タピオカの原料『キャッサバ』を愛知県新城市の住民が休耕地で栽培
オンエアレポート
今回、注目するのはこちらです。2024.09.19
「タピオカの原料『キャッサバ』を愛知県新城市の住民が休耕地で栽培」
今回のイノベーターは、新城市国際交流協会の会長、田村太一さんです。
「キャッサバ」は、どのような作物なのでしょうか?
「お芋です。たとえるなら、甘くないサツマイモという感じ。タピオカの原料としても有名です」
その「キャッサバ」を愛知県新城市の住民の皆さんが栽培しているということですが、
どのような思いがあって、このような取り組みを始めたのでしょうか?
「去年の冬に、知り合ったブラジル人の方の家でキャッサバ料理をごちそうになったのですが、
コロッケ、フライ、スープ、グラタンなど、全てが美味しかったんです」
「これは日本人も好きなはず、と考え、
“食”を通じて、国際交流や多文化共生が、より図れるのではないかと思いました」
「去年、そのブラジル人の方に教えてもらって、会社の空いているスペースに試しにキャッサバを植えてみたところ、
あまり手間がかからないことが分かりました。
そして、キャッサバは、市内に増えている休耕地を活用できると思ったんです」
「去年、始めた取り組みなので、今年が2年目です」
キャッサバで作ったコロッケは、じゃがいものコロッケと、どのような違いがありますか?
「じゃがいものコロッケは『ほくほく』、キャッサバのコロッケは『もちもち』しています」
キャッサバのコロッケ
市内の休耕地に着目した理由は何なのでしょう?
「私が農業基盤整備を行っている新城農業土木研究会の会長をしており、
年々、休耕地が増えていることが気がかりでした。
農地の新たな活用ができないかと、日々、模索していたためです」
休耕地でのキャッサバの栽培、どのように行っているんですか?
「今年4月に開催したキャッサバセミナーを通じて、市内外の18人に660本の苗を販売しました。
栽培場所は主に新城市内で、山の近くや田んぼだったところなど条件は様々です」
「今年5月に植えた畑では、早ければ9月中旬から収穫の予定で、10月が収穫のピークになりそうです」
「キャッサバ」の栽培を始めてみて、田村さんはどのようなことを感じていますか?
「兼業農家さんたちが、新たな作物の栽培を楽しんでくれているのが嬉しいです。
キャッサバの活用方法も、学校給食での提供とか、福祉施設との連携とか、盛り上がっています。
豊橋技術科学大学でも、苗の研究を始めてくれていて、
産学官民、地域のいろいろな主体がつながり始めていると感じています」
「また、キャッサバを通じて日常的に異文化交流できる場所としてカフェを考え、
市役所前にブラジル人スタッフが運営するカフェ「フレンズカフェ」を7月にオープンしました」
「特にコシーニャ(ブラジル風コロッケ)が大人気で、寒くなってきたら、キャッサバスープも出す予定です」
今のところ、来店者の7割が日本人で、日常的に異文化交流できる機会となっています」
キャッサバスープ
この取り組みの今後については、どのようなことを考えていますか?
「ブラジル人が多い静岡県の浜松から来たブラジル人が、
フレンズカフェで『こんなに日本人がキャッサバを食べているのに驚いた。嬉しい!』と言っていました。
周辺の愛知県豊橋市や豊田市など、この近辺は日本で一番ブラジル人が多い地域です」
「それぞれのコミュニティをつくって暮らす方が楽なのですが、せっかく同じまちに住んでいるのなら、
キャッサバという接点をつくることで、お互いの距離を縮めて、
共生社会を、さらには協働社会をつくっていきたいです」
「そして、もう1つ。
新城市に移住して来るブラジル人男性の多くは、製造業に勤務しているのですが、
日本語があまり得意ではない子育て世代の奥さんは就業する場所が少ないのが現状です」
「今、フレンズカフェでは、そうした女性にスタッフとして働いてもらっています。
キャッサバが日本人にも普及していくことで、
ブラジル人女性の新たな就業場所を増やしていけると良いと考えています」
フレンズカフェ
今年が2年目にもかかわらず、キャッサバを使った料理が食べられるカフェがオープンするなど、
大きな広がりを感じる、この取り組み。
今後はさらに広がっていってほしいと思いました。