くず米を使った離乳食
オンエアレポート
今回は、こちらに注目します。2024.08.29
「くず米を使った離乳食」
今回のイノベーターは、一般社団法人KURU KURUの代表、矢野智美さんです。
一般社団法人KURU KURUは、広島県安芸高田市で活動している地域活性化のための団体。
農業に限らず、商業、教育、政治など、様々な分野で活動している女性たちが集まっているということです。
そして、「くず米」とは、矢野さんによると、
収穫された米の中で、形や大きさ、色などが基準に満たない粒を指します。
「具体的には、小粒だったり、割れていたり、色が白くなっているお米です。
食べるには全く問題ありませんが、出荷の規格基準に合わないため、廃棄されたり、
通常のお米よりも、はるかに安価で取引され、味噌や醤油などの加工用として扱われてきました」
その「くず米」を使った離乳食が「甘麹」。
「第1弾として販売しているのは『甘麹』という商品で、
生後9か月から大人まで使える甘味と旨味をプラスする調味料です」
「具体的なイメージとしては、市販の甘酒の濃縮版のような味わいです。
麹の力でお米のでんぷんがブドウ糖やオリゴ糖に変わり、砂糖の代わりとして使用できます。
また、発酵の過程で生まれる天然のアミノ酸やペプチドがマヨネーズなどの化学調味料の代わりとなるため、
ナチュラルな離乳食を作りたい方に最適な調味料です」
どのような思いがあって、「くず米」を使った離乳食を作ったのでしょう?
「まず、安全で安心なお米を有効活用したいという思いがあります。
そして、この取り組みを通じて、環境保全型農業を推進し、
持続可能な農業を支える活動を広げていきたいと考えています」
「農薬や化学肥料を使用せず、または、その使用を抑えた農法は、人にも環境にも優しい方法です。
環境に配慮した農法への転換は、今後ますます農家に求められる社会的責務だと思っています」
「しかし、そのようなオーガニック農法に挑戦すると、小粒な米や規格外の米が増え、
結果的にくず米が増えてしまい、収益性の確保や所得向上の妨げになることがあります。
こうした課題を克服するための枠組として、離乳食ブランドを立ち上げました」
一般社団法人KURU KURUでは、
「くず米」を広島県内の農家さんから市場価格の3倍で買い取っているということです。
これには、どのような思いがあるのでしょうか?
「今までは、栽培方法や取り組みにかかわらず、くず米はくず米として、一律の金額で買取が行われてきました。
私たちは、そこに栽培方法や取り組み別に買取価格を向上させていき、
現実的な農家の収益面において、農家が環境保全型農業へ安心して移行していける環境をつくり、
持続可能な農業を支える支援としていきたいという思いがあります」
矢野さん、今後については
「お米がもっている食や健康に寄与できるポテンシャルを発揮し、
子育て世代の食の環境をより良くしていけるお手伝いをしていきたいと思っている」とお話しされていました。
くず米のイメージ向上する可能性がある、一般社団法人KURU KURUの活動、これからも応援しています。