卵の薄皮から作った液体肥料
オンエアレポート
今回は、こちらに注目します。2024.03.14
「卵の薄皮から作った液体肥料」
今回のイノベーターは、佐賀県にあるENEGGO(エネゴ)株式会社の佐藤裕さんです。
「卵の薄皮」は、ゆで卵をむくときに殻にくっついてくる薄皮(卵殻膜)のことです。
この卵殻膜は、卵一つから0.1グラムほどしか取れない貴重な素材。
佐藤さんによると、全国の割卵工場から出てくる卵の殻を回収することで、
大量かつ安定的に調達することを可能にしているということです。
「卵殻膜」に注目したのは、何か、きっかけがあったのでしょうか?
「当社と卵のつながりは、当社の代表・下がカステラ屋で廃棄されている大量の卵の殻を目にしたことから始まりました」
「当時、内装の仕事をしていた下は、
トイレ修理のために出向いたカステラメーカーで山積みにされた卵殻に着想を得て、
従来、産業廃棄物として処分されていた卵殻を買い取ることで原料を調達するビジネスモデルを築き上げました」
卵の殻ではなく、「卵殻膜」を肥料にしようと思ったのは、なぜなのでしょう?
「親会社の『グリーンテクノ21』が、20年以上前から卵の殻をアップサイクルして、
グラウンドに使うライン材や野球のピッチャーが使うロジンバッグなど、様々な製品として販売していました」
「製品ラインナップを拡大していく中で、卵殻を原料とした壁紙を開発する際、
栄養分を豊富に含む卵殻膜の存在が臭いの原因となり、殻と膜の分離が必要となったことで、
卵殻膜を使用した製品の検討が始まりました」
「そして、卵殻膜のアミノ酸をより活かせる使い方、卵殻膜という貴重な素材を最大限に再利用できる方法として
農業分野をターゲットに定め、肥料を開発いたしました」
「卵殻膜」は、肥料になるような成分が含まれているのでしょうか?
「卵殻膜の成分の70%以上はたんぱく質です。
当社では、このたんぱく質を分解することで18種類のアミノ酸を豊富に含んだエキスを抽出しています」
「本来、植物は光合成によってアミノ酸を作り出しますが、卵殻膜由来のアミノ酸を肥料として与えることで、
さらに植物の成長を促進させる効果があります」
この液体肥料は、野菜や果物、花や観葉植物など、あらゆる植物に使用可能で、
「根張りが良くなった」「植物が病気にかからなくなった」といった感想が寄せられているということです。
今後はどのような展開を考えているのでしょうか?
「私たちは全国の割卵工場から年間6000トン、卵の数にして約12億個の卵殻を回収して再利用しています。
この卵殻から採取できる大量の卵殻膜を最大限に活かすためにも、日本だけではなく世界に向けて売り出していき、
サステナブルの輪を広げたいと考えています」
この液体肥料について、佐藤さんは「農家さん向けの肥料も製品化を進めており、
試験的に使っていただいている農家さんからは、収穫量が増えたなどの声をいただいています」と話していました。
佐藤さん、農家さん向けの肥料の製品化、そして卵殻膜を利用した、さらなる取り組み、応援しています。