レモンの収穫時期を延ばして夏に出荷している香川県の農家さん
オンエアレポート
今回は、こちらに注目します。2024.09.26
「レモンの収穫時期を延ばして夏に出荷している香川県の農家さん」
今回のイノベーターは、香川県三豊市でレモンを栽培している、浅野雅文さんです。
「レモンの収穫時期を延ばして夏に出荷している」ということですが、これはどういうことなのでしょうか?
「レモンを収穫する時期は一般的には1月~3月とされていますが、
あえて私は5月末まで収穫時期を延ばすことで、
通常のレモンのサイズよりも大きいものを収穫することができるようになりました」
「通常のレモンは1個120グラムぐらいですが、
私が栽培しているレモンは200~250グラムなので、約2倍のサイズです」
「長く実を木にならせておくことで、木で完熟した状態となり、酸味がまろやかになり、
より使いやすいレモンになったと思っています」
レモンを収穫する時期は一般的には1月~3月。これはどうしてなのでしょう?
「レモンが寒さに弱いためで、大きな寒波が毎年、何度かきますが、それにより、
広島(国産レモンの約9割のシェアがあります)などの大産地は凍害などの被害が大きく出ますので、
それを防ぐためにも早く収穫を終える必要があります」
「しかし、私が農業をしている香川県三豊市では冬に凍結したり霜が降りたりというようなことが、ほぼありません。
それは地形によるものが大きいのですが、海が近いことも理由に挙げられます。
海が近いということは海水温が気温よりも高いために気温が下がりすぎないというメリットがあります」
レモンは「夏」というイメージがありますが、国産のレモンは、夏は品薄ということなのでしょうか?
「国産レモンは、夏は極端に品薄になります。
香川県では一般的なスーパーなどでは外国産(チリ・アメリカ・メキシコなど)以外はほぼ皆無です。
そういう中で、お客様は国産レモンが欲しいという方はたくさんいます。
レモンが品薄な夏に、自分がレモンを持っている状態にするためにはどうすればいいのか、考えました」
「私は就農する以前は家電量販店で7年ほど勤めていました。人気商品は飛ぶように売れます。
欠品・品薄になると市場の値段は需要と供給のバランスが崩れ、余計、売れます。
その商品が欲しいお客さまは、いろんなことをして手に入れようとします。
ここでポイントとして挙げられるのは、売れるモノを持っている人が勝つということでした」
浅野さんは、レモンを収穫してから夏に出荷するまでに、2か月~3か月、貯蔵しているということです。
2~3か月、貯蔵しても、レモンは大丈夫なのでしょうか?
「貯蔵をするにあたり、果物の腐敗を早める原因となるのがエチレンガスです。
果物から放たれたエチレンガスは他の果実への腐敗を進めてしまうため、
私はエチレンガスだけが抜けていく特殊なビニール袋を使い、
一個ずつ個包装して貯蔵することで、貯蔵による腐敗を極端に少なくすることができました」
浅野さんによりますと、夏場に出荷することでレモンの単価が上がったということです。
「夏場に出荷ができるということは、レモンの単価の引き上げにもなりました。
それは買い手の市場ではなく売り手の市場になったということです。
農家が値段を決めて売っていけるというのは我々のモチベーションアップにもなります」
また、香川県内でレモンを夏に出荷する農家さんが増えつつあると、浅野さんはお話しされていました。
「香川県ではレモン農家は、ここ5年ほどで増えてきています。
そして香川県は今年から『さぬき讃レモン』という名前でブランド化に取り組み始めました」
「国産レモンの需要は今後も増えていくと思います。
そういう中でライバルと切磋琢磨しながら、より良いレモンを生産できたらと思っています」
香川県で広がりつつある、レモンの収穫時期を延ばして夏に出荷する取り組み。
今後、さらに広がっていくことを期待しています。