野菜の栽培に必要な水が10分の1になる技術
オンエアレポート
今回、注目するのはこちらです。2024.06.20
「野菜の栽培に必要な水が10分の1になる技術」
今回のイノベーターは、三重県の農業法人「ポモナファーム」の中山美流さんです。
10分の1の水で野菜が栽培できるということですが、こちらはどのような技術なのでしょう?
「『モイスカルチャー』と言います。
3種類の特殊なファイバー層を組み込んだシートを用いて、自然界の表層の約15センチ分を高度に再現し、
シートを水が通る際に気化しやすい湿度に変換して、野菜を育てる栽培方法のことです」
なぜ、「栽培に必要な水が10分の1」になるんですか?
「モイスカルチャーの技術を用いて栽培することで、
綿みたいな根っこ『湿気中根』を大量に培養することができ、湿度に触れる根の表面積を増やすことで、
通常の栽培法の10分の1程度の水量で栽培することが可能です」
「また、廃液や排水もゼロなので環境に優しい栽培技術になっていますし、植物自体が強くなります」
どのような野菜の栽培に使うことができるのでしょう?
「基本的には、どの野菜や果樹、穀物、根菜類でも可能です」
「今、一緒に頑張っているパートナーファームが世界含めて45か所くらいあるのですが、
トマトを始め、地域の伝統野菜やハーブ、世界中の唐辛子などを栽培しています」
この技術を使って育てた野菜、いかがですか?
「ポモナファームの定番商品である『エコスイート』という品種は、ただ“甘いトマト”というわけではなく、
甘味、酸味、旨味も感じられるトマトでパリッとしていてジューシーですが、後味がさっぱりとしているので、
何個でも食べたくなるトマトです」
どのような思いがあって、この技術を開発したのでしょうか?
「ポモナファームの代表・豊永が大学時代に考古学を学んでいて、
カンボジアなどで遺跡の発掘などを行っていたのですが、
その際に、10年前までは真っ白だった遺跡が真っ黒になっている理由は何かということに疑問を抱きました」
「観光客が増え、二酸化炭素の排出が多くなり、観光するためにホテルやレストランが建ち、
そこで局所的な地球温暖化が進みました。
また、農地の開発により、多くの水を必要としたため、枯渇して地盤沈下が起き、遺跡が傾くということもありました」
「そこで、自分が守りたいもの、そして、唯一、人間が“美しい”という感情を持つことができるので、
その“美しい”を守るべく、農業という視点から変えたいと思い、モイスカルチャーの技術を開発しました」
中山さんによると、
ポモナファームのトマトや加工品を6月から関東地区で販売するということです。
ポモナファームのトマトや加工品を見かけたら、ぜひ手に取ってみてください。