農家さんと消費者が支え合う新たな仕組み『石高プロジェクト』
オンエアレポート
今回は、こちらに注目します。2024.05.09
「農家さんと消費者が支え合う新たな仕組み『石高プロジェクト』」
今回のイノベーターは、福島県西会津町の地域おこし協力隊として
「石高プロジェクト」の運営事務局を任されている、長橋幸宏さんです。
「石高プロジェクト」とは、どんなプロジェクトなのでしょう?
「福島県西会津町で持続可能な農業をめざす生産者を支えてくために始まったプロジェクトです」
「消費者の皆さんに稲作や地域のことをより知って楽しんでもらい、お米を購入して終わりではない、
生産者と消費者のより深い関係性が生まれるような仕組みづくりをしています」
「石高プロジェクト」は去年6月に西会津町の事業として始まり、8月にはアプリを発表しました。
どのような仕組みなのでしょうか?
「デジタル技術を活用した米のオーナー制度に似た仕組みです」
「アプリの利用者はまず、参加している複数の農家から、希望の農家と米の銘柄を選択。
そして、収穫前に米の量をはかる単位の『石(こく)』を冠したポイントを購入。
収穫後に、事前に購入した『石』の量=“石高”に応じて、指定した西会津米と引き換えます。
すると、自宅に西会津米が届く、といった流れです」
「収穫前にポイントを購入するというのが特徴の1つです」
「収穫前にポイントを購入するのが特徴の1つ」ということですが、これには、どのような思いがあるのでしょう?
「農家を支えることを考えたときに、農家の経営が安定化することを目指しました」
「仕組みとして取り入れたのが『不作リスクの分担』と『収穫前の現金収入』です。
気候変動が顕著になってきた今では、作ってもマイナスになってしまう危険性があります。
それを少しでも防ぐために、収穫前に買ったお米をその年の収穫量に応じて、渡す量を調整させてもらっています」
「そうすると、不作の場合は消費者側でマイナス分を分担し、豊作の時はプラス分を互いに分け合います。
こうして収穫量に応じて受け取るお米の量が増減する仕組みにしています」
「また、農家にとって、先に購入されて現金収入があることで経営がしやすくなるのではと考えています」
この仕組み、消費者にはどのようなメリットがあるのでしょう?
「消費者にとっては、リスクを分配する関係性が、
これまでにない購入体験を楽しんでもらえるのではないかと思っています。
稲が育つ過程や農家の日々の仕事が、自分ごとのように感じられるのではないでしょうか」
「生産者や地域のことなど、お米の“裏側”を知ることで、
日々の食卓や目の前のご飯が、より美味しく感じるのではないかと思います」
どのような思いがあって、このプロジェクトを始めたのでしょうか?
「西会津町は、過疎高齢化地域となっています。
農家の方は物価高騰や米食減少といった問題だけでなく、高齢化や担い手不足など、様々な課題に直面しています」
そういった中でも、次の世代に健やかで美しい風景や土を残したいという農家さん、
そして地域の私たちの思いを集結させて作ったのが石高プロジェクトです」
このプロジェクトを運営していく中で、どのようなことを感じていますか?
「何か不測の事態があった時にも、頼れる人がいる、身を寄せられる地域がある、
あそこにいけば自分のお米がある、地域で使えるお金を持っている、というような安心感というのものは
必要なんじゃないかと思っています」
「自分も移住者として縁のない地域に移り住んで、自然の豊かさだったり、
長年受け継がれてきた土地の文化といったものが、生活のすぐ横にあるということが
とても大事なことだと感じています」
長橋さん、このプロジェクトの今後については、このようにお話しされていました。
「今年は参加者の皆さんに『情報を伝えること』『双方向のコミュニケーションの機会』をもっと提供していき、
このプロジェクトを通して、地域に深く関わる機会になればと思っています」
このプロジェクトによって、
西会津町に行ってみたい、住んでみたいと思う人が増えていくといいなと思いました。
長橋さん、応援しています。