価格高騰リスクを減らす!? 東北を“玉ねぎの産地”にする動き
オンエアレポート
今回は、こちらに注目します。2022.09.01
「東北を“玉ねぎの産地”にする動き」
今回のイノベーターは、
「東北タマネギ生産促進研究開発プラットフォーム」の代表、涌井徹さんです。
東北地方を“玉ねぎの産地”にする。
これにはどのような背景があるのでしょうか?
「玉ねぎの価格は、今年の春、平年の2倍以上に高騰しました。
価格高騰の背景の一つは、夏の時期に国産の玉ねぎの供給量が落ち込むことです。
こうした状況を受け、
東北産の供給を増やすことで価格高騰リスクを減らそうと考えました」
東北地方の気候は、国産の出荷が減る7月~8月の収穫に適しているため、
東北地方の産地化が進めば、
国産品の安定供給体制ができるということです。
国産の玉ねぎの供給量は夏に落ち込むということですが、
これはどうしてなのでしょうか?
「玉ねぎの産地は北海道が約7割を占め、
佐賀県、兵庫県と合わせた3道県に約8割が集中しています。
北海道産は例年、夏以降に収穫が始まり、翌年5月頃まで市場に出回り、
春先以降は佐賀県産と兵庫県産の収穫が増えるのですが、
北海道産に切り替わるまでの6月~8月は供給量が落ち込みやすいんです」
玉ねぎの供給量が落ち込む6月~8月は、主に中国産の輸入で補ってきたということです。
また、東北地方の「秋播き玉ねぎ」の収穫期は6月下旬~7月下旬。
梅雨の時期と重なり、収穫作業に大きなリスクがあること、
豪雪地帯の雪解けが遅いことなどから、玉ねぎ栽培の普及は難しかった、
と涌井さんは、お話しされていました。
こうした難しい状況の中、
東北地方で玉ねぎの生産を増やしていくため、どのような対策を考えているのでしょうか?
「“生産・加工・販売”が分離された家業としての農業から、
“生産・加工・販売”が一体化した産業としての農業の構築に取り組みます。
そのために研究機関や民間企業との積極的な連携が必要と考えており、
その第一歩が
『東北タマネギ生産促進研究開発プラットフォーム』の設立ということになります」
涌井さんのお話を伺っていると、東北を玉ねぎの産地にすることは、
課題もあり、一筋縄ではいかないということが分かりました。
ただ、こうした課題をきっと乗り越えてくれる、というパワフルさを、
涌井さんの言葉から感じました。
涌井さん、近い将来、東北が玉ねぎの産地になること、期待しています。