかの技術との上手な組み合わせ方法について、検証を進めていきたいです」
提供:東北特殊鋼株式会社
農家さんからも期待する声がある、こちらの技術。
一日でも早く、実用化することを期待しています。